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アーシオ遺跡騒動

 アーシオ遺跡は、オナシティ西側のアーシオ村で昨年発見された遺跡である。灌木しかない荒れ地を農地に改良している際に農夫が陥没した穴に落ちて発見したのだ。


 ゴード国には古代文明遺跡が2箇所にあり、2か所目のアーシオ遺跡は昨年発見されたばかりで、人族の国での遺跡の発見は30年ぶりであり、各国の注目を集めていた。


 サーチスキルを持つ魔法使いにより12階層までは確認されているが、遺跡の構造からそれ以上の階層があると考えられている。既に確認されている階層だけでも、オーマ国のケゴン遺跡の11階層を超えており、現在発見されている遺跡の中ではエルアースの中で最も深い階層を持つ遺跡である。


 今までこの遺跡はゴード国単独で上部3階層まで調査が実施されていた。今回初めてカンバーイ国との合同調査を実施することになり、ゴード国のカール・サイス考古学教授の調査にカンバーイ国のウイリアム・ヘンツ教授が加わったのだ。


 アーシオ遺跡の調査はまだ上部3階層までしかされていないが、少数のCランクモンスター程度しかいないため調査は順調に進んでいた。そう前回の調査までは・・・。


 少し時間を遡り、ゼント達がのうたた寝をしている頃、アーシオ遺跡内では3組のA級冒険者のパーティと魔物の大群とで乱戦状態になっていた。その中にはゼントの知り合い「紅の女神」のトニーとアリソンの姿も見られた。


「トニーなんなのこの魔物達の数!全然楽勝じゃあないじゃない!」


「いや、前に来た時はこんなんじゃなかったぞ!」


 トニーは単独で何度か護衛でアーシオ遺跡の調査に同行しており、今回の依頼を楽勝だとアリソンに言っていたのだ


「数も多いけど、種類の違う魔物達が連携して襲ってくるなんてあり得ないでしょう!」


 Cランクのデビルモールが、これ見よがしに側道から顔を出していたので追いかけていくとAランクのキングケラが襲ってきたのだ。キングケラに攻撃をかけていると今度はデビルモールの大群に取り囲まれてしまった。


「デビルモールとキングケラが連携して襲ってくるなんてどう考えてもおかしい!」


 ラインウルフの様に同じ種類の同じ群れの魔物同士ならば連携して襲ってくることもあるのだが、種類の異なる魔物同士は意思疎通ができないので連携するなど考えられないのだ。


 洞窟内では炎系や雷撃系の魔法は、火災になった場合に酸欠状態になることから使用が出来ないため、アイスランスや光の刃などのスキルしか使えないのだ。


「くそ、倒しても倒しても出てきやがる。このまま持久戦になったら全滅だ。」


 他のパーティで既に怪我人も出ているが、治療が間に合わない事態になっている。


 以前の調査でアーシオ遺跡内には大したモンスターはいないことが分かっていたため、本来3組ものAランクパーティなど護衛として必要ないのだが、2国の合同調査ということもあり”念のため”3組のAランクパーティが護衛についたのだが・・・。


 ウイリアム・ヘンツ教授は元S冒険者ということもあり参戦していたのだが、この異常な事態に焦っていた。遺跡調査どころか調査隊が全滅なんてことになりそうな状態なのである。


「ドゴン!!」


 轟音と共に通路の一部が陥落した。


「うぉ!!イエロー・エル・スネークじゃあないか!」


 陥没したのはデビルモールの作った穴で、そこを通ってイエロー・エル・スネークが出てきたのだ。


「ギャ――――!!!」


 護衛の魔剣士の一人が毒液を右腕に喰らったのだ。


「このままだと、死人がでるな・・・カール教授撤退しましょう。」


「うむ、分かった。」


「みんな、撤退だ!」


 今回の出来事はウイリアムの長年の経験をもってしても考えられないことだった。


「まさか、奴らの妨害か・・・?ケインに相談するか・・・。」


 ウイリアムとカールは冒険者達と共にアーシオ遺跡を後にした。

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