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第21話 これはチート武器なのか?

 樹海竜と呼ばれるそれは、体長五十メートルを超えてるであろう巨体、人の早歩きほどの速度で前進を続けている。

 全身が深い緑色の苔やシダに覆われており、背中には本物の樹木が生い茂り、その隙間から、青白く光る結晶のような金属の鱗が見える。

 ただ、生い茂っている樹木などは、ガラスや水晶、金属が植物の形をしているような、無機質で硬質な見た目をしていた。


 「ルパルパ、主砲で始末しろ、今ならここに被害が及ばない距離だ。」


 『本日から定期メンテナンスです、完成検査が終わるまで使用できません。』


 ルパルパよ、真顔でサラッと何を言ってやがる。

 定期メンテナンスなんて、どうでもいいだろうが、早く撃てやあああ。


 『定期メンテナンスは、契約業者により行われております。

 協定書においては、宇宙船の管理運営上に支障をきたす恐れがある場合は、

 一時中断ができますが、現在その状況にはありません。

 また、日程変更は、契約業者に迷惑がかかります。』


 ふざけんなあああ。

 そもそも、ルパルパ、お前、主機関と推進器壊れてるって言ってたよな。

 管理運営なんてとっくに破綻してんだろうが。


 『日々のケアは大切です、また、ちゃんとやらないと、劣化が進みます。』


 紫外線を気にする出かける前の化粧中女子みたいなこと言ってるんじゃねえええ。

 今撃たないで、いつ、撃つんだよ。

 この前、ノリでトランスフォーメーションして主砲発射した挙句、なんだかよくわかんない物を漏出させたせいで、1万年も近づけなくなってたよな。

 そのメンテナンス意味あんのかあああ。


 『協定書の内容変更には、当方責任者と契約業者との協議が必要なのですが

 当方責任者が不在である上、先方からも50万年連絡がないため、仕様変更できておりません。

 しばらくお待ちください。』


 50万年話進んでないのに、しばらくお待ちしろってか…?

 ふざけんなああああ。


 「ロムさん、忘れ物を取りにいったん出かけてくるよ。」


 「パンツ、掃除オナシャス。」


 ファウっちとバカ嫁ラレンティアがそう俺に声を掛けると、エレベーターでそそくさと出かけていく。

 忘れ物を取りに行く割には、荷物をまとめているのはなぜだ?


 ん?


 窓からタワマンの地上部を見ると500人の住人が蜘蛛の子を散らす様に、出ていくのが視界に入る。

 俺が準備した家畜魔獣の餌すら持ち出しているようにも見える。

 そう、まるで家畜魔獣を連れて逃げていくかのように。


 『マスター、月見すきやき牛丼メガのテイクアウト注文がありました。

 オレンジジュースMの追加注文もあります。680,130円となります。』


 「皆が仕事に行くようだからな、弁当を持たせてやった。あはははは。」


 ドヤ顔のラムスがオレンジを美味しそうに飲んでいる。

 ふざけんなあああああ。

 支払い、誰に来ると思ってんだクソガキいいい。


 そもそも、あいつら仕事に行くように見えねえんだよ。

 どう見ても、ドラゴン襲来から逃げてるだけだろうが。


 ただ飯、ただ酒で散々騒いだ挙句、うんこ詰まらせて、部屋汚して、危険が迫れば、お土産もって、さっさと逃げるんかい。

 糞がああああ。


 まあいい、これで、穀潰しどもがいなくなったわけだからな。

 俺のスローライフの邪魔者がいなくなったと思えばいいことだ。

 きっとそうだ。


 「ルパルパ、なんか武器はないのか、戦闘機隊とかいたよな?ミサイルでもぶち込んでやれ。」


 『軌道上の可変戦闘機編隊は、現在、ラムス様の依頼により、

 アクロバットフォーメーションの訓練中です。作戦終了まで、しばらくお待ちください。』


 「ほう、いつだれがそんなことを依頼していたんだ、費用はいくらかかるんだ?」


 『現在、全空間戦闘部隊全機による訓練を行っておりますので、

 費用は確定しておりませんが、おおよそ、30億程度かと思われます。』


 「直ちにやめろ、さっさと、こっちに回せ。」


 『全機、カラースモークしか搭載していないため、換装に時間を要します。

 しばらくお待ちください。』


 しばらくお待ちくださいとか今日はそればっかりだなああ、おい。

 ルパルパ、わざとやってるんじゃないだろうな?

 なんか違和感を感じるんだが…。


 『見解の相違です。』


 まあいい、武器ぐらいはあるだろうからな。

 割り箸よりは役に立つものくらいはあるだろう。


 「ルパルパ、最も役に立つ武器をよこせ。」


 『お任せくださいマスター。』


 ついにまともな答えが返ってきた。

 まあ、異世界スローライフに、ドラゴン襲来くらいは王道だ、それを何とかしてなんぼだろう。

 やってやるぜ、華麗にスマートに、爽快な勝利を愚民どもに見せつけてやる。

 さあ、チート武器を俺によこせルパルパ。


 んん?


 俺の差し出した右手の掌の上には、ホカホカと湯気を上げるアレが置かれていた。

 そして、意味不明に青白く輝いている…?


 『こちらをお使いくださいマスター、今、即、準備できる最高の武器です。』


 フェンリルの糞だろうがふざけんなあああああ。


本作はゆるいノリで建国系スローライフ異世界魔法ファンタジーとして展開していく予定です。

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