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【温泉】スキルが引き寄せレベル9999すぎたので女神になってトラブルを打破します  作者: あきかたりれお


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41話神獣、お得意様登録


掌からしか出したことのなかった酸性泉。そもそも湯船として張れるか疑わしかったが蛇口に手を触れると、他の温泉のように溜めることができた。


できた……のはいいけど


溜まっていくお湯はボコボコと怪しく泡立ち手を入れればたちまち溶けてしまうのがわかる。


おもてなしとか言いながら地獄の温泉案内したら怒らせちゃうんじゃ……シャルナは何を考えてるの?


チラとシャルナに目をやればサムズアップしながらのウインク。きっと妙案なのだろうと信じ、湯を張り終える。


「えっと……こちらが酸性泉です……刺激が強いので気をつけてください」


「これはまた、変わった匂いのする湯船ですね。どれ」


フォックスが湯船に四肢をつけると、ジュワッと嫌な音が響く。


「ッ!……こ、これは……貴方方は……本当に……」


小刻みに震えるフォックス。その足元からは解けゆく音と小さな煙が立ち上っている。


やっぱりヤバいんじゃ……死んだかもっ


「本当に愉快です!この温泉とやら、素晴らしい!」


「エッ……」


「でしょう?!アタイの言う通りッスねぇ!」


「えぇっ?!……あ、あの……フォックスさん……一応これ、体が溶けちゃう泉なんですが……」


「まぁそこらの人間にとってはそうなるでしょう。しかし私にはこの程度の液体は効きません」


この程度……


「それよりも触れれば全身がピリピリとし、細胞が入れ替わるような感覚……素晴らしい。心地の良い泉です」


「そ、それは何よりです」


「あぁまさか、人間に感心する日が来ようとは……戦闘能力を持たないクソザコの娘だと思っていましたが、このように体と心を癒す術を持ち合わせているとは。やはり人間は面白いです!」


「気に入っていただけて良かったです……多分浸かれるのフォックスさんだけな気がするけど……」


流石の魔獣レオクシスさんも酸性泉には浸かりたいって言わなかったもんなぁ。神獣って魔獣より強いんだ……


「小娘達。心地の良い女神の泉に免じて此度は命を見逃し、ダンジョンクリアと見なしましょう。ただし……この温泉という泉を今後も私に振る舞うこと。それが条件です」


「振る舞うって……えっと、私一人ではここに来れないんですが」


「案ずることはありません。クリアさせるということはこのダンジョンは崩壊します。私は暫く人間界を飛び回り、記憶を更新するつもりです。ですから私が立ち寄った際、泉を振る舞うと約束しなさい」


「あぁそういう事……でしたら私、泉……を使って不戦湯を経営してるので、是非そちらに」


「生業としているのですね。あぁそれでは、報酬の代わりに君に加護を与えましょう」


「カゴ?」


「毒や状態異常を無効化したり、弱い攻撃なら傷を負わなくなる力のことです」


「へぇ……」


「ナツ、貰っておくといいっスよ!加護なんて早々受けられるものじゃないし、凄いことっス!」


「う、うん。でも私は冒険者じゃないし、頑張ったのはここまで護ってくれた冒険者の皆様で……なんかその手柄を横取りするみたいだなぁ」


「加護は一人にしかつけられません。私の決定に文句が聞こえたらそいつは殺すので安心しなさい」


「いや、殺さないでください……」


あぁ、なんか物騒な神獣がお得意様になっちゃったなぁ


「では、神獣、クリスタルフォックスの加護を授けます。ついでにこの者達の傷も治しましょう」


頭上と辺り一面にダストシャワーが降り注ぐ。体の痛みが一瞬にして消えた。


「では、これをもってダンジョンクリアと見なします。私は久々の外界を楽しむと致しましょう。ではナツ、約束の方、お忘れなきよう」


「は、はい」


フォックスは一瞬にして姿を消し、静まり返ったフィールドにちらほらと呻き声が。

冒険者達が目を覚ましたみたいだ。


「っ……傷が治っている……?な、ナツ様は、ナツ様!」


「キラ!良かった!怪我は……?」


一番傷が深かったはずだ。駆け寄ってみるが、キラの足取りは確かなもので、フォックスにより傷が癒されたみたいだ。


「大丈夫です。あの、ヤツは?」


「これはあれだね、ナツちゃんが何とかしたんでしょ?」


ソラも回復し身軽に伸びをしている。元気そうな姿に安堵の息を漏らす。


「いや、これは全部シャルナのお陰だよ」


「やだなぁ、アタイは何もしてないッスよ。結局ナツに丸投げしちまったッスからね」


「そんな事ないよ!シャルナが勇気を出してくれたから、フォックスさんも温泉に入る気になってくれたんだし……ありがとうシャルナ。命の恩人だよ」


「っ……そ、そんな、アタイはただ、助かりたい一心で――」


「俺は見てたぞ!」


ザワついていた冒険者の一人が唐突に立ち上がる。


「ダンジョンクリアに導いたのは、女神様だ!皆殺しにされそうになっていた所、女神様が泉を使って、神獣と心を通わせたのだ!」


「へっ?!い、いや私は何も」


「その通りッス!女神の泉のお陰で、アタイもこの場にいる全員も、助かったんスよ!」


ワッ、と冒険者達が駆け寄ってくる。私の手を取り涙目で感謝を述べられ崇められ――


やっぱり温泉使うとロクなこと起きないなぁ……でも、皆を助けることになったのなら、良かった。かな……









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