51話スピード決着!温泉スキルはやっぱり最強
「ニーシャ、アイハ、ネオ!覚悟しやがれ!」
「流石に魔族400名を相手にすればお前ら一溜りもないだろう?!」
王座の間にてネオとその側近二人を追い詰める。
「……ふ、ふ、ふふ、あはははっ」
高笑いするネオ。
「いやぁ……ごめんごめん。久しぶりにこんなに笑っちゃったよ。やっぱり人間は面白いこと考えるなぁ。ナツがコソコソやってるとは思ってたけど、まさか魔族を抱き込んでクーデターって……あは、あははっ……たった400人で僕を抑えられるって思ってる可愛い脳みそが面白くてたまらないよ」
鋭く光る赤目にが殺気を放つ。
あ、ためだこれ……勝てない
そう思った瞬間、バタバタと倒れていく魔族たち。右翼から左翼から、ニーシャの鉄球とアイハの鎖鎌に始末されていく。
「化け物すぎんだろコイツら……雑魚兵とはいえ魔族。それも400人だぜ?紙切れみたいじゃねぇかッ!」
ラーウェルが息を飲む。数分後、私達の目の前に広がったのは数多の魔族たちの傷ついた姿。
「さぁてナツ。僕に半殺しにされて魔王城へ戻るか、仲間全員殺されて魔王城へ戻るか。どっちにする?」
「三つ目、貴様を倒して不戦湯にナツ様を連れ帰る。だ。クソ魔族め」
「賛成〜すごすご帰るわけないもんね〜」
「OK。仲間殺されて魔王城へ戻る。だね?ニーシャ、アイハ。君らは手出しするな。僕の楽しみを奪ったら殺す」
「はいですん!」
「ネオ様かっこいい……」
いや、いやいや、いくらキラソラが束になってもこんな奴に敵うわけない!
「仕方ないのぅ。作戦を立てた以上。わらわも責任を取るか」
突っ込んでいくキラソラとリファ。戦闘は目で追えない速さだが、三人が押されていることは分かる。
「ハイ、終わり。ん〜もう少し暇つぶしになるかと思ったんだけど……」
ネオの足が倒れているキラを踏みつけにする。残されたのは私とラーウェル。負けは確定だ。
「コツコツ裏切らせたのにごめんね?こんな一瞬で水の泡にしちゃってさぁ〜」
「私、決めた」
「ナツ?」
一歩前へ。
「アンタに今後一切温泉はいれてあげない。人を傷つける奴に手なんて貸さない」
「ふぅん……人間ゆえの罪悪感ってやつ?僕知ってるよ。人間は道理さえあれば非道なこともできるって。君は泉をいれなきゃ僕に殺される。だから泉を入れるしかない」
ヒュッ
瞬きの間に眼前に迫り来る拳。
後悔は無い。温泉は、皆を幸せにするためにあるんだから。
ネオの拳が私の頬を捉えた。が、一行に痛みもないし吹き飛ばされもしない。なんならネオの拳の感触もしない。
「え?」
「え?」
二人して顔を見合わせる。ネオは全力で拳を振ったのだろう。でも私はダメージ一つ負ってない。
「?……わ、分かんないけどとりあえず……反撃!」
人を殴ったことなんてない。代わりに食らわすのはビンタだ。
「へぶっ!」
ネオの体が吹っ飛ぶ。私のか細い手から放たれたビンタはネオを壁に突き刺すほどの威力だった。
「え……えぇー?!」
「ははぁんナツ。お前やるなぁ?」
「えっえ?!ら、ラーちゃんなにこれどういうこと?!」
「ナツ、お前一体何人の魔族を温泉に入れた?」
「?……400人?」
「それもほぼ毎日だよな?ステータス開いてみろ」
「?」
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拠点:ラザ国
所持金:銀貨4 金貨105000
クリハラ ナツ(転生者)
Lv999
HP 80000
MP 50000
スキル
【温泉】Lv 50
炭酸水素塩泉
硫黄温泉
酸性泉
草津の湯
登別泉
有馬の湯
魔法の湯
塩化物泉
放射線泉
二酸化炭素泉
魔族の湯
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「な、なにこれ?!レベル999?!ま、まさか魔族を温泉にいっぱい入れたから?」
「あぁ。しかも魔王のことも入れてただろ?そりゃあこんだけ強くなるぜ」
「ってことは私……魔王より強くなっちゃった?」
「おうよ!この世界でナツに敵うやつはいねぇぜ!」
「あはっ冗談っぽい。ネオ様が負けるとかそんなわけ〜」
ニーシャが壁に突き刺さるネオを見つめる。数秒後鉄球をぶん回しながら突っ込んできた。
「よくもネオ様を。殺す」
飛んでくる鉄球。思わず両手を突き出すと鉄球が砕け散った。
「へぁ……」
ニーシャは間抜けな声をあげながらへたり込む。そしてアイハは――
「なんて素敵な力……素晴らしい。かっこいい」
うん、よく分からないけど万事解決かな……
「ラーちゃん……なんか私の体、大変なことになっちゃったみたいだね……」
「お、おぅ。ここまでとは流石の俺もドン引きだぜ……」
数百年の間、人間の畏怖の対象であった魔族は、温泉に浸かったことで敗北したのだった。
「戻ろっか。不戦湯に」




