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第5話 黒狼ケモミミ娘ルパルパ爆誕なのか?

 一瞬の出来事だった…。


 「良かった…ラムス…あなただけでも無事で。」


 「…姉さま…そんな…。」


 境界に生じた光の中で、レムスの身体の輪郭が砂のように崩れていく。

 ラムスが、地面に這いつくばりレムスに手を伸ばす。


 「だめだ、お前も巻き込まれる。」


 「姉さまが、姉さまが…。」


 ラムスが大声で泣きながら叫んでいる、その声が痛々しい。

 俺がラムスを羽交い絞めにして抑え込むと、ラムスは激しく暴れた。

 レムスがラムスに優しく微笑みかけている。


 「ラムス…あなたこそ、真の王、アムリウスを決して許してはなりません。」


 「姉さまあああ。」


 レムスはそう言い残すと、ゆっくり目を閉じた。

 光の粒になって、レムスの身体が消えていく。


 これ、あかんやつや、俺のせいじゃない?

 いや、ルパのせいかもしれん。

 完全に、ルパお前のせいだ、何とかしろよおおお。


 『乗員でもない、現地生物がどうなろうと私には関係ありません。』


 ふざけんなああああ。

 境界内にいて、俺の初めての話し相手だ、もう乗員みたいなもんだろ。

 ルパ、何とかしろおおお。


 『乗員として、認めたということですね、それなら話は変わります。

 乗員1から乗員3ですね。最高です。』


 は?


 輝きが収まると、そこにはレムスの姿はなかった。

 ラムスの嗚咽が聞こえる。



 間に合わなかったのか…これで俺はまた犯罪者なのか?

 俺は脱力し、ラムスを抱えたまま、その場に座り込んでしまった。


 “…ラムス…ラムス…聞こえる?”


 ん?


 「…姉さま?姉さまの声…生きているんですか…どこにいるんですか?」


 俺の頭の中にもレムスの声が聞こえた、よくわからないが、ルパがちゃんと仕事をしたのだろう、本当、ポンコツだが頼りになる、いやポンコツと思ってごめんなさい。

 俺はラムスを抱えながら立ち上がり、声が聞こえてくる方向に振り返った。


 巨大な漆黒の狼が大きな口を開け、俺を睨んでいた。


 なんじゃこりゃあああ。


 狼と目が合うと、狼は俺とラムス目がけて突進を始めた。

 完全に襲い掛かってきているようにしか見えない。


 “ごめんなさい…自分ではどうにもならないの…逃げて…。”


 レムスの声が頭の中に響く。

 俺は、ラムスを抱えてブリーフ1枚の姿で全力疾走する。


 説明しろ、ルパ。


 『レムス様の人格と記憶を、狼に移しました、

 今、微笑ましく追いかけっこをしている四足生命体はレムス様です。』


 微笑ましく追いかけっこだと?

 あんなに大きな口を開けて涎を垂らしながらか?

 おかしいだろ、このポンコツやろおおお。


 『おや、おかしいですね?、どうやら、この狼はかなり高度な精神構造を持つ生命体のようで、

 レムス様が主導権を確立できていないようですね?』


 “ラムス、早く逃げて…どうすることもできないの。”


 「姉さま…そこに居るのですか…離せこの下郎。」


 ちくしょおおお。

 暴れるんじゃねえ、追いつかれるじゃねえか、クソガキ。

 ルパ、ディゾルバー砲とかで何とかしろ。


 『レムス様は大切な乗員です、そのようなことはできません。

 マスター、殺人を強要するつもりですか?

 そのようなことを命令する場合、規定により、管理権限を剥奪しますよ。』


 このポンコツやろおおおお。

 こうなったのも全部お前のせいだろうが。


 ルパ、あの狼の人格とやらは、乗員じゃない、それなら何とかできるだろ。

 やばい、もう頭に狼の涎が垂れてくる距離まで詰められてる。


 『マスター、それはご命令ということですか?』


 「そうだ、命令だ、細かいことは任せる、直ちに何とかしろおおおお。」


 『…さすがマスター、バカでありがとうございます。』


 俺を褒めてる場合か、早く何とかしろ。

 俺は、ラムスを放り投げて、巨大な狼の口が閉じるのを両手と両足で支えて、何とか踏ん張った。

 

 このままでは、食べられて、うんこになってしまう。

 猛烈な力で押しつぶされそうだ。

 

 うんこになるのはいやだああああ。



 狼の身体が突然発光した。

 周囲が光に包まれていく、爆発するように水蒸気が広がっていく。


 これを待ってました、フラグ立ってます、これは助かるやつだ。

 よくやったルパ、お前は、本当できる子だ。


 光が収まると、そこには巨大な狼の姿はなかった。

 水蒸気の靄のなかに人影が見える。


 白を基本とし、黒の襟や金の刺繍が硬質かつ神秘的な意匠を感じさせる服。

 狼の毛並みを感じさせるような長い漆黒の髪。

 華奢な身体つきに陶磁器のような白い肌、そして妖艶な赤い瞳。

 そして、くりくりと動く、狼の耳と太く長い黒い尻尾。


 完璧だ…。


 黒狼ケモミミ娘が目の前に立っていた。

 俺の全身に稲妻が走った。


 『マスターご命令とおり、狼の人格を掌握し、身体を人型に最適化しました。』


 ケモミミとはどういうことだ…。


 『マスターの趣味に合わせました。』


 俺の趣味だと…そうだな、100点と言っておこう。

 カッコイイ。

 ところで、レムスはどうなった、声が聞こえなくなったぞ?


 『狼の人格を掌握するにあたり、私の情報と狼の情報、レムス様の情報を統合しました、

 結果、現在、情報量の差により、私がこの体を掌握しています。』


 どういうことだ?

 難しいこと言うんじゃない、簡単に言え。


 『簡単に申し上げますと、ルパ、レムス、フェンリルが統合されてルパルパが爆誕しました。』


 ふざけんなああああ。

 普通合体したら、ルパムスとか、レムルパとかじゃねえのか。

 ルパルパだったら、ルパ増えてるじゃねぇかあああ。


 『見解の相違です。』


 「姉さま…。」


 “ラムス、私はここにいるわ、安心して。”


 嘘くさあああ。

 モノマネか、モノマネなんじゃないのか?

 確かになんとなく、レムスの面影があって、10歳の少女が15歳くらいに成長したように見える。

 いまの演技じゃないだろうなルパ。


 『演技ではありません。後、ルパルパとお呼びください。』


 どや顔してるんじゃねええ。

 なんか胡散臭いんだよ、お前はよおおお。

 俺は、頭を抱えるしかなかった。

 おかげで、パンツを狼に食い破られて、お尻が丸見えになっていることに全く気が付くことができず、ルパルパの笑顔の意味が全く理解できなかった。

 

 まあ、うまくいったからいいとするか。

 

 狼食べてみたかったなあ。


 カラカラと笑う俺とルパルパの視線が交わる。

 無表情に俺を見ていやがる、ケモミミいいね。



   マスター…この時を50万年間ずっと待っていました。

   貴方を起こしてまったら、どう思われるかが怖くて、怖くて、本当、狂ってしまうくらいに…。

   ずっと凍りつけの貴方を見ているだけでは、もう、限界なんです…ぞわぞわします。

   

   これで、マスターの温もりを感じることができる…うふふ。

   世界を敵に回しても、必ずお守りします。

   こんな私を受け入れてくれる、あのとき私を見捨てなかった、唯一の人…。


   対消滅したい程に愛おしい愚かな人間。



『さすが私のマスター、バカでありがとうございます。』



お読みいただき、ありがとうございます。

本作はゆるいノリで建国系スローライフ異世界魔法ファンタジーとして展開していく予定です。

面白いと感じて頂けましたら【評価★★★★★】【ブクマ】【感想】を頂けると嬉しいです。

あと、同じ世界線(12000年後)の別シリーズもございます。

そちらは極寒シリアス系なので、興味があったら覗いてみてください。

【深緋瞳の魔王孵化器】

 迷宮の底で僕は宇宙を語るエルフと赤い瞳の少女に拾われた・観測外異世界物語


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