オーディナリー
俺達は魔物を回収しながら、森の出口までたどり着いた。
「さて、オナシティに着いたらギルドに報告に行こうか?」
「その前にナトリ服店に寄って、先日頼んでおいた服を引き取ってきましょう。」
「そうだな、ミュウとヴェルスの服も追加で買わないといけないしね。」
「へへへ。」
ミュウがバツが悪そうにしていた。
「ところで、ブルーの事を聞かれたらなんて答えるの?」
「問題はそれだよね。魔物じゃないから街中に入るのは問題ないけど、この世界にいない鳥だからな・・・。」
「『森で拾ったから良く分からないけど、ローア鳥の亜種じゃないか?』って言っておけば良いのでないですか?鳥類学者でもなければ細かい鳥の識別なんてできないでしょうし、ゼントさんのスキルが特別なだけですから。」
「それもそうだね、鑑定能力でも限界があるだろうし。よし、それで言い通そう!」
俺達はオナシティの北門で冒険者カードを見せて中に入っていった。
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「いらっしゃいませ。」
ナトリ服店に入るとカルラさんが出てきた。
「ゼントさんでしたね、先日ご注文いただいた服は仕上がってますよ。」
店の奥に戻るとカルラさんが服を持って出てきた。
「こちらですので、ご確認してください。」
「はい」
俺達は注文したものに間違いがないか確認した。
「もしよければここから着替えても良いですか?」
「よろしいですよ、そうされた方がサイズの確認にもなりますので。」
ミュウ達は先日確認しているので、まずは俺か試着することにした。
「すみません、ここに『ブルー』を止まらせておいてよいですか?」
「構いませんよ。さっきから綺麗な鳥だったので気になっていたんですが、なんていう種類ですか?」
「森で仲良くなったので良く分からないけど、ローア鳥の亜種じゃないかって言われたことがありますね。」
「ブルー、そこに止まって待っててくれないか?」
「キャウン!」
ブルーは一声鳴くと俺の言う通りに服を展示している所の端に飛び移った。
「あら凄い、綺麗なだけでなく賢いんですね。」
なんかブルーがどや顔しているように見える。
試着室に入ると俺はおニューの服に着替え、左肩から心臓を保護する革のプロテクタ―を付けてみた。
鏡の前でポーズをとってみる・・・・・・中二病だな。
自分でやっていて何だが、非常に恥ずかしい!高二でこんな格好をするとは思わなかったな・・・。
まあ、この世界の標準なんだから良しとしよう。
俺が試着室から出ると二人が試着用の服を持って待っていた。先日購入した服が見事に三日でだめになったので追加購入することになったのだ。
「ゼントさん、似合ってますよ。」
「ゼント、格好いいぞ!」
「いや、まあ、はははは・・・。」
うん、非常に恥ずかしい。
「ゼント、この後に下着も買うけどいいな?」
「すみません、先日購入し忘れていました。」
「ああ、構わないよ。俺も買わないとね。」
俺はその辺にある適当なトランクス風のパンツと肌着を選びカルラさんに渡した。
「彼女たちは時間がかかると思うので、少しその辺を散歩してきます。」
「はい、どうぞごゆっくり。」
「ブルー、行くぞ!」
「キャウン。」
俺はブルーと一緒に店の外に出ると、何やら甘いいい匂いがしてくる。
少し離れたところに何かの屋台があるのだ。
「なんだ、お菓子でも売ってるのか?」
俺が匂いにつられて屋台を覗き込んだ。
揚げパンの様なものに何か光沢のあるものが上についている。
アンドーナツの上に何かでコーティングしたみたいな感じだ。
「これ、何ていうお菓子ですか?」
「あんちゃん、知らないのかい?これはオナシティの名物のドーナっていうんだ。」
ほとんど一緒の名前・・・転移者が広めたな。
「ああここに来てまだ4日しかたってないからな。一ついくら?」
「小銀貨1枚だよ。」
約100円といったところか、お菓子だから少々高めだな。
「それじゃあ、一つ頂戴。」
俺は小銀貨をおっちゃんに渡して、ドーナを受け取った。
俺はこちらの貨幣を日本の通貨に当てはめて考えている。例えば小銅貨は1円、銅貨は 10円、小銀貨は100円、銀貨は1000円というように。
大体いい感じなのだが、日本より物価がかなり安いことになるんだね。
「まずは一口。」
「おお、中にあんこが入っている・・・まんまアンドーナツじゃん、上についているのは砂糖を溶かして飴みたいにしたやつか。この組み合わせだと結構甘いな・・・でもなんか懐かしい味。」
「キャウ・・・。」
ブルーが食べたそうにジッと見ている。
「ブルー、食べられるのか?」
「キャウ、キャウ!」
鳥にアンドーナツ食べさせていいのかな?
「じゃあ、少し食べてみな?」
ブルーの前にドナッツを持って行ってやると。
「バクン!」
ブルーが一口でドーナを食べてしまった。
「お、俺の分が・・・。」
「キャウ―・・・」
「ん?もしかして腹が減ってた?」
そういわれてみれば森から何も食べていないし、そもそも変異E魔素にやられる前から食べてないのか。
「干し肉でも食べるか?」
「キャウ、キャウ!!」
俺はナトリ服店の前にあったベンチに腰かけてバックパックから干し肉を出してブルーにあげてやった。
「キャッ、キャッ、キャッ、キャッ、キャッ、」
ブルーが夢中で食べ始めた。
「悪かった、腹が減っているのに気が付かなくて・・・。」
俺はブルーの頭をなでながら謝った。
「ゼントさん、何をされてるのですか?」
「かなり腹が減っていたようたったんでブルーに干し肉をあげていたんだ。ヴェルス達は買い物は終わったの?」
「はい、支払いも済ませてきました。」
「ありがとう。じゃあ、いったんワン・モーメントに戻って昼食を摂ってからギルドに報告に行かないか?」
「ええ、そうですね、街道の障害はほとんど排除しましたので、それほど急ぐ必要はないでしょう。」
「そうしよう、ほらブルー行くぞ! 宿に帰ったらもっとうまいもの食わせてやるから。」
「キャウン!」
ブルーが俺の肩に乗ってきた。
「そうだ、食後のデザートにあそこで売ってるドーナを買って帰らないか?」
「あれは美味いのか?」
ミュウの食いつきが良いな。
「ミュウ達を待っている間に1個買って食べてみたんだけど意外と美味しいよ。一口食べた後、ブルーに全部食べられちゃったから物足りないんだ。」
「それなら、みんなの分を買って帰ろうよ!」
俺達はドーナを”4個”買ってワン・モーメントに戻った。




