ミセス・ザラス
「キュン、キュン、キュン、 キュン 注1」
注1:ブルーがスズメの鳴きまねをしています。
ん・・周りが明るい・・・朝か、鳥の様な鳴き声も聞こえる・・・・・なんかいつもの様に暖かいような?
「え? なんでミュウとヴェルスがいるの?」
一気に目が覚めてしまった。
「おはようゼント、何朝から大きな声出してるんだ。」
「おはようございますゼントさん。」
「と、隣の部屋に寝ていたんじゃないの?」
「なんか寝付けないので来ちゃった。」
「え?でも部屋の鍵・・・しまった!かけ忘れていた。」
「そうだゼントが鍵をかけ忘れたのが悪いんだ。」
「いや、そういう問題じゃないから・・・。」
布団から出てきた二人の姿を見て俺は俺は声にならない絶叫を上げていた。
二人が着ていたのはグラビアアイドルが着ているような下着だった。注2
注2:艶めかしい表現は避けさせていただきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
丁度その頃、リーナは朝食が出来たことを告げるためゼントの部屋に向かっていた。
本来はセバスチャンの仕事なのだが、無理を言って代わってもらったのだ。
リーナはゼントの部屋の前に立ちノックをしようとしたそのえ時、部屋の中から
「あー▽〇※◆〇●★☆彡▽〇※□●!!!」
「ゼントさん、どうされたんですか!」
異様なゼントの悲鳴を聞き、リーナはノックもせずにゼントの部屋のドアを開けてしまった。
「えー□■〇※◆〇●★▽〇※▼△●✖✖✖!!!」
勝負下着を身に着けているミュウとヴェルスとパンツ一丁のゼントを見てリーナも言葉にならない悲鳴を上げてしまった。
「ゼントもリーナも何を驚いているんだ?ちゃんと下着をつけているんだから問題ないだろう。」
「いえ、その、そそ、そんな恰好で一体「何を」していたんですか???」
「裸だとゼントが怒るのでちゃんと下着をつけてからゼントにくっついて寝たんだ。何も問題ないだろう。」
「そうですよ、カルラさんもこの下着ならばっちりだって言ってましたよ。」
「いや、あの時カルラさんに何ていったの?」
ゼントがやっと正気に戻って質問をしてきた。
「「男の人が喜ぶ下着をみせて」って行っただけですが・・・。」
「え?それって意味が違うのでは・・・。」
「「はぁ――――っ!!」」
リーナもゼントも大きなため息をついてしまった。
「ゼントさん、少しでも疑って申し訳ありませんでした。貴方も被害者だったんですね。」
「リーナさん、分かってくれてありがとう・・・ところでなんで部屋に?」
「あ、そうでした朝食の準備が出来ましたので・・・服を着ていただいてからお越しください。」
「あ、ハイ分かりました。」
ゼントは自分の恰好を見て真っ赤になってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
朝食が終わり俺はリーナさんの家の厨房で料理長=キエフ・ライツ氏に睨まれていた。
「ゼント様、一体どのようにしたら半生で焼いた肉が食べられるようになるのか教えていただかませんか?」
うん、敬語何だけど思いっきり棘がある・・・。
「えーっとまずは鑑定スキルをお持ちの方はいませんか?」
「えーっと私が持っています。」
小柄な女性のシェフが前に出てきた。
「ああ、ナオが持っていたな。」
ナオさんって言うんだ。
「この肉を鑑定スキルで寄生虫がいるか見てください。」
俺は用意してもらったファイアボーアの肉をシェフの前に出した。
「うっ、寄生虫がいっぱいいます。それに細菌も・・・。」
「当然ですよね。それじゃあまずは寄生虫を殺します。」
俺は木刀を取り出し、肉の上にかざした。
「そえじゃあこれから音の刃を放ちます。」
「音の刃なんか放ったら肉がバラバラになっちゃいませんか?」
見物していたリーナのお母さん、リセスさんが質問してきた。流石魔法使い。
「ええ、通常の音の刃ですとそうなりますが、周波数と魔力を調整して放ちますので大丈夫ですよ。」
俺は魔力を微調整しながら音の刃を放つと木刀から数秒間だけ高周波音がした直ぐに治まった。
「これが『音の刃』ですか?」
リセスさんが疑いの目で見てきた。
「調整した音の刃(寄生虫駆除バージョン)です。それじゃあもう一度鑑定をしてください。」
「はい・・・え? 寄生虫がいません。でも細菌はまだいっぱいいます。」
「なに?本当か?」
キエフ氏女性をシェフを睨みつけるように聞いてきた。
「はい、寄生虫がいなくなったのは間違いありません。」
「そ、そうか。でも細菌がいたら食えないよな!」
なんか勝ち誇ったように言っているね。
「ヴェルス、この肉にハイヒールをかけてもらっていい?」
「はい良いですよ!」
ヴェルスは無詠唱で肉にハイヒールをかけていた。
なんか、シュールな光景・・・周りからは「無詠唱だ・・・。」とか軽く驚きの声が聞こえたけど。
「それじゃあ、もう一度鑑定してください。」
「はい!」
「あ!細菌が完全に無くなっています。」
「「「「「えええ!」」」」」
厨房にいるザラス家の人達が全員驚いていた。
「た、確かにハイヒールなら膿んだ部位などの細菌を除去することが出来ますよね・・・それでもこんな高度なスキルを食肉に使おうと考える人なんて、いえ、それより音の刃で寄生虫を退治する人なんて・・・おかしい、何かがおかしい・・・。」
リセスさん、頭を抱えながら蒼い顔でぶつぶつ言ってる。
「というわけで、魔物肉を半生で食べる方法は特殊なんでお勧めできません。」
「特殊すぎて我々には真似できんな。」
キエフさんが首を横に振っていた。
「それじゃあ、次に出来る限り新鮮なカウの肉を出してもらえますか?
「これでいいか?」
キエフさんが厨房の隣の氷室からカウの肉を出してきた。
やっぱり牛肉と一緒だ。
俺はナオさんが鑑定する前にコネクトを使い肉の様子を鑑定してみた。
「ナオさん、これの鑑定をしてもらえますか?」
「はい、分かりました。」
「あっ!」
「どうした?」
キエフさんが食い入る様にナオさんの方を見ていた。
「寄生虫がいません!細菌も表面にあるだけで中にはいません。」
「この肉なら表面だけ焼けば食べられますよ。」
「そうか!魔物の肉が良く焼かなければ食べられないので、カウの肉もそういうものだと思い込んでいた!お前、凄いな!」
俺は思わずドヤ顔をしていてしまったが、向こうの世界の知識なので少々心苦しい・・・。
「じゃあ、どちらも焼いてみましょう。」
俺は塩コショウ(シガルの実)を肉につけてフライパンで焼いてお皿の上に乗せた。
包丁で切ってみるとどちらも丁度良いぐらいに中に赤みが残っていた。
うん、うまく焼けた。
「どうぞ、試しに召しあがってください。」
俺は肉を小さく切って皆の前に差し出した。
「ほ、本当に赤いですね。」
最初にリセスさんが恐る恐るファイアボーアの肉にフォークを伸ばしてきた。
「奥様、まずは私が毒見をしてからにしてください!」
「いえ、私はハイヒールが使えるから大丈夫よ。」
いや、ハイヒールを使う人間がダウンしたらだめだろう・・・思わず突っ込みを入れたくなった。
セバスチャンの制止を振り切ってリセスさんが肉を口に運んだ。
「ん!お、美味しい!こんな柔らかいファイアボーアの肉なんて食べたことないわ!!それに肉汁もいっぱい!半生のお肉ってこんなに美味しいのね!!」
「それにしてもファイアボーアの肉は味は良いんだけど筋が多くて食べにくいのよね!筋はどうなったの?」
「筋は音の刃を使ったおかげで細かく切れたようなんですよ。」
「そんな効果まであるなんて、本当にゼントさんて凄いわね!」
リセスさんの褒め言葉を皮切りに皆が一斉に食べだした。
「う、美味い!これからはカウの肉は半生だな!ナオ、鑑定は頼んだぞ!」
「はい、料理長!」
うん、キエフさん、最初とはえらい違いだ。
「それにしてもファイアボーアの肉は勿体無いな、あんなスキルは俺達には使えないからな。」
キエフさんが非常に残念そうな顔している。
「それなら私がやります!」
えっリセスさん?
「私は音の刃もハイヒールも使えますから、練習すればできますよね?」
「あ、でも音の刃は調整が難しいですよ。」
「大丈夫です。任せてください! キエフ、ファイアボーアの肉を出してください。」
「あ、はい奥様。」
キエフさんが持ってきたファイアボーアの肉に、リセスさんが手をかざしてじっと見つめている。
「それじゃあ、やりますよ!」
「音の刃!」
リセスさんが詠唱した瞬間、肉の塊が粉々になって飛び散った。
「キエフ、もう一枚」
・・・・・・・
5枚程ミンチを作った後にミンチだらけになったリセスさんが聞いてきた。
「はあ、はあ、す、すごい難しいですね・・・ゼントさんコツを教えていただけませんか?」
「コツといってもね・・・。」
(告:リセスサンノ手ニ触レルコトデ、主ガ魔力ノ加減ヲ教エルコトガデキマス。コノ世界デ魔法ヲ人ニ教エル時ニ良ク使ワレル手法デス。)
え、?そうなの?それやってみよう。
「えーっとそれじゃあリセス様、肉の上に手をかざしてくれませんか?」
「こんな風にですか?」
「えーっと手に触っても良いですか?リセスさんの手を介して風の刃を使ってみます。それで加減が分かるかもしれません。」
「あ、魔法を教える時にやる手法ですね。是非お願いします。」
「それじゃあ失礼します。」
俺はリセスさんの右手の上に俺の右手を重ねて木刀と同じ様に魔力を込めた。
「え? あ、何この感覚は、あ、あん、あはーん♡」
いや、何その色っぽい声?
「なんだ、リセス変な声を出して。」
リセスさんの声を聴いてケイン氏が厨房に入ってきた。
「あなた、何でいきなり声をかけるんですか!」
「いや、お前が変な声を出しているから・・・。」
「ゼントさんに風の刃の使い方を教わっているだけですから、邪魔しないでください!!」
「いや、わ、分かった。」
うん、奥さんにも尻に敷かれている。
「それじゃあ、もう一度やりますよ。」
「はい、是非お願いします。」
俺はもう一度右手に魔力を込めて、リセスさんの手から風の刃(寄生虫駆除バージョン)を放った。
「あ、ああ、あ 気持ちいい――――――――!!」
いやいや、何?気持ちいいって、それになんで火照った顔してるの???
「はい、終わりました。」
「え、もう?もう少しお願いできませんか?」
何かとろんとした目でリセスさんが訴えてくる。
「いえ、これ以上やっても駆除するものがいないので・・・。」
「ゼ、ゼント君、君は妻に何をしたんだ!」
「いや、何って『風の刃寄生虫駆除バージョン)』を教えていただけですが・・・・。
「それにしてはリセスが何故興奮しているんだ?」
「いや、俺の方が知りたいくらいです。」
「リセス何が気持ちいいんだ?」
「え、ええ、何というかゼントさんの魔力がとても心地よいのです。ゼントさんの魔力が手を伝わって体中に広がるともう・・・だめ!」
「わ、分かった、もういい。とりあえずなんだ『風の刃」を習うという目的は達成したんだな?」
「多分大丈夫だと思いますよ、キエフさんもう一枚肉を持ってきてもらえますか?」
コネクトが俺の魔力の使い方を刷り込みしたので大丈夫だって言ってるから大丈夫なんだろう・・・一回で大丈夫なのか?
「それじゃあ、リセス様一人でやってみてもらえますか?」
「そんなぁ、一回じゃあ覚えられませんよぉー。ねぇ、もう一回。」
いやそんな色っぽい声で言われても・・・。
「大丈夫、保証しますからやってみてください。」
「はぁ~、仕方ないですね。」
リセスさんは渋々詠唱していた。
「あら、爆発しないわ!」
「奥様、ちゃんと駆除できていますよ!」
「え、本当ですか やったーやりましたね!!」
まあ、コネクトが大丈夫って言ったんだけどね。
リセスさんさっきとは違って凄く良い笑顔してる・・・色っぽい顔も良かったけど。
「いて、いててて!」
「ん、どうされたんですか?ゼントさん。」
「いえ、何でもありません。」
ヴェルスが思い切り尻をつねってるし・・・・俺の心読んでないか?
「じゃあ、そろそろ俺達は行きますので・・・・って、何この女の子の列????」
後ろを振り向くと、リーナさんを先頭にメイドさんの列が出来ていた。
リーナさんが一歩前に出てきて照れながら、
「あのう・・・ゼントさん私にも魔法を教えてくれませんか?」
「私にも魔法を教えてください・・・。」
「私にも是非お願いします!」
「どんな魔法でも良いので魔力をください・・・。」
「私に貴方の全てをください。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いや、なんか一名違うこと言ってる人もいるけど・・・・ナオさんまで並んでいるし。
断ったら殺されるか?




