45話破壊女襲来!
「忘れてた!魔王の予言の話!」
バシャンッとお湯を撒き散らしながら頭を抱える。
「そんなことじゃろうと思った。あれだけ騒いどったのに忘れるとは、肝っ玉が据わっとるんかビビりなんか……分からんやつじゃのう」
「だってダンジョンの方が直近で危機だったんだもん……うぅ、どうしよ」
ウィラさんとフォックスさんの話から察するに、魔王ネオって相当ヤバいやつってことだよね?!天空の剣パーティが歯が立たないんじゃ、キラソラ双子護衛なんて指先一つでボコボコに――
「っ〜ゆ、ユラちゃん!!」
入ってきたばかりの少女の肩を掴む。ユラは黄土色の瞳を瞬かせた。
「も、もう一回占ってくれない?!未来が変わってないかどうか!!お、お金なら払います!」
「えぇっ……お、落ち着いてください。命の恩人様からお代はいただきません。ただ……これまで予言が覆ったことは無いので、その……ご期待に添える予言ができるかどうか……」
「いいよ!!このまま不安に塗れるくらいなら占って!!」
「わかり、ました……」
◇◇◇
風呂上がり、シャルナ特性フルーツ牛乳をプハッと飲み干したユラは水晶に手をかざす。
「なんだよナツ。また占って貰ってんのか?もう腹くくれよな〜いつ来るかも分かんねぇんだから」
「ラーちゃんは黙ってて!」
「……っこ、これは」
ユラが目を見開く。
「こんなこと、有り得ない。結果が……」
「えっ変わったの?!いい方向に?!悪い方向に?!」
「ナツさん。貴方は――」
ユラの瞳と目が合った瞬間だった。
バキバキッ
けたたましい音を立てて銭湯の天井が落ちてくる。
叫ぶまもなく体が浮き、落ちてくる木材に目を瞑った。
「おぃ!逃げ遅れた奴が奥に居るはずだ!」
キラの大声に目を開く。私はキラに抱えられ崩れた銭湯から飛び出すことに成功していたらしい。
「なになに?!地震?!隕石?!私の不戦湯がぁあ!」
銭湯の建物は半分が倒壊。それも大きな力で抉り取られたような痕だ。
「ナツ様、お怪我は?!」
「なっない、多分っ……ありがとうキラ、助けてくれて」
ショックで頭が追いつかない。逃げ惑う客。パラパラと木くずと化した大切な銭湯。
一体何が――
「護衛として当然です。おぃ貴様!何者だ?!」
キラが剣を向けた先に立っていたのは桃色ツインテールの少女と水色ショートカットで右目を隠した女。ツインテールの少女の手には巨大な鉄球が握られ、アレが銭湯を破壊したのだと理解した。
「あっははっ!虫みたいに出てきた出てきた!アイハ見て見て!あれが温泉ってやつっぽい!」
鉄球を持ったままはしゃぐツインテール。ハツラツに見えるが赤い瞳は破壊衝動に塗れている。
「ニーシャ。壊しすぎ。私達の目的は壊すことじゃない。またご主人様に怒られる……ニーシャのせいで私まで」
「大丈夫だよぉ〜ちゃぁんと泉は綺麗に残したでしょ〜!」
誰だろう……?とりあえず敵、だよね……まさか隣国に噂が届いて、軍事的に困るからぶっ潰すみたいな?!
「ねぇそこの人間。この泉出したのってだぁれ?」
「わた――」
「教えてやらん」
大斧を担いだリンファが目の前に立つ。続けてソラやラーウェル、天空の剣冒険者たち、居合わせた冒険者たちも武器を構えている。
「暖簾を潜るなら客。鉄球でわらわの大切な子ども達を破壊するなら敵じゃ。今すぐ帰るなら半殺して許してやろう」
「わぉ!思ってたよりいっぱい居た!えぇ〜一斉に飛びかかってきてくれないかなぁ?ニーシャの鉄球でグシャッてなるとこ、見れるかなぁ!」
「皆殺し……そしてご主人様に叱られる。一体どんな罰を……謹慎?鞭打ち?雑用……ご主人様の靴磨き……」
ケラケラ笑うニーシャとうっとり空を見つめるアイハ。
ヤバい奴だ……絶対
「あ〜でもでも、殺しちゃったら泉出して貰えなくなりますん。それは困っちゃう困っちゃう。アイハ、残念だけど皆殺しは我慢だよ〜」
「皆殺ししたいの、ニーシャだけ。ニーシャが言い出したこと」
「何をごちゃごちゃ話しとるんか知らんが、弁償せぇ。出来んならぶっとばす。それだけじゃ」
「え〜何何?超生意気っぽいコイツ。殺す?ねぇ、殺す?」
「ニーシャ……遊びはここまで。任務が先」
「はぁ〜しょうがないなぁ」
ニーシャとアイハが一歩歩み寄る。警戒心に全員が武器を握りしめた。
「女神の泉ってのがあるってききましたんっそれ、入れてほしいですん!」
またこのパターン?!なんで普通に入口からこないの銭湯の客は〜!!
不戦湯に現れた破壊女達の正体とは――




