アキシタション
「ハァ、ハァ」
「雄哉先輩、足を上げてください」
「恩田、こう?」
「いえ、違います、もっとこう」
「痛い、痛いよ」
「我慢してください」
「駄目、もう無理」
「大丈夫です、怖がらないでいいですよ」
「お願い」
「いきますよ。
どうですか?」
「あぁ、少し楽になったよ」
「少し楽になったよ」
「そうしたら、ふくらはぎを伸ばした状態でいてください。
歩けるようにはなりますよ」
雄哉は、恩田の誘いでフットサルをしていた。
しかし、普段運動しない為か、すぐに足をつってしまった。
立ち上がるだけで、足がつってしまう。
フットサルで体を動かすと、意外に楽しかったので、無理してしまったのだ。
雄哉は、座って前屈をしながらふくらはぎを伸ばす。
「俺も、よく足つって、伸ばしてもらいますよ。
でも、その後は走れないので、今日は雄哉先輩は終わりですね」
「でも、楽しかったよ」
「今度は、もっと走れるようにトレーニングしておいてください。
俺、もっと雄哉先輩とフットサルやりたいですよ」
「おう、お二人さん熱いね」
二人のそんなやり取りを他のメンバーが冷やかす。
恩田は、恥ずかしくなったからか、フットサルに戻った。
ボールがめまぐるしく回る。
人も動き回る。
「皆、うまいなぁ」
「私たちは、今日、話し合ってみたの」
「何を?」
「ラファエルについて」
「ふーん」
「まず、ラファエルがどうしているのか」
「うんうん」
「宮田市に反応があったわ。
それまでは、反応がなかった。
というよりは、微量すぎて気付かなかったの」
「微量?」
「言われなくては気付かないような微量よ」
「ウリエルが見落としていたちゃ」
「そんな些細な反応、気付かないわよ」
「ガブリエルは気付いたちゃ。
どうして、ウリエルはいい加減なんちゃ」
「しょうがないじゃない。
あんなの反応等は言わないわよ!」
ウリエルとガブリエルのつかみ合いの喧嘩になる。
言葉にならない声が部屋に響く。
転げまわる。
「ちょっと、2人とも止めてよ」
雄哉が止めに入るが、始まってしまったものは止まらない。
やっとその騒動が終わった時に、まるで空き巣に入られたかのような
惨憺たる状況となった。
「デジャブー」
「違います、再現ですぅ」
「とりあえず、片付けよう」
片づけが始まる。
「4人目が宮田駅付近にいるのか。
よし、皆で頑張ろう」
しかし、夏休みが終わり、9月になってもラファエルは
見つけることができないとは、この時、雄哉は考えもしなかった。




