第6話 暗黒龍の骨を神にしたら、完全にヤバいやつが生まれてしまった
暗黒龍の骨が眩しく光る。
ドサッ、ドサッ。
骨の上に積もっていた土や草が、次々と地面へ崩れ落ちる。
その中心に、一人の男が立っていた。
引き締まった身体と浅黒い肌。
全身に古びた布を巻き、その上から黒いぼろ布を羽織っている。
俺よりも長い黒髪が胸まで伸び、頭からは骨でできた二本の角が突き出ていた。
端正な顔立ちだがかなり目つきは険しく、その目元から一本のひびが頬まで走っている。
そして何より――
全身から、大量の黒いオーラを放っていた。
生まれたばかりの龍神は俺の前まで歩いてくると、静かに頭を下げた。
「はじめまして。我が名はダスクリュート。
よろしくお願いします」
俺は男を上から下まで眺める。
「ほー……。えらい男前の神になったなー。
あ、その禍々しいオーラは消してね」
「分かりました」
ダスクリュートの身体を覆っていた黒いオーラが、すっと消える。
サントピエラが嬉しそうに話しかけた。
「あら、タキ様の新しい眷属ね。私はサントピエラ。
あなたの前に生まれたから、姉のようなものかしら。よろしくね」
「……はい。……よろしく」
サントピエラは首を傾げる。
「なんだか暗いわね」
「元暗黒龍なもので……。
……冗談です」
俺は思わず声を上げた。
「冗談って! お前、本当に恐れられてたのかよ」
「……どうでしょうか」
「しょこたん、その辺どうなの?」
頭の中から、書庫の神の声が返ってくる。
「大陸中の生物を滅亡させかけた」
「えー……ホンモンじゃん」
俺は改めてダスクリュートを見る。
「仲間にしてよかったのかなー……」
書庫の神が淡々と答える。
「……もう遅い」
「大丈夫ですよ、タキ様!
私がついてます!」
サントピエラが胸を張る。
「こいつはこいつでなー……」
俺は頭をかいた。
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しかし――
俺たちは、ダスクリュートの恐ろしさをすぐに知ることになる。
小山のあった平地を離れようとした、その時だった。
空間が、ぐにゃりと歪んだ。
その奥から、何かが現れる。
「……!」
俺は足を止めた。
現れたのは――
あの悪魔だった。
ゴーレムをバラバラにし、グランを殺したあいつだ。
俺の頭には、砂になったゴーレムの無惨な姿が浮かぶ。
すでに四本の角を生やし、不気味な瞳が開かれた変身後の姿だ。
悪魔は周囲を見渡し、ゆっくりと口を開いた。
「あのお方の命令で、魔力の高い骨を探していたが……」
今まで小山があった辺りを睨む。
「こんなところにあったとはな」
「お前……!」
俺は拳を握る。
悪魔は鼻を鳴らし、空気の匂いを嗅いでいる。
「ん? 骨は……どこだ?」
白目と黒目が逆転した奇怪な瞳で、俺たちを見る。
「骨は、消えたのか?」
俺の身体が怒りで震える。
「お前だけは......お前だけは許さない!」
「なんだ? 貴様はあのときのガキか」
「……」
「骨をどうした?」
俺は二本の木刀を構えた。
悪魔が鼻で笑う。
「なんだお前。やるのか?
這いつくばって逃げるだけの虫ケラが!」
その瞬間だった。
俺の背後にいたダスクリュートの身体から、黒いオーラが噴き出す。
姿が消えた。
俺の目では、動きを追うことすらできない。
次の瞬間――
ガシッ!
ダスクリュートは、悪魔の首を片手で掴んでいた。
「ぐっ……!」
悪魔の顔が苦痛に歪む。
「は……な……せ……」
突然のことに俺はたじろいだ。
「ちょ、お前……。何を勝手に――」
ガギガギガギ!
悪魔は必死に爪を振り回し、ダスクリュートを攻撃する。
しかし、傷一つつかない。
それどころか、自慢の大きな爪は無惨に折れ曲がっていた。
「ぎゃー!」
悪魔が絶叫する。
ダスクリュートは表情一つ変えない。
「我が生みの親を、虫ケラ呼ばわり……」
首を掴んだ手に力を込める。
「死ね」
グシャッ!
握り潰した首から、緑色の液体が飛び散る。
絶命した悪魔の身体は、あっという間に黒い煙となって消えていった。
「フンッ。悪魔風情が」
ダスクリュートは吐き捨てると、軽く両手を叩いた。
「お、おまえ……フンッ、悪魔風情が、パンパン。
じゃねーんだよ!」
ダスクリュートが振り返る。
「え? 殺してはダメでしたか?」
「ダメじゃないけど!」
俺は叫んだ。
「あいつはゴーレムの仇なの!
だから俺が倒したかったの!」
「……」
ダスクリュートは、きょとんとしている。
ハァ……ハァ……
俺は怒りと興奮で息を切らした。
「疲れた……」
するとサントピエラが横に来る。
「あら大変。回復しましょう」
「いや、大丈夫です」
俺は手を上げて断った。
そして、ダスクリュートを見る。
「うーん……ダスクリュートくんさ」
「はい」
「これから誰かを攻撃するときは、俺の許可を得るように!」
「……」
「必ず!」
ダスクリュートは、少しだけ肩を落とした。
「……分かりました」
俺はため息をつく。
「しかしお前さ……空気が読めないって言われたことない?」
ダスクリュートは少し考えた。
「……言われる前に殺していたような。
……元暗黒龍ですので」
俺は大きくため息をついた。
「ハァー……」
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数日後。
回復の泉のほとり。
木々の間にはフォレスト アクセルで作った簡単な小屋がある。
俺はその中で目を閉じ、書庫の神と話していた。
サントピエラは小屋の屋根に座り、周囲を眺めている。
ダスクリュートは泉のほとりに座り、水面に鼻を近づけて匂いを嗅いでいた。
「しかし神うみは興味深いね」
書庫の神が言う。
「どの文献にも載っていない能力。
きっと君のオリジナルだ」
「確かに……」
俺は少し考える。
「神つかいの村でも、神を生む人はいなかったかもな。
あんまり覚えてないけど……」
「選ぶ素材で神の強さや能力が変わるのも面白い」
「だよなー」
俺は小屋の天井を見上げた。
「だからさ。やってみたいことが一つあってさ」
「何さ?」
書庫の神の声に、少し警戒が混じる。
「あんまりバンバン神を生むのも、リスクあるよ」
俺は少し笑った。
「……宇宙の神って、見たくないか?」
「宇宙って……何を言ってるんだ?」
「隕石を利用するのさ」
「隕石……」
書庫の神が考え込む。
「あ」
そして声を上げた。
「大地の究極魔法……メテオか!」
俺はニヤッと笑った。
「そういうこと」
第6話 終わり
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
続きは、11月13日に公開予定です。
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