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グロリアの涙

少しシリアスな展開になります。

・・・冒険者パーティ「金の刃」の魔法使いグロリア視点


 なんで、こんな所にAランクモンスターが4匹もいるの!!

 

 道の前方にレッド・エル・スネークが2匹、後方にイエロー・エル・スネークが2匹、道を塞ぐ形でとぐろを巻いている。逃げ道は森しかないが森に逃げ込んだらそれこそ奴らの思う壺だ、一瞬で餌食になってしまう。


 奴らの鱗は非常に硬く、光の刃すら通さないし、電流も受け流してしまうため、雷撃も効果が無い。魔剣での接近戦か魔弓で鱗を貫通させるしかない。


 私の魔力では一方向しか絶対シールドを張ることが出来ないので前後の敵からの攻撃を同時に防げない。一匹なら全員で攻撃を加えれば何とかなるかもしれないが、4匹は無理!


「グロリア、後ろのイエローからの攻撃を防いでくれ!俺達は前方のレッドを攻撃する。なんとしても奴らに隙を作って逃げるぞ!」


「わ、分かった。」


 私はレックスとレガータが奴らに切り込んでいくのを見て、後方のイエローからの攻撃を防ぐため絶対シールドを張った。


 コンパーノは魔弓で後方からレックス達の支援をしている。


 イエローは口から毒液を出して攻撃してくるが、私の絶対シールドで何とか防ぎきれている。

 

 レックス達は切り込んでいったは良いが、ブレスの攻撃を受けて接近戦に持ち込めずにいる。

 仕方なく光の刃の斬撃を放っているが弾かれてしまっているのだ。


 後ろのイエローを見ると・・・・


 あれ? 一匹しかいない!!

 

 もう一匹はどこ?! 左の森!


 イエローが一匹森の中から顔を出し、毒液を出そうとしている!!


「危ない、コンパーノ逃げて――――!」


「なんだって!」


 コンパーノが振り向くとイエローが毒液を噴射してきた。


「ぐあ――――!うぁっうぁっ、うぅぅ――――」


 右半身に毒液を浴びてのたうち回っている。


「ヤバい!」


 私は一瞬だけ絶対シールドを解除し、コンパーノを襲ったイエローにファイアランスを放った。


 イエローの動きが鈍った隙にコンパーノに駆け寄より、直ぐに絶対シールドを張りなおした。


「直ぐにヒールをかけないと、でも無理!、あたし二つのスキルを同時に使えない!!」


  レックスとレガータはコンパーノがやられた事に気が付きこちらに駆け寄って来ようとした。


 その時、レッドのブレスがレックスの右足を襲ったのだ!


 レックスは呻き声を上げ、右足を抱えてながらここまで転がってきた。レガータは辛うじて私達のところまで駆け寄ってきた。


 ・・・っ、私とレガータででこの状況を打破しなけれならないの!


「グロリア、覚悟を決めよう。せめて一匹でも道連れにしてやる。」


 レガータは諦めと恐怖、自身の無力さに対して震えているようだった。


 4匹のエル・スネーク達に睨まれ、私も震えが止まらなくなった。


 それでも、このままやられるだけじゃいやだ!


「分かった!私は絶対シールドを解除してあのコンパーノをやったイエローにファイアランスを放つよ、その間に奴をぶった切って。」


「わかった、いくぞ!」


 もう覚悟は決まった、思ったより短い人生だった。所詮冒険者なんてこんなものか。


 私が絶対シールドを解除し、ファイアランスを放とうとしたその時・・・・奇蹟が起こったのだ!


 絶対シールド解除したのにもかかわらず、毒液だけでなく前方のレッドが放つブレスまで弾かれている!


 レガータも何が起こったのか分からず茫然としていた。


 人の気配を感じて倒れているレックスを見ると、見たことが無い女性がレックスの容態を見ていた。


「あなた、ヒールは使えますか?」


「あ、は、はい。」


 突然現れた見知らぬ女性に話しかけられて私はドギマギしてしまった。


「この人に直ぐヒールをかけてください。私は重体のあちらの方を診ます。」


「あ、はい、あの、このシールドは貴女が張っているのですか?」


「はい、そんなことより早くヒールを!」


「わ、分かった!」


 私がレックスにヒールをかけている間、見知らぬ女性はコンパーノの容態を見ているようだった。


 何か少し考え込んでいたかと思うとおもむろに詠唱を始めた。


「ハイヒール!」


 コンパーノの周りが金色の光に満たされていった。


 全周に絶対シールドを張りながらハイヒールを使ってる!!


 ありえない!こんな高度なスキルを同時に使えるなんて!


 でも彼女は平然としている。魔力切れも起こしていないようだし。


 レッドのブレスもイエロー毒液も完全に弾かれている。


 それにしても、何このハイヒール!! ハイヒールは以前に見たことがあるけど、こんな美しい輝きはしていなかったはずだ。


 もっと高度なヒール、エクストラヒールじゃないの?でもハイヒールって詠唱しているし・・・。


「う、うーん」


 レックスの傷が治り、目を覚ました。良かった、私のヒールが効いたんだ!


 思わず目から涙が落ちそうになった。

 

「レックス、大丈夫?」


「あ、ありがとうグロリア、そうだ、コンパーノは?」


「今あの人が治療しているわ。」


 コンパーノを包んでいた光はすでに無くなり、コンパーノの傷は完全に治っているようだ、凄い!

 

「周りが妙に静かだけどレッドとイエローは?」


「え?」


 周りを見るとレッドもイエローもまるで眠っているかのように地面に横たわっていた。


 既に絶対シールドも無くなっている。


「がさっ」


 音の方向を見ると知らない男が木の上から飛び降りてこちらに近づいてきた。


「ヴェルス、大丈夫かい?」


「ええ、丁度治療が終わった所です。」


 「ヴェルス」この世界の「今を司る女神」の名前だ。


 地上に女神なんているはずはない。

 

 いえ、それでも彼女は私達にとって正に女神そのものなのだ・・・。


 止まらない涙が溢れ出してきた・・・。


冒険者パーティ「金の刃シャチ」のメンバー

レックス・プレアデス  男性 20歳 魔剣士 Bランク リーダー

コンパーノ・ダイ  男性 19歳 弓使い Bランク

レガータ・フィアト 女性 19歳 魔剣士 Cランク

グロリア・リンス  女性 18歳 魔法使い Cランク 


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