ボーイペロアスール2
「恩田くんは、今日も休み?」
刈谷が雄哉に尋ねた。
「そうらしいんですよ、風邪らしいです」
雄哉が、恩田のクラスに行って聞いてきたのだが、どうやら、風邪で休んでいるのだが、
それにしても、先週、雄哉が校門で会ってから土日をはさんで5日間も経過していた。
「確かに、夏休み後半から体調悪かったものね。
携帯電話で連絡できないの?」
「恩田は携帯は持っていません。
携帯電話っていう文明の利器を持ちたくないっていっていましたよ」
「自宅の電話はあるの?」
「こちらから自宅の電話してもでないみたいです。
僕も実家の電話番号まで知らないです」
「そんなに体調悪いのかしら。
孤独死、考えられるわねぇ~」
「でも、担任の先生へ休みの連絡は来ているらしいので生きてはいると思います」
「住まいはどこなの?」
「宮田市ですよ」
「まぁ、そんな遠くはないわね」
「駅からは、ちょっと遠いですね」
「どのくらい?」
「徒歩20分くらいですね」
「担任の先生はどう言っているの」
「一度、訪問してみようかとも言っていましたが、
僕が家を知っているので、今日にでも訪問してみようかと思います」
「そう、部長としても気になるわね。よろしく頼むわよ」
結局、今週、恩田は学校に来ることはなかった。
宮田駅から徒歩約20分。
雄哉が恩田の家に来るのは、久しぶりであった。
住宅街にある恩田の家の鍵は掛かっていた。
中の様子は見えない。
「恩田、恩田いるのか」
雄哉が部屋に向かって声をかけるが返事はない。
「孤独死」
そんな言葉が脳裏をかすめる。
「恩田、恩田、いたら返事してくれ」
突然後ろから、声が掛かった。
「恩田さんの知り合いかい?」
振り向くと、少し腰の曲がった老女がいた。
「恩田さんは、もう退去したよ」
「えっ」
「どうしたのか分からんが、毎日、泣く声が聞こえてきたよ。
いじめでもあったのかのぉ」
「僕の知る限り、心当たりはないのですが」
雄哉は、恩田の言葉を思い出していた。
俺たち親友じゃないですか。
悩みがあるなら相談してくださいよ。
「僕たち親友じゃないかったのか?
どうして、相談してくれなかったんだ」
そんな風に思っていると、大家さんが。
「実家に帰ると言っていたよ」
雄哉は、恩田の実家の場所は知らなかった。
「今日はもう無理だ。
来週、天田先生に相談しよう」
雄哉は、今日、明日を諦めた。
きっと、来週は学校に来てくれる。
そんな期待があったのかもしれない。
しかし、そんな雄哉の願いが天に届くことはなかった。
雄哉が、恩田の自宅を訪れている数日前。
ここは、横森にあるとある邸宅でのできことである。
この邸宅の主人は、警察官であり、現在はここから車で1時間程度の駐在所に詰めている。
今日は、夜勤明けで、昼食後、一眠りしていた。
昨晩は、緊急の要件が多く、休憩が取れないくらいであった。
このため、すぐに眠りに落ち、健やかな眠りとなった。
ガタン。
突然、物音がした。
その音に主人は起こされる。
「何だ?」
玄関の方から物音がした。
鍵は閉まっているはずである。
警戒をしながら、その主人は玄関に向かう。
しかし、その先にいたのは、彼の息子であった。
しかし、その息子の様相に、父親はおどろいた。
「健太郎、どうしたんだ? いきなり戻ってきて。
アパートまで引き払ったそうじゃないか」
「おやじ、俺、俺、、、」
義理ではあるが、かわいい息子である。
その息子が何かしら悩んでいる。
しかし、父親に心当たりはなく、困っていた。
「落ち着くまで、ここにいろ。
学校にも連絡しておくから」
彼は、温かく自分の息子を迎え入れた。




