表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せの在り処  作者: yukko
PR
28/87

後継者

数馬は大学時代の友人達を心から信頼していた。

その中に土屋華蓮も含まれている。

数馬にとって初めての自由に得られた友人達だったからだ。

数馬は戸川グループのたった一人の後継者だった。

創業者である祖父の子どもは、数馬の父・一昌ただ一人、同じく創業者の大叔父・次郎には子どもが居ない。

一昌の子どもは数馬一人なのだ。

一郎は子宝に恵まれたが、一昌以外の子は夭逝した。

一昌の妻・可那子は「数馬が産まれたのですから、もう子を産まなくても宜しいですね。」と言った。

それは、なかなか子宝に恵まれなかったからだ。


可那子は元華族。

数馬を公立の小学校に入れたくなかった。

数馬が就学した小学校は、皇族が通う学習院だった。

そこで、高等科まで学んだ。

ただ、可那子は数馬の友人まで支配した。

自由に友人を選ぶことを数馬は両親によって許されなかったのだ。

⦅大学は両親が選んだ学習院大学ではなく、別の所がいい!⦆と数馬は思った。

そして、それを祖父母に直訴した。


「おじいさん、おばあさん。

 僕は東京以外の大学に進学したいです。

 東京でなければならないのだったら、学習院は嫌です。」

「数馬は学習院が嫌なのか?」

「はい! お母さんが友達を自由に選ばせてくれなかった。

 だから、嫌です。

 別の大学に進学させて下さい。

 お願いします!」

「そうか……だったら、行きたい大学を自分で選べ。

 選んだら、私に言いなさい。

 今、高校1年生だが、なるべく早く決めなさい。

 早く決められたら、私が両親に話そう。

 ただ、自分の意志だということを話しなさい。

 君の気持ちを伝えなさい。

 私は後ろ盾になろう。

 どんな大学に行っても、親が交友関係に口出しされるかもしれんな。

 一昌には親が交友関係に口出しすべきでないと言っておく。」

「おじいさん、ありがとう。」


数馬は生まれて初めて、自分の意志で進学先を選んだ。

進学先は早稲田大学。

早稲田で出逢ったのが、加賀陽、寒川翔、古谷新、そして土屋華蓮だった。

自分の意志で、自分の友人を初めて選べたのだ。

大学生活は充実していて楽しかった。

初めて得た友人を、普通の感覚以上に数馬は大切にした。

それが、妻を苦しめることになろうとは思わなかったのだ。


初めて得た友人だったから、普通の感覚以上に信頼してしまった。

それが土屋華蓮に通帳とキャッシュカードを持たせてしまった。

⦅全て僕の不徳の致すところだ!⦆と数馬は悔いていた。

だが、それは遅すぎる。


◇◇◇◇

秘書室長の相馬仁から連絡が入った。

忍の転院先が決まったのだ。

より良い治療が出来る病院を選んだ。

そして、忍の母と一緒に病院を見に行った。

病院のスタッフから説明を受けて、病棟などを見学した。


「お義母さん、この病院をどう思われましたか?」

「とっても良い所だと思いました。」

「では、こちらで宜しいでしょうか?」

「ええ、お願いできるものでしたら……。」

「お義母さんが良いと思って頂けたら、そこが忍にとって一番です。」

「ありがとうございます。」

「……お義母さん……転院の時は僕が付き添います。

 勿論、お義母さんと御一緒させて頂けたら………。

 車など手配もします。」

「島からですので、私では早急に出来ません。

 全てお願いします。」

「ありがとうございます。

 では、島の病院に転院の話をして、手配も済ませます。」

「よろしくお願いしますね。」

「はい! お任せください。」


忍の転院が決まった。

数馬は忍に会いに行って、自分の口から転院先の病院のことを話すつもりだ。

勿論、その時も忍の母と共に行く予定を立てた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ