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夢のかけら  作者: 高原 涼子
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 和己が教室に入ると、机に荷物を置く間もなく悠に手招きされる。

「いくらなんでもしまりがなさすぎるよ」

 結果はわかっていたとはいえ、焚きつけすぎて撃沈していたらどうしようかとこれでも悩んでいたのにと、悠が呆れたように笑う。悠の隣の席に陣取った高槻と弘幸もちいさく笑っているのを見た和己が

「わかってた?」

 怪訝な顔で呟いた。

「和己は最初から白状してたし、恒は無自覚だったけど、側からみていてもわかりやすかった。自覚した後はオーラ出てたよ」

「あー。出てたな、オーラ」

 弘幸の言葉に高槻が同意する。

「和己先輩、大好き〜って、全身で主張してたよ。気づいてなかったの和己ちゃんだけ。

 二人とも他人ひとの気持ちには聡いのに、自分が関わると壊滅的に鈍すぎるよ」

 これみよがしにため息をついて、ふわりと笑みを浮かべた悠が良かったねと笑う。

「とりあえず、ホントにしまりのない顔してるから、ひきしめてね、生徒会長」

「……いたい」

 席から立ち上がった悠が背伸びをして和己の頰に手を伸ばして横に引っ張る。遠慮なくされた行為に笑いながら抗議の声を上げ、和己が三人それぞれに視線を投げかけた。

「ええと、ありがとう。……色々心配もかけたみたいだし」

 背中を押してもらえなかったら動くこともできなかったと言外に伝えたはずなのだが。

「気持ち悪いからやめろ」

 トリハダがたったと、高槻からは文句を言われ、悠と弘幸はそれに頷きながら胡乱げな目を向ける。

「なんで感謝の気持ちを素直に伝えたらそんな反応されるんだよ」

 不満を漏らすと、

「日頃の行い」

 異口同音の返事を返された。

「……終業式の準備に行きますか」

 ガックリと項垂れ、ボソリと呟いて動き出した和己に笑って、悠たち三人も動き出した。




 生徒会室には既に下級生が集まり、式次第などを講堂に掲示する準備をはじめていた。

「おはよう。遅くなってごめん」

 それぞれが声をかけると手を止めたそれぞれがおはようございますと返してくる。

 その中に、はにかんだ笑顔をみつけ、和己も自然と笑顔を浮かべた。高槻が仕方ないなと苦笑して準備の続きを始め、周囲もそれに倣う。

 生徒会主体で全ての行事は行われるため、終業式だけとはいえ当日の朝は慌ただしい。

「放課後ゆっくり話をしよう」

 和己の言葉に頷いた恒も準備の手を再開する。

 夏休みの登校についてや旅行のことなど、話すことはたくさんある。

「とりあえず和己ちゃんはそのしまりのない顔を会長仕様に戻しておいてね。放課後相手してあげるから」

 再び悠に指摘され、苦笑した和己は表情を引き締めた。

恒から見るとかっこいい表情も、幼なじみたちにしてみればしまりのない顔。

次は放課後のお話になります。

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