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夢のかけら  作者: 高原 涼子
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 浮かれた気分で帰宅して、夕飯の後に両親に旅行の話をする。予想どおりというか、当たり前というか、最初は渋い顔をされたけれど、最終的には許可をもらえた。多分、一学期の成績が良かったことと、参加者が全員生徒会役員なのも許可してもらえた理由の一つだと思う。

 悠先輩には明日伝えることにして、おれは和己先輩にSNSでメッセージを送る。誰よりも早く一緒に旅行に行けることを伝えたくて。喜んでくれるかな、なんて思っていたら、スマホの前で座ってたのかと思うくらいすぐに返信が届く。一緒に行けるのが嬉しい、楽しみだって内容の後は、他愛ないメッセージをいくつか送って終了した。まだたくさん送れるようにも思ったけれど、際限がなくなりそうだし、どこまでが許容範囲なのかもわからない。もしかしたらSNSは苦手かもしれないとか、色々考えた。これからきっと、こんな事を一つずつ知っていくのだろうなと思うと、少し嬉しい。ベッドの上でゴロゴロしながらとりとめのない事を考える。そうして思い至った、明日の朝の待ち合わせ。駅の改札前で待ち合わせて学校に行くと思ったら急に緊張してきた。

 丁寧語を使わなくていいって言われたけど、やっぱり気になる。その躊躇いに先輩は気づいてくれた。それでも自分の前だけは少しずつ慣れてほしいと言われたから、明日からは先輩だけしかいない時に素の自分で話しかけることができるようになれたらいいなと思う。

 ……そういえば、弘夢と俊を始めとして、その他の生徒会役員の先輩たちなんかには、つきあうことになったって、報告した方がいいのかな。

 そう考えた後、なんだか眠れない夜を過ごしてしまいそうな予感に、俺は考える事を放棄して寝ることにした。


 ◇◇◇


 昨日一日で俺を取り巻く環境が一気に変わった。憧れてた先輩のことが好きだって気づいてから、まだ一ヶ月も経過していないのに実は両想いでつきあうことになりましたって、なんだか夢でも見ていたようで現実味がない。

 ふわふわした気持ちのまま、学校の最寄駅の改札を出ると、そこに和己先輩がいたから、やっぱり現実だったんだと思った。

「おはようございます」

 会釈をする。それに笑いかけてくれた先輩が

「おはよう」

 照れたように応えてくれた。

 ちょっとだけ声に甘さを感じて、くすぐったい。

 行こうかと視線で促されて並んで歩き出したところで、先輩が大きく息をする。

「昨日のことが俺の都合のいい妄想じゃなくて良かった」

 同じような事を考えていたんだなと思ったら笑えてくる。歩きながらも笑いの止まらない俺に困ったような視線を向けてくるけど、そんな仕草もいい。

「……俺も、似たような事考えながら駅まで来たからなんかおかしくて」

 ようやく笑いがおさまってそう伝えたら、納得してくれたみたいだ。

 学校の正門が見えてきた頃、悩むような表情をした先輩が問いかけてくる。

「恒が嫌でなければ、生徒会役員の中でも旅行に行くメンバーにだけはつきあうことになったって教えてもいい?」

 聞いてくるっていうことは、多分先輩たちも俺と和己先輩の気持ちに気づいてたってことなんだろう。全員俺とのつきあいはたった三ヶ月程だけど、和己先輩とは幼稚園からの幼なじみなんだし、悠先輩と高槻先輩のこともあるから、黙ってるって選択肢はないのだと思う。頷いた俺にちいさな声で先輩はありがとうと言ってくれた。

14話の夜から翌日の朝まで。

ふわふわした気持ちのまま、登校しました。

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