離婚へのステップ3
会社で忍のことなど何でもないように誰にも気づかれないように過ごしていた数馬だったが、親友の一人・寒川翔が気付いた。
それを会社で、社長室で大声で話したのだ。
「ねぇねぇ、数馬。」
「なんだ?」
「あいつ……出て行ったのかよ。」
「!……あいつって?」
「忍だよ。」
「まぁ、そう言えばお迎えにご自宅に行った時にお顔見れなかったわ。」
「だろ!」
「翔、君は暇人なのか?」
「何でだよ!」
「仕事、終わったのか?」
「終わったよ………でっ、何だよ。」
「それならいいが……わざわざ、仕事終わって他社の社長室に出向くとは、な。」
「いいじゃん、別に!
なぁ、これから行こうぜ。」
「どこへだ?」
「皆で夕食、食べるんだよ。」
「皆で、って、どんなメンバーなの?
私は? 入ってるの?」
「勿論! お姫様が居ないと始まらないよ。」
「まぁ、嬉しいわ。
ねぇ、数馬も行くでしょう?」
「否、俺は行かない。」
「どうしてなの?」
「おい! 数馬、お姫様を泣かせちゃ駄目だぞ。
何と言っても、お前だけのお姫様なんだからさ。」
「………行かない。用があるから………。
君達で行けよ。」
「なんだ、詰まんねぇの……行くよな。お姫様!」
「………数馬、来て!」
「行かないよ。」
「楽しくないわ、貴方が居ないと!」
「偶には僕抜きで行けばいい。そんな日もいいだろう。
行かないけど、出す物は出す。」
「そうかぁ~、じゃあ、行こうよ、なっ。」
「そう……ね。
ねぇ、用が済んでからでもいいから、来てよね。」
「分かった。」
「絶対よ。」
「大丈夫だぜ。数馬は約束を守る。
あいつとの約束は守らないけどな。」
「………早く行けよ。」
「じゃあ、待ってるわ。」
「じゃあな、数馬。」
二人が社長室から出てから、様々な所へ数馬は電話したりメッセージを送ったりした。
それから、覚えている場所へ向かった。
忍と二人で行った場所へ………。
それは、初めてのデートで行った場所だった。
そこにある小さなペンションだった。
忍が「一度でいいから泊まってみたい。」と言ったペンションだ。
宿泊客のことを聞き出せない。
ペンションから外に出て夜の海辺を歩く人の姿を見るしかない。
その日、ペンションから出る人達の中に忍の姿は無かった。
「忍……君は……何処へ……。
知らない……僕は……忍の友人を一人も……。
結婚式を挙げてない。
コロナ禍で……結婚式を挙げられなかった。
だから、友人を……知らない。
…………やっぱり、実家しかないんじゃ……。
生活できないはずだ。金も多く持っていないはず……。
実家に行ってみよう。」
数馬は忍の実家に行くことにした。




