表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せの在り処  作者: yukko
PR
68/87

羨む心

相馬から両親が忍に会ったこと、そして岩居静を婚約者だと言って会わせたことを聞いた数馬は激怒した。

だが、どうして忍を呼び出したのか理解出来なかった。

結婚している時は、まるで雇用した介護職のように嫁である忍を使っていた可那子。

可那子が何をしても、何を言っても、まるで空気のようだった一昌。

その光景が思い出されて、どうしてわざわざ会いたくないであろう(かつ)ての嫁に……忍に会ったのかが数馬には分からない。


「なんでなんだ………。」

「社長、このままでは婚約していないのに事実として公表されてしまいます。」

「そうだな、先に手を打つか。」

「はい。」

「岩居家に再度、僕の意志を伝えよう。

 僕が直接会うよりも、今回も動いて貰おう。」

「はい、大旦那様には既にお伝えしていると聞いております。」

「では………。」

「既に動いておられます。」

「じゃあ、僕は両親に会う。

 アポイントメントを取ってくれ。」

「承知致しました。

 ………忍様は……忍様には何と仰るおつもりですか?」

「………忍……には、もう会えない。

 君から伝えてくれないか。

 嫌な目に遭わせて済まないと、もう二度とこんな目に遭わせないと……。

 そう伝えてくれ。」

「承知致しました。」

「それと、岩居静のSNSを見ておいてくれ。

 もし、僕と婚約したなどという嘘を発信したら会社のXや公式ホームページで事

 実無根だと直ぐに発信してくれ。」

「承知致しました。」


数馬の誰でも見れるSNSはアカウントが一つも無い。

Xは会社の公式な発信場所で社長個人の物ではない。

会社の広報が発信している。

岩居静が先日の病院でのことも「初めてのお見合い」とXで発信していた。

これは、相手が誰か特定できないものだったので、数馬はそのままにしておいた。

だが、もし忍と会った後で何か発信したら、直ぐに会社としての対応をすることにした。

勿論、このことを祖父から岩居静の父に伝えて貰う。

祖父は数馬から聞いた内容を岩居静の父の元を訪れて話した。

「一昌と可那子夫婦が数馬との婚約を模索しているが、数馬は婚約しないと言っている。勝手に婚約者と名乗りネット上で公表すれば、全面否定し、それ相応の対応を戸川グループとしてする。」と告げた。

岩居静の父は頭が痛くなった。

数馬が婚約したいと言っていないのにも関わらず、嫌だと言われているのにも関わらず、何故こんなにも数馬に執着しているのかが分からなかった。

⦅兎に角、娘を止めねば!⦆と思った。


数馬は両親に会いに行った。


「まぁ、来てくれたのですか。」

「はい、お母さん。お元気そうで何よりです。」

「数馬、私達がアメリカへ帰る日は近い。

 会いに来てくれて嬉しいよ。」

「お父さん、お母さんの検査結果が分かれば直ぐにアメリカへ帰られるのです

 ね。」

「そうだ、だから君に会えて嬉しいよ。」

「早速ですが、お話を致します。」

「そうそう岩居静さんとの婚約について、私は話そうと思っていたのですよ。

 だから、今日来てくれて本当に良かったですわ。」

「お断りしたはずですが……?」

「駄目ですよ。あのように家柄が良い方との縁を切るのは……。

 戸川グループの為にも、考えないしなさい。

 静さんは数馬の妻に直ぐにでもなりたいと言ってくれています。」

「数馬、私としても、再婚して欲しいと願っているのだよ。

 君には子がいない。

 戸川家を継ぐ男の子がいない。

 そろそろ再婚を考えてくれまいか?」

「嫌です。」

「数馬! 貴方という子は………跡取りとしての覚悟は無いのですか?」

「数馬………再婚を考えるのは悪い事じゃないよ。」

「僕は………僕の妻は忍只一人です。」

「数馬っ! あ……貴方は……なんてことを言うのです!」

「数馬………それは本心からかい?」

「本心です。

 忍と再婚出来るものなら……再婚したいのです。」

「な、な、なんてこと…………。」

「お父さん、お父さんはお母さんに恋をして、一目惚れで……そして結婚したので

 すよね。

 僕には好きな人を想うことすら許されないのですか?」

「数馬………そうではない。そうではないのだ。

「僕は忍以外の女性を近づけたくありません。」

「でも! 貴方達は離婚したでしょう。」

「………離婚しましたが、僕は………離婚したくありませんでした。

 忍を……忍を大切に想っています。

 それは……心からの僕の………僕の想いをお父さんには分かって欲しいです。

 お父さんとお母さんは恋愛結婚、でも、僕には見合い結婚をさせるのですか?」

「数馬………そんなに嫌なのかい?」

「嫌に決まっています! 心を寄せる相手が居るのに……無理です。」

「何を言ってるのです。

 貴方は自分の立場すら分からないのですかっ!」

「分かっています。

 将来的には会社は誰かが社長になるでしょう。」

「どういうことなの? どういう意味なのですかっ!」

「日本の大企業で、創業家が牛耳っている会社って、どのくらいあるのでしょう

 ね。

 いずれ戸川グループの社長は戸川ではない誰かが成るのですよ。」

「数馬ッ!」

「………そういう日がやって来るね。必ず………。」

「あなた! 数馬にお仕置きをなさいませ。」

「数馬はもう大人だよ。」

「あなた!」


◇◇◇◇

親の心子知らずとは良く行ったもので………岩居静は数馬に会える日が来ることだけを願っていた。

しかし、なかなかやって来ない。

それだけではなかった。忍の父親に再び数馬の祖父が釘を刺してきたのだ。

数馬に会わせる約束を可那子が、なかなか果たしてくれない。

それなのに、数馬の祖父からの脅しと撮れる言葉「それ相応の対応をする。」を聞く羽目になった。

全ては、あの忍という邪魔者が居るからだ。

静の忍への対抗心が燃え上がった。

そして、忍を憎く思うようになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ