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グランマ

今年最後の投稿になります。

来年もよろしくお願いします。

 アーシオ遺跡の討伐から十日ほどたったある日、俺は一人でオナシティの南東側に位置する住宅街に来ていた。ちなみにミュウ達は今日はネリの森で薬草採取をしている。

 この住宅街は宿やギルドがある所から一度下った後、少し昇った丘の上に位置している。比較的裕福な人達が住んでいる高級住宅街といったところだ。


 ここに来た目的は剣術を教えてもらうこと。アクラスにコテンパンにされたことが悔しくてケイン領主に剣術の師範を紹介して貰ったのだ。

 ケイン領主も模擬戦をやった時の事をきちんと覚えていてくれていて、今日会う師範に相談していたらしいのだが、なかなか承諾が得られなかったとのこと。

 ところが、話の流れで俺の名前を行ったところ、会うだけは会っても良いとい話になり、今俺はその人の家の門の前に立っている。


 この家の塀は積まれた石の上に白く塗られた塀があり、その上には瓦がありというまるで日本の昔の家みたいな造りをしていた。


 なるほど、俺の名前を聞いて会ってみたいという理由はこれか?


木で作られた門の所にある表札を見て俺は何となく納得した。


「ごめんください。」


・・・・・・・・


 あれ、聞こえなかったか?もう一度声を大きくして。


「ごめんください!」

 

「ええい、そんな大きな声を出さんでも聞こえているよ!」



 門の扉が開き女性が一人出てきた。


「「あっ」」


 俺はその女性の顔を見て思わず声を出してしまった。銀色のストレートヘアーと吸い込まれる様な緑色をした目、透き通るかと思うような白い肌に尖った耳。そう、彼女はエルフである。


「初めま・・・・」


「ゼント——————!!!」


 俺が挨拶をしようとした途端、そのエルフの女性は俺の名前を叫ぶと俺に抱き着いてきた。


 いや、何これ????


 このエルフのお姉さん、顔はすらっとしているけど胸はヴェルス並みに大きいじゃね?俺は抱き着かれた感触でそんなことを思っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「まあ、お茶でも飲みなさい。」


「はぁー。」


 俺は畳の部屋に通され、座布団に座りながら出されたお茶を飲んでいた。


 緑茶、オナシティにあったんだ・・・。


「まあ、なんだな、さっきは驚かせてすまなかったな。」


 エルフのお姉さんが座布団に正座しながらこちらを見ているいうなんか不思議な光景。


「はぁー。」


「いゃーまさかこちらの世界で孫に再会できるとは思っていなかったからな!」


「ぶっ—————!」


 思わずお茶を吹き出してしまった!


「孫って! やっぱり『全ばあちゃん』か?」


「そうじゃ、やっと思い出したか!」


「いやいやいや、思い出すも何も名前が同じだけじゃないか!見た目これっぽっちも一致点が無いぞ!」


 そう、門の所にあった表札には「ゼン・タナミ」と書いてあったのだ。自分と同じ様な名前なので俺に興味を示して会ってくれたのだとばかり思っていた。ちなみに俺の名前の全はばあちゃんの名前からとったと聞いている。


「も、もしかしてばあちゃんエルフに転生してたの?」


「ああ、もう70年も前にな。」


「いや、70歳には見えないけど。」


「そりゃあ見えんだろう。エルフの寿命は人族の3倍あるからな、人族で言えば23歳の『ぴちぴちのぎゃる』じゃぞ!」


「まあ、確かにそのぐらいに見えるけど・・・見えるからそのしゃべり方違和感がありすぎなんだけど。」


「まあ、前世の記憶がはっきり残っておるから仕方ないじゃろ。」


「ところで前世の記憶って生まれた時から持ってたの?」


 赤ん坊でこんなしゃべり方していたら嫌だぞ。


「いや、儂は17歳の時にファイアボーアに吹き飛ばされた時に思い出したんじゃな。」


 17歳でこのしゃべり方か・・・・。


「エルフはな、16歳の成人になるくらいまでは人族と成長速度は変わらんが、そこからの成長速度というか老いる速度がゆっくりになるんじゃな。」


「まあ、確かに子供の期間が長いと生存率が下がるからね。」


「その通りじゃ。」


「前世の記憶を思い出してからはな、人族の食べ物が恋しくてな・・・。」


 なんか遠い目をしているな。


「エルフって食べ物が違うの?」


「エルフはな、穀物を一切食わなんだ。肉は食うんだが、野菜と果物は食べても米や小麦、粟や稗などの雑穀も食わなんだよ。」


「そりゃあ米が恋しくなるよね。」


 ソーリの森を踏破している時は本当に米が恋しかった。女神様がパンをくれたのが救いだったけど・・・ヴェルス様に感謝、ついでにウルスにも。


「人族の国に行けば穀物があると聞いた時にわしゃあ飛び上がるように喜んだもんじゃ、そして誓ったのじゃ、絶対人族の国に行くとな!」


「でも、エルフの国と人族の国の間にはソーリの森があるじゃないか・・・もしかして踏破してきたの?」


「そうじゃ、しかし17歳の小娘では到底踏破できるような森じゃあないからな。それから儂ゃ剣の腕を磨いたのじゃ、ソーリの森踏破を目標に剣豪から、魔物まで全てに挑んでいったのじゃ。」


 俺の食べ物への執着はばあちゃん似ということか・・・。


「それから40歳になってやっとソーリの森の踏破に成功し、ゴード国にやって来たんじゃ。」


「凄いなーばあちゃん、ソーリの森踏破だなんて、どんなスキルを持ってるの?」


「知らんのか?エルフはスキルが使えんことを!」


「え、使えないの??」


 この世界の住民は全て使えると思っていた・・・。


「エルフはずば抜けた運動神経と長寿である代わりにスキルは全く使えんのじゃ。」


「そ、そうなんだ・・・っ、て言うことはソーリの森をスキル無しで抜けてきたの??」


「そうじゃ、だから踏破できるようになるまで23年もかかったんじゃ!」


「す、すげー。」


「どうじゃ、凄いだろう。」


 思い切り胸を張ってどや顔している・・・しかし胸がデカい、ばあちゃんこんな巨乳だったけ?


「ところで、お前はどうしてこちらの世界に来たんじゃ?見た目は向こうの世界のままだから転生ではないようだが。」


 俺は異世界召喚に巻き込まれたことや女神ウルスやヴェルスに助けられたことをばあちゃんに話した。


「そうか、お前もソーリの森を抜けてきたんじゃな。大変じゃったろう。」


「ああ、でもこの世界に来た時に身に着けたスキルで何とか抜けることが出来たよ。」


「ソーリの森を抜けられるスキルがあれば剣術はいらんじゃろう。」


「俺も今まではそれでもいいと思っていたんだけど、スキルを封じられたらどうしようもないということがこの間の魔剣士との戦いで嫌というほど分かったんだ!」


 俺はアクラスとの闘いを思い出して思わず語気が強くなってしまった。


「スキルオフ・フィールドというやつか?」


「ばあちゃん知ってるの?」


「話に聞いたことぐらいはあるさね。スキル使いには厄介な技だね。」


「ああ、だから頼む、俺に剣術を教えてくれよ。」


「教えると言ってもな、儂は完全に我流だからな型を教えるようなことはできんな。まあ、今までの話を聞いてお前に足りないものは分かったがな。」


「足りないもの?」


「そう、足りないもの。それは実践経験じゃ!」

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