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アミスタード アスール  作者: おがわかなた
第1章 アブリル
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ヘラルクイカ

雄哉は、天田に職員室に呼び出されていた。


「雄哉君、ウリエルとはどう?」


「はい、相変わらずですよ。

 洗濯を別にしてくれとか、掃除しろとか、まるで、僕は使用人かのように

 扱われてますよ」


「まぁ、まだ子供だからね。

 許してあげて」


「いつ、暗殺者が襲ってくるか分からないのに、料理だ、洗濯だなんて

 のんびりやっていられないですよ」


「ウリエルは、戦闘能力ではNo.2だったから安心して」


雄哉は少しこの言葉に疑念を持った。


先日は、圧倒的な戦闘力でウリエルを破ったのは天田だったからだ。


「でも、ウリエルは先生に簡単にやられていましたよね」


「私も特殊な訓練を受けているから。

 ウリエルはまだ子供だしね」


雄哉は、いまいち納得できない顔であった。


「大丈夫よ。

 今日呼び出したのも、雄哉君に安心してもらう為よ」


そう言うと、机から何かを取り出し雄哉に渡した。


それは、スマホより少し大きく、手でやっと持てるくらいの装置であった。


「何ですか、これ?」


「転送装置よ。

 自分の身が危ないと思ったら、これを使って暗殺者を未来に飛ばして」


「僕らの世界の人が使ってもいいんですか?」


「大丈夫よ。

 この転送装置を体のどこにでもいいからくくりつけて、

 このボタンを押すだけ。

 簡単でしょ」


「体のどこにつけてもいいんですか?」


「問題はないけど、転送の際に苦労するわ。

 基本的に腕につけるんだけど、時空間では、この転送装置が引っ張ってくれるの。

 つける場所によっては、変な風にひっぱられちゃうの」


「どんな仕組みなんですかね?」


雄哉は、上下左右から見てみるが、つなぎ目などは見当たらない。


「技術者じゃないから、私も分からないわ」


「でも、少し気分は楽になりました」


「よかったわ。

 ただ、この装置はウリエルたちには教えないでね」


「分かりました」


雄哉は職員室を出た。





部室には全員おり、雄哉が最後だった。


自分の定位置に座ると、恩田が声をかけてきた。


「天貝先輩。

 月刊誌ができました。

 確認をお願いします」


「ありがとう」


雄哉は確認作業を進める。


恩田が雄哉のコメントを待つ。


「初めてにしては上出来だ。少し修正させてもらうところはあるけれでも、

 合格点だよ」


「ありがとうございます」


恩田が立ち上がりお辞儀をする。


その様子をみた刈谷が、


「そんなにかしこまらなくていいのよ。

 もっと、リラックスして」


「お言葉ありがとうございます」


「固い、固い、もっと肩の力抜いて」


刈谷の肩を動かすしぐさを見て恩田も肩を動かしながら、話し始める。


「俺、中学時代、サッカー部で、超上下関係厳しかったんですよ」


「だからか、ゆうやにタメ口きいたくらいで土下座なんて」


「いまだに、サッカー部はトラウマですからね」


「ここは、文化部だぞ。

 運動部ならともかく」


「確かに文化部でよかったですよ。

 2、3発殴られるかと思いました」


「そんなに厳しかったの?」


「もう、サッカーで作るあざよりも、殴れるあざの方が多かったですからね」


「珍しいわね。今時」


「その代わり、サッカー強かったですから。

 皆、黙認ですよ。

 黒崎先輩って野球部ですよね。

 野球ってどうなんですか?」


「俺が知っている限りでは、そんな上下関係の厳しいところなんて知らないな」


「中学時代もですか?」


「中学生の頃は、比較的、先輩とも仲が良くて、冗談とか言い合ったりしてたからな」


「先輩に冗談を言うなんてできなかったですよ。グーですよ、グー。

 黒崎先輩ってポジションどこなんですか」


「いまは、サードを中心に練習している。

 時々、投手もやるがな」


「へぇ、大変ですね。」


「まぁ、ゆうやの相手より楽だよ」


「黒崎、知り合いから、見たことのある人に格下げかなぁ」


「冗談だよ。ゆうやの相手が楽しいぞ」


「そういえば、黒崎先輩、何で鉄道研究部との兼務なんですか」


「雄哉だよ」


「ゆうや、天貝先輩」


恩田は、名前で呼びそうになったのであわてて呼びなおすが、


「雄哉でいいよ、恩田」


「雄哉先輩が兼務の理由ですか?」


「こいつ危なっかしくて、一人にできないんだよ」


「僕はもう子供じゃないよ」


「子供、以前に、やることが不安なんだよなぁ」


「えっー、僕って?」


雄哉が頭を抱える。


「そうね、おっちょこちょいよね」


「確かに、放っておけない感じがあるな」


「そんな雄哉先輩、確かに放っておけないですね」


「ひどいよ、皆」


鉄道研究部は、今日も脱線し、鉄道の話しをせずに終わるのだった。


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