こんなスキルがあったんだ
リーナさんが帰った後、俺達は風呂に入り部屋で寛いでいた。
「ゼントー、ビール買ってきたよ。」
ミュウがグラスを両手と尻尾で掴んで部屋に入ってきた。
お盆でも使うのかと思ったら、なんて器用な・・・。
「ありがとうミュウ、じゃあヴェルスお願い!」
「はーい!」
ヴェルスが氷魔法でビールを冷やしてくれた。
「それじゃあ今日はお疲れさまでした。」
3人で乾杯をして、スピアブルの干し肉をつまみにビールを飲み始めた。
「ゼントさん、現在のゼントさんのステータス見せてもらっても良いですか?」
「えっ? どうやって見せるの」
「えっ? やったことが無いのですか?」
「一度だけ自分で確認したことがあるけど、あれって人にも見せられるの?」
「ステータスオープンと念じてください。」
「分かったステータスオープン!」
{タナミ・ゼント}
*人族
*体力:70500
*魔力:85050
*スキル:
メインスキル :魔剣士、回復士、コネクト『音声案内OFF』
サブスキル :亜空間収納、光の刃、音の刃、風の刃、水の刃、アイスランス、雷撃
ブルーブレス、毒液、ファイアボール、火だるま、スクランブルフラッシュ
音波検知、絶対シールド、スキャン、耐毒、瞬歩、身体強化、分身
エクストラヒール、ムーブ、フリーズフレーム
アディショナルスキル:組織再生、魔素を操る者
「おおー、体力、魔力共に凄い増えているな!以前見た時より大分成長したな、うん。」
「「え?」」
俺が喜んでいるのに対して、ヴェルスとミュウが同時に首を傾げていた。
「このサブスキルの数は異常ですね!」
「そうだ、確かにゼントのスキルで魔物のスキルを奪っていたようだけど、この数はあり得ない!」
「普通の魔剣士の場合、サブスキルはせいぜい2、3個ですね。ケインさんはSランク冒険者なので見たところ5個ぐらいのサブスキルは持っているようですが。」
「そ、そうか? 魔剣士は相手の剣を折ると、相手の力を奪うことが出来るからじゃあないか?」
「いえ、それは魔剣士同士のオリハルコンを使っての戦いでの話です。魔物を倒してスキルを奪う魔剣士なんていません!」
「え?・・・違うの?」
「それによく見てください、私のスキルの「スキャン」と「ムーブ」と昨日ケインさんが使った「身体強化」がありますよね。ゼントさんは私もケインさんも倒していませんよ。」
「え???? そんなのが増えてるの?」
「我の分身スキルもあるし、今朝ヴェルスが使った『フリーズフレーム』もあるよ。」
「え?え?え?・・・・???」
「それと、ここが重要なんですが、アディショナルスキルに『組織再生』と『魔素を操る者』というのがあります。」
「え?『アディショナルスキル』? 」
「『組織再生』というのは、おそらく、私が初めてゼントさんに会った時に習得したものだと思います。」
「あのリンゴを食べた時?」
「そうです、あの時石にならずに復活したのははユグドラシルの加護だと思っていたのですが、ゼントさんのスキルだったんです。このスキルがあれば頭さえ残っていれば、死ぬことは無いですね。」
「いや、そんなゾンビみたいな、いやゾンビでも頭を落とされれば死ぬよ。」
「ゼント、なんだその『ゾンビ』って?」
「ああ、前に居た世界の化け物で、死者が蘇ったやつだ、手足を切られても襲ってくるんだ。」
「いや何を言っている、我の前世の世界にそんな化け物がいた記憶はないぞ。」
「まあ、もちろん本当にいたわけじゃない。架空の話で映画やテレビでやっていたんだ。」
「ああ、ゼントが見ていいたあの四角いやつか。」
「そう、それ!」
「ごほん!」
ヴェルスが咳ばらいをしてこちらを睨んでいる・・・。
「ごめん、関係ない話に夢中になって。えっと組織再生の話だっけ?・・・」
「あ、そうかやっと分かった!!」
「「え?何」」
いきなり叫んだ俺にヴェルス達が目を丸くしていた。
「ピラニアドラゴンにやられた時に酷い火傷を負ったんだけど、気が付いたら治っていたんだ。あれは組織再生スキルのおかげだったんだな。ずっと疑問に思っていたんだけど、すっきりした。」
「それは間違いなく組織再生スキルの能力ですね。次に『魔素を操る者』ですが、今日の市場での出来事を思い出してください。」
「あの「もやもや」してたやつか?」
「やっぱりの魔素の動きが見えていたんですね?」
「はぁ~~~!」
ヴェルスが思い切りため息をついて頭を抱えた。
「ゼントさんのこの大量サブスキルとアディショナルスキルは、おそらく大量に「C魔素」を体内に取り込んだためだと思います。C魔素のおかげで、ゼントさんは体験したスキルを全て体得できてしまうようです。」
「へっ・・・? C魔素って何?」
「魔素には、炎や風などを引き起こすエネルギーの源となる『E魔素』と、それらをコントロールする『C魔素』があります。この二つの魔素を使うことによって魔剣や魔法を使うことが出来るんです。どちらか一つ欠けてもだめです。鑑定やステータスで見ることが出来る魔力は『E魔素』の方で『C魔素』の量は見ることが出来ません。」
「種族によって『E魔素』と『C魔素』保有量や比率が異なっており、『E魔素』の割合が多いのが魔族や魔物で、『E魔素』と『C魔素』同じくらいか、『C魔素』の割合が多いのが人やエルフ、その他の動物ということになります。」
「人族で言えば『E魔素』と『C魔素』の比率が同じで絶対量が多い人が魔法使いとなる場合が多く、『E魔素』が少なく『C魔素』の多い人が魔剣士となる場合が多いのです。魔剣士は少ない『E魔素』を魔剣に集中させることで光の刃などのスキルを発現させるているのです。それにオリハルコンは『E魔素』のストレージ媒体となる特性があるので、魔剣として使われているのです。『C魔素』の量は見ることが出来ませんが、スキルの数や質でその量を推し量ることが出来ます。」
「そうか、俺は「C魔素」が多いのか。」
「そうです。おそらく非常識に・・・。」
「非常識???」
「ゼントさんが、この世界に出現したのはかなりの高空でしたね?」
「ああ、高いところから落ちていたのでウルスに助けてもらえたんだけど。」
「この世界ではC魔素もE魔素も生き物の中だけでなく空間にも存在しているのですが、E魔素は高度に関係なく存在しているのに対して、C魔素は地上には少なく、高空域に大量に存在しているんです。」
「あ、俺は高空に転移してきたのでC魔素を大量に取り込んだってことか?」
「その通りです。大量に取り込んだC魔素のおかげで、異常ともいえる魔素のコントロール能力を身に付けたんですね。それで見たことがあるスキルはすべて使うことが出来るんです。」
「いや、そんなチート能力、最高じゃない?なんで溜息つくの?」
「アディショナルスキルの『組織再生』と『魔素を操る者』は、誰かのを見て体得したのではなく、ゼントさんのレベルが上がったので体得できた能力なんですが、それは「神」に近い力なんです。」
「へ?」
「おそらくC魔素の量が神と呼ばれる存在に近いのだと思います。今の私は神の力を封印されているので、魔素の動きは何となく感じることはできても見ることが出来ません。」
「もしかして、神様に煙たがれるということ?」
「可能性はあります。ただ、E魔素は普通の賢者並みなので神と同等にまではならないので、そこまで心配する必要はないと思います。ただ、余りにも異質なスキルなので、私達の前以外では派手に使われない方がよいと思います。」
「そうか、今日リーナさんの前で使ったのはまずかったな。今後は気をつけるよ。」
「分かっていただければ良いです。」
「ところで鑑定スキルが無くなっていて、『コネクトスキル』っていうのがあるんだけどこれって何?」
「「へっ?『コネクトスキル』なんて聞いたことありません。」」
ミュウとヴェルスがハモって言った。
「鑑定スキルの上位互換スキルじゃないの?」
「鑑定スキルの上位スキルなんてありませんよ。」
二人共が目をぱちくりしながらこちらを見ている。
「それと、コネクトスキルに『音声案内OFF』ってあるけど、これも何だろうね?」
「えっ?どれですか?」
「ほらここ、」
俺がステータスのその部分を指で指示した。
『音声案内ヲ開始シマス。』
「「「しゃ、しゃべった!」」」」
俺達はその車のナビみたいな機械的な声を聞いた瞬間固まった。
「・・・・何これ?」
「いえ、私に聞かれても・・・・。」
『コネクトスキルハ、鑑定スキル、探査スキル、検索スキルを統合シタスキルデス。音声案内ハ、コネクトスキルノ補助機能デ、コーションヤ相手ノ能力等ヲ自動的ニ音声デオシラセスル機能デス。質問ニ対スル回答モ音声デオコナイマス。現在ハ、ステータスオープンシテイル為他ノ人達ニモ聞クコトガデキマスガ、通常ハ本人ニシカコノ音声ハ聞コエマセン。』
「へーそーなんだ、これってAIなのか?」
「なんだその『エーアイ』って?」
「『エーアイ』って何なんですか?」
二人共目を丸くしながら真剣に聞いてきた。
「AIって言うのは、俺が元居た世界で人間が作り出した人間に匹敵する知能のことさ。人の形はしていないけど、同じように思考するんだ。計算能力や情報処理能力なんかは人間を上回っている部分もあるんだ。」
「え・・・っと、それってスキルが知能を持っているっていうこと?」
「多分そういうことなんだと思う。」
「「そんなことあり得ない!」」
二人がハモって否定してきたし。
「まあ便利なスキルだからいいんじゃない?」
「相変わらず軽いね~ゼントは。」
「天界の知識を持ってもしてもついていけません・・・。」
ヴェルスが泣きそうな顔をしている・・・。
「とりあえずこのスキルの事は様子をみるということにして乾杯しようか?」
「ま、まあ仕方ありませんね・・・。」




