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日常が戻ってきた

 


「ねぇねぇ夕君! これどうかな?」

「――――おう。似合ってるよ」

「ねぇねぇ夕君、私のはどうかなッ?」

「あはははは、おかんのコスプレとかまじ勘弁」

「そんな悪い事言うのはどの口かなぁ?」

「それ親父さんのリボルバーですよねぇえええええええええ!?」


 ――――家に戻ってきた。

 家は相変わらずだった。

 ムスッとした親父は今体中の四肢を縫合中で、現在お部屋でお袋の付き添いを受けているらしい。

 俺を見る目も、結局変わることはなかった。

 家を出ていくまで、ずっとあんな顔だった。


「親父、一つだけ聞かせてくれ」

「なんだ」

「――――なんで、俺が憎いんだ?」

「単純な話だ。俺はオリジナルのクローンだからだ」

「まじですかぁああ!?」

「ああ。正確には出来そこないで因子は確認できず、俺はお前の育成、訓練役をオルティスに命じられているだけだった。

 俺にとっては佐代子が母親で、単なる製造主だ」

「……業が深すぎる」

「そうだな。……だから俺はお前が憎い。完成された……いや、或いはお前自身がオリジナルなのかもしれん。

 どちらにせよ……もう関係ないがな」

「行くのか……」

「楽しかった……ごっこ遊びとはいえ、鷲人と友達づきあいもできた、佐代子とも愛する事が出来た。

 どっちも、開くまで俺を監視する為のものなのかも知れんがな。

 与えられた紛いものとはいえ、子どもも二人出来た……これ以上は望めないさ」

「――――OBT社が世界に残っているかもしれないぞ」

「なんとかなるさ。……出来そこないとはいえ、俺はお前だからな」

「親父」

「……ありがとう、いい夢だった」


 ――――最後に、親父は笑った。


「あ、たまに帰るから」

「えええええええ!?」

「だってお金持ってないし」

「何しに出かけるんですかぁああああああ!?」

「隣町まで」

「車使っていいから今日中に帰ってきなさいよぉおおおおお!」


 そんな感じ。

 村もあの日に比べて少し雰囲気が変わった。

 まずはうちの家の裏山がなくなった事。

 その代わりにできたのが、あの巨大で白い水晶の樹が空いっぱいに枝を広げ生えていたという事。


「いやぁあああああああ! うちの家の山がぁああ!」

「アナちゃんもこっち着たの?」


 ――――王に従事するが、我ら獣の役目。


「ま、まじですか……」

「アナトリウスの間は常に王の傍に展開される、何も問題はないな!」

「―――親父さん、もしかしてアナトリウスの間って……」

「アナトリウスと繋がりし王のいる場所、それ即ち君の立っている場所が常にアナトリウスの間となる!」

「……。つまり」

「つまりドンドンここに『敵対者』が送られてくるわけだな!」

「えええええええええ!?」


 ――――大丈夫、皆には見えないようにしています。


「うーん、そこが問題じゃないのよ!」

 ――――その内私の方でも人間の身体を創りまして、お宅にご訪問させていただきます。

「来なくていいですぅ! 僕のお部屋には何もないから」

「あ、夕君のエロビデオはベッドの下だから」

「美緒ちゃん何勝手に教えてるんですかぁああああ! 何で知ってるんですかぁあああ!」

「あ、後で焼いておくか」

「ママやめてぇえええええ! この世知辛い世の中で必死に集めた僕のコレクションなのぉおおお!」

「ふーん、でも焼くものは焼く」

「いやぁああああああ!」


 後、家の前に、あのでかいロボットが常駐するようになったこと。


 ―――王よ、ベッドでもじもじしていないで外で遊びましょう!


「なんで俺の部屋覗いてるんですかぁ! お前は外の警備をしていなさいよぉ!」

 ―――ダメですか?

「ダメです!」

 ――――ならば、王よ、今からお目付け役の三人を召喚します故しばしお待ちを。

「人の話聞いてましたぁああああああ!?」

「夕君、ベッドでオナニーは不健康だと思うの!」

「おまえどこから現われてるのよぉおおおおお!」

「天井に決まってるし」

「妹までおるやんけぇええええ!」

「兄ちゃん、僕のおっぱい柔らかいよ!」

「ええええええええ!? 僕の部屋どこに繋がっているんですかぁあああああああ!?」

「隣の家の私と可奈ちゃんと弟君の部屋」

「やめてぇえええええ! 僕のプライバシー返してぇええええええ!」

「いやぷー」

「殺すぞお前らぁあああああ!」


 ――――王が楽しそうで、本当何よりです。


「何言ってるんですかぁあああああああ!?」


 こんな、こんな毎日が欲しいわけじゃないの。

 身体は戻らない。

 未だに俺は狼のまま。

 その上変な奴らもついてきて、騒がしくなって、その上親父は相変わらず不平不満を垂れていて。

 どうすればいいの……。

 神様助けてぇええええ!


「夕君、今日の夕飯を取りに行こうか!」

「お願いですから僕が勝ったら盗聴器全部抜いてくださいね!」

「もちろんだ、私が勝ったら監視カメラを付けよう!」

「何を監視するんですかぁ!?」

「君のオナニーシーン!」

「思春期の男の子のそんなな場面見て誰が喜ぶんですかぁ!?」

「僕!」

「私ぃ!」

「……私」

「ワシ!」

「お前もかよぉ!」

「さぁ行こう、夕君! ワシが勝ったらついでにお父さんと呼ばせてやろう!」

「やめてぇええええええ! 頭が痛いのぉおおお!」




次でとりあえず終わり

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