華蓮
土屋華蓮の思惑通りに進んでいない。
数馬からは明確に距離を置かれた。
しかも、社長の秘書ではなくなり、副社長に返り咲いた数馬の祖父の弟・次郎の秘書になった。
もう社長室へは入れない。今までのように【何時でも】【自由に】入れなくなった。
「土屋君、君は今まで社長付きの秘書だったが……
これからは私の秘書として勤めて貰うことになった。
もう社長秘書は相馬君を主に新しい男性の秘書が就く。」
「私は社長に相応しい秘書です。
何故、私が副社長の秘書に降格なんですか?」
「ほほーぅ、副社長の私の秘書になることが降格とは……。
私は創業者の一人だよ。知らないのかな?」
「存じ上げております。
でも、私は……私は………数馬さんに仕えたいです。」
「数馬さん、ねぇ。
君、社長のことを社内で仕事中に名前を呼ぶのが正しいと思ってるのかい?」
「それは…………社長と、呼びます。
ですから、私を社長秘書に戻して下さい。」
「これは決定事項だ。
悪いが、変更はない。」
「副社長………。」
「まぁ、私の秘書として頑張ってくれ給え。」
そう言って、次郎はゆっくり副社長の椅子に座った。
「なんだろう……数馬に会えなくなったし……。
陽や新、それに翔まで避けられているような気がする。」
呟いてしまったことに華蓮は気付かなかった。
次郎の耳に、華蓮の呟きはしっかりと届いていた。
土屋華蓮への警察の事情徴収は続いていた。




