バイト
【あらすじ】
天貝雄哉は、未来から狙われている。
暗殺者4人が送り込まれてきた。
その未来は、雄哉を殺すという決定を下した後に、
それを撤回したが、送り込まれた暗殺者への撤回命令が
間に合わず、現在の世界での捜索活動が始まったのだが。
【登場人物】
・鉄道研究部
天貝雄哉 本編の主人公、未来の暗殺者に狙われているが自覚なし
刈谷朱音 鉄道研究部部長、3年
奥府正也 鉄道研究部副部長、3年、撮り鉄
黒崎真二 鉄道研究部2年、野球部と兼務
布良肇 鉄道研究部2年、乗り鉄
恩田健太郎 鉄道研究部1年、雄哉の誘いで鉄道研究部へ入部
浜河百合子 鉄道研究部1年、雄哉に一目惚れし入部
佐々木 鉄道研究部1年
・未来人
ウリエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在は、雄哉を守る立場として居候中
ミカエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在の世界に滞在、捜索中
ガブリエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在の世界に滞在、捜索中
ラファエル 未来の暗殺者 四天王の一人
現在の世界に滞在、捜索中
天田由紀子 未来から来た謎の女性、臨時教員、鉄道研究部顧問
野球部は、新入生が入り、活気があった。
今年の新入部員は6名とすこし寂しい。
夏の地区大会は、準優勝ながら、常に優勝候補に上げられるような高校だ。
そのような野球部で、黒崎真二はサードの補欠であった。
試合では、その打力を買われて、代打での出場がここ数試合続いている。
投手の練習はしていたが、あくまでも投手がいなくなってしまった時でも
問題なく投げれるようにしていただけだ。
新入生が入ってからの初の対外試合。
黒崎は久しぶりのサードでスタメンだった。
打順は7番。
3打席回ってきて、3打数3安打 打点はなかったものの、2得点。
「今度も使ってもらえるかな」
と期待をする。
黒崎は、今日の打席を振り返りながら帰りの準備をしていると仲のいい先輩が
「この後、飯どうだ?」
黒崎は頷いた。
通常、土曜日の夜はバイトを入れている。
しかし、今日はバイトをはずしてもらった。
その理由が、試合後のこの先輩との夕ご飯があるからだ。
2人で夕ご飯に向かおうとすると、2人の1年生が声をかけてきた。
「水上先輩、黒崎先輩、僕たちも同行していいっすか?」
黒崎は先輩に視線を送った。
「大歓迎だよ。黒崎もいいよな?」
「もちろんです」
今日は、野球部員4人で夕食をとる事になった。
夕方のファミレスは混雑していたが、まだ、余力はあった。
4名席に待たずに通される。
対応してくれたのはウェイトレスであった。
彼らは席につくと、ドリンクバーを注文し、各々ドリンクを取りに行く。
1人のウェイターがやってくる。
「いらっしゃいませ。いつものご利用ありがとうございます」
黒崎が、このウェイターに声をかける。
「あれっ、夜もバイトか?」
「そう、急に1人、体調不良で休みになって。
午前中は厨房だったから、匂いが気になるよ」
「通しか、まぁ、頑張ってくれよ」
「水上先輩も、ご無沙汰してます」
「野球部に入ってくれる気にはなったか?」
「とって走る競技はちょっと遠慮しておきます。
ごゆっくりしてってくださいね」
そう言うと、ウェイターは去っていった。
黒崎は、このウェイターがここでバイトをしているのは知っていた。
しかし、午前中のバイトで厨房を任されていたので、夕方にウェイターと
していることは予期していなかった。
そのため、1年生から想定どおりの質問がやってくる
「野球部に誘っていたということは、うちの高校ですか?」
「そうだよ」
「あんなに格好よければ、女子生徒が騒ぐと思うのですが、
1年では見かけないですね」
「そりゃそうだよ。
やつは2年だ」
「えっ、そうなんですか。
小学生といわれても違和感なかったので、僕たちと同じ1年かと思いました」
「まぁ、俺とあいつが歩いているとよく親子に間違えられたからな」
「本当ですか?
それ、黒崎先輩のネタじゃないですよね」
「本当だよ。
その時も、拗ねちゃって。
もう、回復させるまで時間がかかったからな」
「天貝はそんなこと気にするたちか?」
「中学時代は、小学生王子なんて言われてからかわれてましたからね。
いまも、コンプレックスとして残っているみたいですよ」
「あの人が、天貝先輩なんですか?」
「そうだよ。
天貝雄哉、知っているのか?」
「女子たちが騒いでいるので知っていました。
おおげさな、とは思っていましたが、今はその考えが変わりました。
女子が騒ぐのも分かるなと」
「そうなんだ、騒ぐだけ騒いで、あいつの中二病で小学生的なところを
見ると去っていく。だけれども、また戻ってくるの繰り返しなんだよな」
「悪かったね。小学生で、中二病で」
雄哉は、料理を運んできていた。
「あれっ、俺たち、何も頼んでいないよ」
「ドリンクバーだけだと、長居させてくれないよ。
僕のおごりだからお金は気にしないで」
そう言って、彼は立ち去った。
1年生が雄哉に関して感想を述べた。
「もっと、俺様的な人を想像していたんですけど、違うんですね。
何か、あの人の魅力にとりつかれそうです」
「意外とあいつ、男にも人気があるんだよなぁ?
分からねぇなぁ」
黒崎は自問してみるが回答は出なかった。
彼の永遠の疑問なのであった。




