独白:白き海への道のり
――――親父。
あんたは何のために、戦ったんだろうな。
「……すごいな。ビルの地下にこんな吹き抜けがあったなんて」
「ここは元々、縦のシールド掘削で作られた穴でな、あるものを地下より掘り起こすためにオルティスは大地を抉ったのだ」
「……アナトリウス?」
「巨大な人の骸だ。……王の魂を入れることで、それは動きだす」
「―――まじか?」
「行こうか」
剣を交えれば、出てくるのは激しい怨嗟と憎悪のみ。
アンタは結局何も語ってくれなかった。俺が生きている意味も、勇が俺の傍にいる意味も。
残ったのは、あんたが残した二本の刀だけだ。
それだけで、何も残らなかった。
――――親父。
俺が憎かったのか?
勇が憎かったのか?
それとも、世界が憎かったのか?
「ここから先は、【時間】と【空間】は牽連性を持たなくなる。しっかりと手を繋いでおけ」
「他の連中は?」
「ここから先は普通の人間は危険だ。……何のために美緒を強化したと思っている」
「……」
「アナトリウスは特定時空間の広域変異点の中に発生している。夕君、君はその扉を開くのだ」
「ああ……」
―――俺は、あんたと一緒にいたかった。
別にあんたが嫌いなわけじゃなかった。
毎日一緒にあんたの文句を聞きながら飯を食って、勇と一緒に風呂に入って、美緒と一緒に学校に行って、可奈の学校に迎えに行って。
たったそれだけでよかった。毎日、別に普通の毎日が欲しいだけだった。
別にこんな身体が欲しいわけじゃない。
力が欲しいわけじゃない。
俺は――――
「……夕君?」
「……ん」
「―――ハンカチ、使っていいよ」
「悪い……」
お袋は、あんたを見てなんて言うだろうか。
お袋―――あんたの記憶はそんなにない、大してあんたは家に帰ってはこなかったからな。
それはきっと仕事で忙しいのだと思っていた。
仕事が大変で、毎日合わないだけで、本当はどこかで会っていたのかと思っていた。
「……アレか」
「兄ちゃん……ビリビリくる」
「手を掴め。離すなよ」
「うん……」
――――そうだよ、俺はあんたに会ったことがなかった。
あんたは俺に会ったことがなかった。
いつも傍にいたのは親父と美緒と可奈だけで―――
お袋。
あんたはもしかしたら、この世界には―――
「夕君。床が開く、下がりたまえ!」
「あいよ父さん」
「――――むほぉおおおおおおおおお! 今お父さんって言った!? ねぇねぇ言った!?」
「言ってねぇ。地下に降りるぞ親父さん」
「もう一回言って、ワシなんでもするぞ!?」
「いりません……!」
「―――美緒ぉおお!」
「夕君! パパにパパって言ってッ、私何でもするからさッ」
「俺の事旦那様って呼んでみ?」
「ダーリンッ」
「―――恥ずかしいからやっぱヤメ」
「えええええ!? どうしてさぁ!」
「夕君、ワシの言う事聞きなさい、パパの言う事を聞くのです!」
「うっせぇバァカ」
今も十分おかしなストーリーですけど、今度はもっとおかしくなります。ついてきてね^^




