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幸せの在り処  作者: yukko
9/17

離婚へのステップ6

数馬は自宅に届いていた忍からの封筒を開けた時の衝撃がまだ残っている。

離婚届と同封されていたのは、会社に届いたのと同じ便箋だった。

便せんに書かれた文字は、会社に届いた便箋と同じだった。

そして、1通の通帳が入っていた。


「これは、なんだ?

 僕の名義の通帳………忍に渡してない。

 それに、この銀行……利用している銀行じゃない。

 知らない。」


金額は数馬にとって少ないものだったが、家から一番近い支店で入金されている。

一度も引き出されていない。


「なんだ……この通帳は……?」


そして、封筒の中から転げ落ちた物があった。

キラッと一瞬光って落ちた。


「嘘だろ……。」


封筒から落ちたのは指輪だった。

忍が持っている唯一の指輪。

結婚指輪が封筒から出て来たのだ。

忍の覚悟が見えた。

その瞬間、数馬は心臓を掴まれたように感じた。

胸が痛い。苦しい。


「忍………しのぶ………し…のぶ………。」


通帳と便箋と指輪を抱き締めて数馬は慟哭した。


「通帳……誰が?

 陽! そうだ、陽に聞こう。」


スマホを手に取り顧問弁護士をしている親友の加賀陽に電話した。


「陽、通帳が離婚届と一緒に送られてきた。」

「あぁ、そっか……。」

「陽、通帳のことだけど。」

「僕が口座を開いた。」

「君が? 何故?」

「忍さんに頼まれた。

 数馬から受け取った生活費が残ったら入れたいと……。」

「生活費?」

「彼女は堅実な生活だったようだね。

 毎月残った生活費を入金してたよ。

 カードは要らないって言ってたけど、作ったんだ。

 カードは僕が持ってる。 渡すよ。」

「何時?」

「君たちが結婚して間もなくだった。」

「…………………。」

「そっか……君に渡したんだな。

 もう戻って来ないってことだよな。」

「…………そういう意味か………。」

「そうだろう。」

「指輪も入ってた。」

「指輪?」

「忍がたった一つ持ってた宝飾品。

 結婚指輪。」

「あ………もう絶対に戻って来ないな。」

「………………。」

「そういう意味だ。」

「………………。」

「離婚するにあたって、出来るだけ暮らしていけるようにしてやれよ。」

「…………………。」

「聞いてるか? 生きていくには金が要る。

 出来るだけ多く渡してやれ。それくらいしか出来ないな。」

「…………したくない。」

「うん?」

「離婚したくない。」

「数馬!………無理だ。それは無理だよ。

 もう決めてるよ、彼女。」

「離婚しなくていいようにしてくれ。頼むよ、陽。」

「こればかりは……出来るとしたら、会って話し合えよ。

 会って貰えるかどうかも分からないけど、会えたら君の気持ちを話せ。」

「うん、分かった。会いに行くよ。」

「何処に居るのか分かるのか?」

「分からないけど、実家に行こうと思うんだ。」

「そっか、忍さん、専業主婦だったよな。」

「うん。」

「就職活動しないといけないから、ご実家の可能性が高いな。」

「行ってくる。」

「早い方がいいぞ。」

「今日、行く。」

「そうしろ。」



忍の実家に行く前、陽と電話で話した。

数馬のポケットには、封筒に同封されていた結婚指輪が入っている。

数馬はポケットの中の指輪を無意識に握り締めていた。

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