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幸せの在り処  作者: yukko
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義母と婿

忍の願いを相馬仁は数馬に伝えた。

数馬は悩んだ。

そして、弥生に電話を架けた。


「会っても宜しいのですか?」

「忍が会いたがってるの。」

「僕は会うのが怖いです。」

「私もよ……恐ろしいわ。

 あの子が忘れたいくらいの恐怖を味わったのに……。

 戸川さんは、その原因でしょう。」

「はい。」

「記憶を失った原因の戸川さんと忍が会う………恐ろしいわ。

 でも、あの子の戸川さんに会いたいって願いをこのまま無視するのも辛いのよ。

 このまま会わないようにしても、あの子が会いに行くんじゃないかしら?

 そう思うの。

 だから、会いに行って思い出すよりも、私が傍に居て会って思い出した方がいい

 と………そう思いました。

 戸川さん、私が居る日時に会いに来てやってください。」

「………はい。」

「それから、あの女は……どうなりました?」

「今も拘置所に居ます。

 裁判が間もなく開かれるそうです。」

「そうなのですね。」

「忍の拉致監禁致傷だけではなく、会社も告訴しましたから……。

 長い間、刑務所に入ると思います。」

「戸川さん、あの女を二度と娘には近づけないで下さい。」

「はい。」

「戸川さん、早速ですけれども、今週末……土曜日か日曜日に来て下さいます

 か?」

「分かりました………あの……忍は……あ……忍さんは御元気ですか?」

「はい、元気に過ごしております。」

「何か必要な物がありましたら………。」

「いいえ、治療費……全て支払って頂いて助かります。」

「それは当然のことです。

 まだ、籍も入っていますし……健康保険も僕の扶養家族ですから……。」

「戸川さん……どうして、あんな女性を傍に置いたのですか。」

「申し訳ありません。」

「謝るより訳を話して下さい。」

「大学の頃の友人の一人で……就職が難しいと言っていました。

 それで、僕の会社に入らないかと話しました。」

「それで、貴方専属の秘書になったんですか。」

「僕専属ではなかったんですが、気が付くと、いつも傍に居ました。

 社長の秘書は一人ではなく、主たる秘書は、お義母さんも御存知の相馬です。

 いつの間にか、彼女が社長室に入る回数は増えていきました。

 でも、秘書としての仕事は相馬でした。

 彼女は秘書としては……社長専属と呼べるほどではありません。

 その辺の振り分けは相馬に任せていました。

 大学の頃の友人達との……その遊びとかで彼女が主になっていました。」

「秘書という仕事を戸川さんが与えたんですね。」

「はい、それは僕です。」

「秘書をしたいと言ったからですか?」

「はい。」

「大学の頃のお友達というだけで社長室の秘書になれるのなら、誰もが貴方のお友

 達になりたかったでしょうね。」

「………それは……そうですね。コネ入社は間違っていました。」

「その女が傍に居ても、貴方が忍を蔑ろにしなければ……あの子は幸せだったはず

 です。

 貴方があの子を愛して下さっていたら………。

 あの女が貴方の妻になりたいと思っても、忍を……あんなこと………。

 あんな……ことを……するように思わせたのは、戸川さん、貴方の忍に対する態

 度ですよ。

 貴方が忍を妻として大切にして下さっていたなら……忍の気持ちを理解して下さ

 っていたら……こんなことには、ならなかった!」

「………はい、その通りです。全ては僕の罪です。

 償わせて下さい。僕の人生の全てを懸けて償わせて下さい。」

「あの子が記憶を取り戻したら、その時はあの子を守る為に、あの子が望む通りに

 してやって下さい。

 他は何も望みません。

 あの子の心を、これ以上、傷つけないで!」

「はい、約束します。もう二度と傷つけません。」


数馬は弥生の指定した日時に、弥生の家に行った。

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