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二年生が修学旅行に行ったら、生徒会室がすごく広い。よその学校だと学年の途中で行くみたいだけど、うちは年度末の春休みに行くのが慣例化してる。本当は三年に上がってからでもいいみたいだけど、一部の外部に進学する人の受験勉強を邪魔しないようにとこの時期になっているそうだ。
普段の半分の人数しかいない部屋にはいつもと変わらない日常があるのに、どこか淋しい。
「和己兄がいないからって、淋しそうな顔しすぎ。俺たちが構ってやるから」
くすくす笑いながら俊がからかってくる。
淋しいのは事実だけど、表情に出てるとは思ってなくて、相変わらず分かりやすいらしい自分にガッカリする。
「僕たちは恒のこと見てるから分かるけど、最近は悠ちゃんに鍛えられたのか、表情を作るのが上手になってきたよ」
「わーい、ホメラレター」
からかわれたから棒読みで答える。
俊が笑いながら俺の頭に手を伸ばしてくるのを避けたりして、少しだけ遊んでいると、淋しさも紛れてくる気がするから、友達って大切だ。
「さあ、兄さんたちがいない間に済ませることをやってしまおう」
俺たち三人以外のみんなを巻き込んで、ひとしきりふざけたところで、弘夢が声を上げる。それだけで場の雰囲気が切り替わった。
上の学年の人たちはみんながそんな風に仕切れるけれど、俺たちの学年だとやっぱり弘夢が適任なんだなって改めて思う。
修学旅行に行く前に和己に確認していた中でも優先順位の高いものからリストにしているものを弘夢に渡す。
「新入生の役員決めるのって、会長の権限だよね。それを僕たちで決めていいの?」
「夏休み明けには自分たちは引退するから、決めるのは次世代で、会長は書類作成と学校への承認を貰うのが仕事だって」
書類作るのは俺だけどね。
俺の言葉に頷いて、じゃあこれからやっつけてしまおうかと全員を見渡したところで、もう一つ伝えないといけないことを思い出す。
「本当は会長付は代替わりの後に指名するのが慣例化してたけど、四月の時点で指名して、俺と引き継ぎしていってもいいよって言われた」
既に出来上がって円滑になっている中に一人だけ入っていくよりも最初からいる方がきっとみんなとも馴染んでいけるから、その方がいいと俺も思う。
「四月からの方が年間を通して行事も分かりやすいだろうね」
じゃあ、慣例は破ることにしようと弘夢が冗談のように言う。
実をいうと、俺以外の生徒会役員って、中等部からそのままスライドしてるんだよね。だから凡そ誰がどんな役職で選ばれるのかなんていうのは連絡が来る前に本人たちも予想していることが当たり前なんだって、今更知った。
「あれ?」
そうなるとすごい疑問が出てくるわけで。
「俺が入学式の日に突然会長付に指名されたのが異例なのはわかる。でも、もしこの学校に来てなかったら、誰がなってたんだろう?」
「その場合は俊だよ」
あっさりと弘夢が言う。
「何で?」
「それはそうだよ。会長付は次の年は副会長だ、か……ら」
……
…………
………………
沈黙が場を支配する。
「もしかしなくても」
「聞いてませんけど?」
みんな和己が説明してると思って、確認してなかったそうです。
淋しいとかそんな気持ちはあとかたもなくなった。
和己が修学旅行に行って淋しいけど、聞いてなかった驚きの事実。
気づけば節目の50話目です。
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