女神怒る
俺達はネリの森でスキルの確認をした後、昼食を食べてからザラス邸に戻ってきていた。
出迎えに大勢のメイド達が来ているのに非常に焦った・・。
執事のセバスチャンさんにザラス邸の庭に来るとカップルの冒険者がいる。
「あ、トニーさんとアリソンさん。」
「お、ゼント達じゃあないか、Aランク並みのCランクパーティってお前たちだったのか?」
「ま、まあそういうことになりますかね。そういえばトニーさん達は一昨日ウイリアムさん達に同行されたんですか?」
「ああ、えらい目にあったが、オナシティのAランク以上のパーティで残っているのは俺達だけなんで仕方なく今回も参加することにしたんだ。」
「ええ、聞きました。凄いことになっていたそうですね。」
「そうよ、トニーが楽勝なんて言ってるから、気楽に行ったらひどい目にあったわ。」
アリソンさんのトニーさんを見る目が怖い・・・。
「よう、みんな集まってくれたか。」
ウイルソンさんが騎士たちを連れて出てきた。
俺達は騎士団に人達と向かい合って並んだ。
「簡単でいいから自己紹介をしてくれ。まずはゼント君達から頼む。」
「俺はCランクパーティ『白銀の翼』のゼントで魔剣士です。隣がミュウで魔闘士、その隣がヴェルスで魔法使いです。」
「なんだ、Cランクだって。」
騎士達の間から小声が聞こえてきた。
「俺はAランクパーティ『紅の女神』のトニーで隣がアリソンだ。」
「私は騎士団長を務めるアスコナだ。隣が魔弓士のビスタその隣の二人が魔剣士のコンテッサ、カペラ、それと魔法使いのシルビアだ。」
「よし、挨拶が済んだ様だから俺から明日の討伐時の各自の配置を説明する。」
「まず前衛はコンテッサ、トニー、ゼント、ミュウの4人だ。その後ろに俺とビスタで前衛の援護を行う。」
「シルビア、アリソンはその後ろから皆の周りに絶対シールドを展開してくれ。ヴェルスはサーチスキルで魔物を見つけて攻撃や退避の指示を頼む。」
「アスコナとカペラは後方の守りを頼む。それとアスコナは俺に何かあった時に指揮を頼む。」
「以上だ、何か質問はないか?」
「ウイルソン様、お言葉ですがこの配置には納得がいきません。」
「アスコナ、どこが納得がいかないんだ!」
「前衛はもっと強固な布陣にすべきです。Cランクの冒険者を前衛に置くのは納得がいきません。」
「なら、お前はどう配置したいんだ。」
「私なら、一等騎士で魔剣士のコンテッサ、カペラそれと私を前衛に、シルビアは攻撃魔法の方が得意なのでやはり前衛に持ってきます。ビスタとウイリアム様はそのままでアリソンさんとヴェルスさんが絶対シールドを展開してください。サーチスキルはシルビアも持っていますので、前衛で指示して方が都合が良いでしょう。残りが後方の守りということで。」
”残り”ね・・・まあ、いいかな、怪我してもすぐ治るけど痛いしね。
「成程、君には一等騎士としてプライドがあるということか?」
「当然です。一等騎士が冒険者達に後れを取るわけにはいきません。」
「そういうことらしいが、トニーさんとゼント君、ミュウさんはそれでいいか?」
「俺は構わないぜ、前回ので懲りているからな。でも、アリソンに怪我でもさせたら只じゃあ済まないからな。」
「ふん、我らの後ろに魔物は通さんよ!」
「俺も構わないよ。」
「我も良いよ。」
「私は納得がいきません!!」
え、ヴェルス?
「ゼントさんより弱い方が私達を守れるわけがありません!」
「ほう、俺達がこの小僧より弱いって言うのか?」
アスコナがヴェルスを睨みつけたが、ヴェルスは一歩も引く気が無い。
確かに、コレクトが既に全員の鑑定を終わらせていたのだ・・・それから推定するとアスコナの提案した布陣ではAランクモンスター1匹がやっと倒せるぐらいの火力しかないのだが・・・・。
俺がヴェルスをなだめようとすると、睨み合いを続けている両者の間にウイルソンさんが割って入った。
「ヴェルスさん、気持ちは分かるが、少し言い過ぎだな。」
「え、でもゼントさんをバカにされて黙っていられません。」
「まあ、ここは俺に任せてくれ。」
「ウイルソンさん、ケイン領主の友人かもしれませんが、ここはゴード国のアスモス領です。私達の流儀に従ってもらいたい。」
「アスコナさん、貴方は今回の調査がゴード国とカンバーイ国の合同調査だということは知ってるよな。」
「そんなことは承知しています。」
「俺は各自の技量から今度の討伐を成功させるために最善の布陣を組んだつもりだ。それはケインも了承している。よって、俺の布陣で失敗しても双方の国の責任ということになるが、これに従わないで君の案で失敗した場合はケイン、いやゴード国の責任になる。君はそのことを理解しているのか?」
ウィルソンさん、かなりきつい言い方してるな。
「もちろんです。失敗しなければ何も問題にはならないでしょう。」
自信満々・・・エルスネークが何匹もいること分かっているのかな?
「分かった。じゃあ明日は君が考えた布陣で行こう。ヴェルスさん、そういう話だから今回は我慢してくれないか?」
「あ、はい分かりました。」
「よし、今日はこれで解散だ、明日の朝は8時にアーシオ遺跡前に集合してくれ。」
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俺達は領主の館を出た門の前にいた。
「う、うう・・・。」
あれ、ヴェルス涙目・・・。
「うわぁーん、怖かったです・・・。」
泣きながら抱き着いてきたヴェルスの頭を撫でながら呟いた。
「ヴェルス、ありがとう俺の為に怒ってくれて。」
「だ、だってあの人たち凄ーく弱いのに、あんな言い方ないじゃあないですか!」
うん、それも言い過ぎ。
「よ、ゼント、色男はつらいな。」
近くにいたトニーさんが声をかけてきた。
「まあ、あいつは一等騎士の団長だからな、力は無くてもプライドはてんこ盛りだ。」
「気さくなケイン領主とはえらい違いでした。」
「ケイン領主は元々冒険者から貴族になっているから冒険者に対する理解はあるんだが、騎士たちとなると普通の貴族の出とかが多いから一般の冒険者に対する態度はあんなもんさ。」
「そんなもんなんですね。」
「ああ、そんなもんだ。明日は俺達は後ろの守りだが、ヴェルスさんが言う通りあいつらの実力では簡単に突破されてくるだろう。こんないい娘はめったにいないから死ぬ気で守れよ!」
「ええ、分かっています。お互い頑張りましょう。」
「それじゃあな!」
トニーさん達は先に宿の方に向かって行った。
「ヴェルス、もう落ち着いたかい?」
ん?
「あれ、もう泣いてないじゃあないか。」
「えへ、ばれちゃいましたか?」
「それならもう離れてよ。」
「そんなあ、気持ちいいんですもの。」
「いや、通行人達がこっちを見てるから・・・。」
「それなら、我も。」
「おい、こら、やめろミュウ!」
「キャウ――!」




