スキンシップ
「ううっ、ここはどこだ?」
ミュウが魔物のすがたのまま目を覚まして辺りを見回していた。
「ここは、ゼントの亜空間じゃないか。」
「そうだ、ゼントが我を闇から救い出してくれたのか・・・。」
ミュウにはSSモンスターと化していた時のことを思い出してぞっとしていた。
あの時は異常な闘争心と恐怖心に苛まれて、全てが敵に見えていたのだ。
「そうだ、ヴェルスは?」
ミュウはヴェルスを爪で切り裂いてしまったことを思い出し、狼狽して辺りを見回した。
すぐそばにヴェルスが横になっているのを見つけると鼻をヴェルスの顔に近づけた。
「良かった、寝ているんだ。傷も綺麗に治っているし本当に良かった・・・そうだゼントは?」
「ゼント!」
少し離れた場所に倒れているゼントにミュウは駆け寄っていった。
「良かった、ゼントも無事だ・・・我らをここに連れてきた後、力尽きたんだな。」
ミュウとヴェルスは寝袋の上に寝せられて毛布が掛けられていたが、ゼントは床に倒れるように寝ていたのだ。
ミュウは目を細めながら顔をゼントに摺り寄せていた。
「そうだ、人間になれるかな?」
ミュウは変異E魔素の影響で魔力が乱れていたため、人化が出来るか不安だったのだ。
ミュウの全身が光輝いたかと思うとそこには獣人のミュウが立っていた。当然素っ裸で・・・。
「よし、うまくいった。」
ミュウはゼントを抱きかかえると布団まで連れて行って毛布を掛けてあげようとして。
「服、ボロボロだな。」
ゼントの服の腹の部分はミュウの爪で切り裂かれて、背中は大木にぶち当てられていたので、ほとんど生地が残っていない状態だった。
「よし、脱がしちゃおう。」
ミュウはゼントの服とズボンを脱がしてパンツ一丁にしてしまった。
「んーと、これだと風邪をひくよね? そうだ、一緒に寝ればいいんだ。我の体温で温めてやろう。」
ミュウはゼントにくっつくと毛布を掛けて一緒に寝てしまった。 注1
注1:ミュウは元々魔物であり、仲間と生まれたままの姿で寝ることに全く抵抗はない、絶対にない。
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「えっと、ここはどこ?」
ヴェルスが目を覚まして辺りを見回した。
「ここは、ゼントさんの亜空間ね。」
「そうだ、ミュウさんに切り裂かれた後、ゼントさんが助けてくれたんだわ。」
「あの時、私がもっと戦えていたら・・・・。」
ヴェルスはあの戦いの時にゼントの足手まといで何も出来なかったことを悔やんだ。
「そうだ、ゼントさんとミュウは?」
ヴェルスは自分の傍らに寝ているゼントとミュウを見つけた。
「良かった二人とも無事・・・何で二人共裸なんですか?」
「あ、ゼントさんの服。」
ヴェルスは近くに脱ぎ棄ててあったゼントの服を見て納得した。
「戦闘でボロボロになったので脱いだんですね。えっと、そうですね私の服もボロボロですよね。」
ヴェルスは自分に言い聞かせるかの様に服を脱ぎ始め、一糸まとわぬ姿になるとゼントの毛布をめくり、ミュウとは反対側にいそいそと入り込んでしまった。注2
「ゼントさん、おやすみなさい。」
注2:ヴェルスは元々女神だったこともあり、人間の羞恥心というものが理解できていない。おそらくミュウを基準に考えている。
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「ん、あ――――腹減った。」
夕べ何も食べなかったので妙にお腹が減っている。
ん?なんか妙に体が温かいな。この感触って一体?
左を見ると、ヴェルスの顔がすぐそばにあるし、右にはミュウの顔。
それより、さっきから体に感じている感触は・・・・
「は、裸!!!」
なんでミュウもヴェルスも裸になって俺に引っ付いているの・・・つうか俺も!
「あ、おはようゼント。」
「おはようございます。ゼントさん。」
「お、おはようは良いけど、なんで二人共裸なの??」
「我は変身した時に破れてしまったんだ。」
「私の服は酷く破れてしまったので、脱いじゃいました。」
「いや、亜空間の中に着替えがあったでしょう。」
そう言われてみれが、昨日空間酔いでダウンする前に亜空間を開いて二人を何とか担ぎ込んだんだ。
「だって裸の方が気持ちよさそうだったんだもん。」
「ミュウさんが気持ちよさそうだったので思わず私も・・・。」
「あー、分かった、もういいや。」
頑張れ!俺の理性!
「そういやあ、夕べ何も食べていないから朝食にしよう!」
俺達は亜空間にしまっておいた服に着替えてから、亜空間の入口を森の中に向けた。
「ん―― 死屍累々・・・。」
昨日は必死で気にならなかったけど・・・当然こうなっているよね。
「お――凄いことになっているな。」
「やったのミュウだろ!」
「へへっ。」
「仕方ないな―― 収納!」
「お、一瞬で消えたぞ!」
「どうだ凄いだろう。」
思わずどや顔してしまった。
「それじゃあ、竈を出すから朝食を作ろう。」
俺はソーリの森にいる時に作った竈を二つ出して火を起こした。
スープは以前作っておいたコンソメ風スープにニンジンと玉葱とファイアボーアの肉を入れた。
昨日は疲れたから甘いものが欲しいな・・・そういえば市場でミルクが手に入ったな。
俺はミルクに卵とエルハニービーの蜂蜜を入れてかき混ぜ始めた。
「ゼント何を作るんだ?」
「へへーフレンチトーストっていうんだ。ミュウも前の世界で食べたことがあるよ。」
かき混ぜ終わった後パンを薄切りにして浸してから、フライパンにバターを敷いて焼く。
簡単で朝食にはもってこいだ。バターが手に本当に入ってよかった。
「凄い、いい匂いですね。」
「ヴェルス、スープが出来たようなのでカップによそってくれる?」
「はい!」
俺はテーブルの上の皿に焼きあがったフレンチトーストどさっと載せた。
「お――本当に美味そうだ。」
「「「いただきます。」」」
「エルハニービーの蜂蜜凄い!こんなに美味くなるとは思わなかった。」
「このパン、甘いんですね!でも凄く優しい味です!」
「うん、美味い!記憶にあるやつより美味いぞ!」
あの蜂蜜は凄いな!
朝食を食べ終わると後片付けをしてオナシティに戻ることにした。
「さて、ミュウが倒した魔物を回収しながら行くか。」
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「一体何匹倒したんだ?ミュウ」
「いやあ、覚えてないよ。」
既に100匹以上回収しているのだが、まだ終わりが見えそうにない。
「すべて買い取りに出したらギルドが破産するぞ・・・。」
「それよりも私達が異質に見られるのが問題かもしれませんね。相当目立つと思います。」
「冒険者になって誰にも束縛されることなくこの世界を見ていこうって計画が危うくなるな。」
「まあ、ゼントさんが既に相当やってやってしまっていますけどね。」
「ははは・・・。」
結局、ギルドに買い取ってもらうのは倒した魔物の1/5ぐらいにしておこうという事にした。一部混ざっているSSランクモンスターは完全にお蔵入りだな・・・。
「倒したモンスターの数は誤魔化すにしても、あの変異E魔素を出す魔石のことは言わないといけないよね?」
「そうですね。一昨日見つけた巨大魔石のこともありますし、同じ犯人による可能性が高いと思います。」
「古代文明の技術ってことは個人の犯行じゃあないよね。」
「ええ、おそらくどこかの領主、もしかしたら国家かもしれませんね。」
「オーマ国じゃないの?」
「「え?」」
「あいつらの領地に古代文明の遺跡がいくつもあるから、そこから発掘したんだと思うよ。」
「ええ、確かにオーマ国には古代遺跡が4箇所ありますね。」
「奴らは農産物や海産物などで国土を豊かにするんじゃあなく、古代遺跡発掘に力をいれていてそれを他国に輸出して稼いでるからね。ゴード国とは全く違うやり方で発展してきたんだ。」
「ええ、確かにオーマ国に技術なら出来そうですが、だからと言ってこんな事をする理由にはなりませんよ。」
「そうかかなー我はそう思うんだけどな。」
「なんでだ?」
「”野生の勘”というやつ。」
「そ、そうなんだ・・・。」
もっと根拠があるのかと思った。
「さて、もう一仕事するか、収納!」
「キャウン!」
ん、何だ今の声は?なんか落ちたぞ。
魔物の死骸を収納していると、グレーの塊が収納されずに地面に落ちたのだ。
「あれは鳥・・・・だよね。」




