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幸せの在り処  作者: yukko
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スイスの静

父親にスイスへの音楽留学をさせられた岩居静だったが、ピアノだけの生活をしているうちに、【何故、あんなに数馬に執着したのか】分からなかった。

そう愛では無かったと気付いたのだ。

執着だったのだと気付いた。

それは世間からどう見えるかだけの執着。

若き経営者で見目麗しい男性、それが数馬だった。

誰に「私の夫」と紹介しても馬鹿にされることは絶対に無い。

羨望の眼差しを向けられても、軽蔑の眼差しを向けられることは絶対に無い。

静はその気持ちに気付いた。

勿論、一目で惹かれたのは事実である。

だが、それは気持ちの中のほんの一部でしかなかったのだ。

自分の気持ちに気付いた静は、ひたすらに鍵盤を叩いた。

初めて真剣にピアノと向き合った。

そうすると、段々、ピアノがあればいい!と思えるようになった。


いつしか、静はヨーロッパで活躍するピアノ奏者になっていった。

ヨーロッパ各地で演奏をしている忙しい日々を送るようになった。

もう静には【人から羨ましがられる夫】など不要になった。

自信が付いたからだ。


今の静は数馬が忍と結婚して子どもが二人出来たと聞いても、何の感情も無い。

それどころか、「数馬さんのお子さんがピアノを弾きたかったら、私が教えてあげたい。」とまで思うようになった。

充実しているからこそ何の感慨も無いからこそ、教えたいと思えるようになったのだ。

静は多くの子ども達に音楽に触れる機会を持って貰いたいと思っている。

だから、どんな家の子にも等しく教えたい。

今の静はスイスへの永住も考慮に入れている。

ヨーロッパで生涯暮らしたいと切望している。

静はピアノと共に活き活きと今を生きている。

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