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夢のかけら  作者: 高原 涼子
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 慌ただしく日常が戻ってくる。

 学校の中で和己先輩と声をかけると、ものすごく嫌そうな表情で俺のことを見るから、やめられなくなった。やっぱり公私混同は良くないよね。でも生徒会室を出た後は、呼び方も戻してるから多分不満はないはず。

 生徒会の役員の一部には知られてる事だけど、俺と和己が付き合ってるなんて知らない人もいる。これは推測なんだけど、悠さんの周りの環境で決まっているような気がしてならない。

 最近わかったけど、悠さんの周りにいる人は、知り合いと友人の区別がはっきりされていて、友人のカテゴリーにいない人に対しては、驚くほどに他人行儀な態度になる。だから意図して悠さんとはお近づきになれないんだ。

 俺は和己のことがあったから友人のカテゴリーに入れてもらえたんだと思う。それを言うと何故か和己に否定されるんだけどね。

「前にも言ったけど、悠ちゃんは入学式の時に恒に興味を持ってたから、俺が会長付に指名しなくても、なんだかんだで接触があって、生徒会ここに関わることになってたはず」

 たしかに前にも同じことを聞いたけど、イマイチ実感がわかないんだよね。

「俺のどこが悠さんに興味を持たれたのかわからないんだけど」

 たまたま誰もいなくなった生徒会室の中で、そんな話題になって、ついその疑問を口にしてしまう。人の考え方や感じ方はそれぞれだけど、初対面なのに興味を持つってあまりない事じゃないかなと思うんだよね。……とはいえ、俺も無自覚ではあったけど、初対面の時にはもう、和己から目が離せなかったわけだけど。その感覚と同じなのかな?

「悠ちゃんの人を見る目は信じていいよ。……俺たちは幼なじみだけど、最初は親同士の付き合いからだから仕組まれてないわけじゃない。でも恒は悠ちゃんがちいさな頃からいろんな人を見て選んだ友人だ。初対面だからとかそんなのは些細なことだろ」

 ついでに俺の恒を見る目も信じなさいって冗談ぽく言われてつい笑ってしまう。

 雑談はこれくらいにしとこうかなんて、不意に和己が表情を引き締めるから、つい見惚れてしまう。書類をチェックしたり、勉強を見てくれたりする和己の表情はいつもより真面目で、蕩けるような笑顔を見るよりもドキドキするんだよね。

 普段の生活に戻ってしまったから、旅行先のように手を繋いだりする事も出来ないのが少しだけ物足りないけれど、あまり不安には感じない。多分和己も同じなのかな、同じだったらいいなと思う。

 駅に向かう帰り道、指先が触れた。

 それまでは夜に観るテレビの事とか明日の予定とかを話していたけど、そんな会話も止まってしまう。

 和己を見上げると、いつもより熱のこもった視線に出会う。そんな表情を見てしまうと、手を繋ぎたいと思うし、唇に触れたいとも思う。ここが通学路じゃなくて、周りに同じ学校の生徒がいなかったらいいのにと考えたのは俺だけだろうか。

 和己が大きめのため息をついて目を閉じる。次に開けた時には理性が支配していた。

「せっかくこの前、恒のお母さんから許可も取り付けた事だし、週末俺の家に泊まりがけで遊びに来ないか?」

 突然の言葉にちょっと驚いて、でも嬉しくて何度も頷く。そういえば母が和己と悠さんの家なら泊まりがけで遊びに行ってもいいって許可を出してくれてた。ついでにうちにも遊びに来てもらいなさいなんて事も言ってたな。

「多分行けると思うから、楽しみにしてる」

 確定したわけではないけど、行けるかもって思うだけで、今触れられないことの淋しさなんかが払拭される。和己の表情も和らいでいて、それを見た俺の顔が熱くなる。やっぱり好きだなぁって素直に感じてしまったのがそのまま顔に出てしまった。

 困ったような顔で俺を見た和己が

「恒が好きだよ」

 俺の頭を撫でて耳元に囁いてくれたおかげで、しばらく固まって動けなくなってしまった。

次はお泊り

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