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【温泉】スキルが引き寄せレベル9999すぎたので女神になってトラブルを打破します  作者: あきかたりれお


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40話神獣、温泉へおいでませ

ダンジョンのボス、クリスタルフォックスを前に全滅か、と思われた。

寸前、シャルナの命懸けの温泉宣伝により一時的に命を救われたのだった。


「シャルナ!」


ふらついたシャルナを受け止める。


「あ、はは……すんませ、足の力、抜けちゃって」


「うんっ凄いよシャルナ……私は腰が抜けてなんにもできなかったのに……」


「その話は後ッスよ。ほら、ナツの温泉、お待ちかねッス」


「うん……まだ、助かったわけじゃないもんね。任せといて!絶対気に入って貰うから!」


今度は私がシャルナの前に立つ。冷たいひとみをしたクリスタルフォックス。機嫌を損ねれば即殺してくるだろう。


シャルナ、こんなの相手に立ち向かったんだ……私も、逃げる訳にはいかないよね


「い、今、温泉を用意します」


手が震える。一番大きな浴槽を取り出し、温泉は"草津の湯"を選択。


「変わったスキルですね」


「あ、は、はい。あの……貴方はダンジョン生物じゃないんですか?」


「私はこのダンジョンの生みの親。人間達はダンジョン生物の"ボス"と呼んでいるらしいですね。愚かなことです」


「え……じゃあ何者なんですか?」


「私は神獣。この世界の行く末を見守ると同時に導く者。ダンジョンを制する人間を見定め、その者に加護を与えるのが役目……しかしここ近年は人間の質が悪すぎます。束になって挑んできて、負けそうになるとテレポートで逃げ出す。そして二度と挑みにこない。体も心も弱い人間ばかりです」


「……ダンジョンが出来ると、その周りの魔物が活性化し、力のない人達を襲ってしまうので、王様は討伐隊を組んだみたいです。人間の世界では王様に逆らうと首が飛ぶので、とりあえず行くしかない、的な感じで」


「知っています。だからこそ質が悪いのも。この世界を護る固く強い意志を持った人間を私は待っているのです。そしてそこの娘はなかなか良かった……」


フォックスはシャルナを見やる。


「彼女は命尽きる寸前になっても諦めず生きる術を模索していました。逃げることも出来るだろうに、私を丸め込もうとするのは、君を護るためでしょう」


「!……はい。自慢の仲間です……」


「君もなかなかです。私を待たせておきながらペラペラとお喋りとは、肝が据わっていますね」


「えっあ、す、すみません!少し時間がかかるものでっ黙ってるのもなんか、失礼かなって?!」


「良いですよ。彼女のお陰で今は少し機嫌が良いので。ただ……その女神の泉とやら、気に入らなければこの場の全員は皆殺しです」


ひぃっ……ちょっといい生き物だと思ってたけど、やっぱり怖い!!わ、私の温泉に30人分の命がかかってる……!


プレッシャーに泣きそうになる。虚しくもお湯が溜まり、いよいよ入浴の時。


「えっと……草津の湯、です……入ると疲労回復とスキルの力が二倍になります」


「ふむ……ただの熱した湯に見えましたが、なるほど。いい香りですね」


ちゃぷ……


フォックスは温泉に足をつけ浴槽の真ん中へ。温泉の湯にクリスタルが反射し、ピンクや紫色に輝いており、こんな場に似つかわしくなく、美しかった。


フォックスは足をたたみゆっくり湯船へと浸かる。私は生唾を飲み込み、無意識に両手を組む。


お願い……温泉、私を助けて!


「ほぅ……これはなんと、不思議な心地ですね。体中に神気がみなぎるのに、心は妙に静かです……」


「気に入っていただけましたか?」


「人間のもてなしにしては極上のものです。ですが……女神の泉と同じ感覚で驚きや面白みはないですね」


「そ、そんな……」


皆殺し確定?!せっかくシャルナが用意してくれたチャンスなのに……草津の湯は私が持ってる温泉の中でも一番の湯……これ以上のものなんて……


「他のものは無いのですか?」


「こ、これが一番良い温泉で……」


「まだ一個、残ってるッスよ」


シャルナに肩を叩かれる。


「えぇ?炭酸水素塩泉と、硫黄温泉……他にあるっけ?」


「あぁ。あるじゃないッスか。スプラッシュが」


「スプラッシュって……シャルナまさか……いやいや!あんなの浸かったら体が溶けちゃうよ!」


「この狐さんは神獣様ッスよ。そこいらの温泉じゃ駄目ッス。な、狐さんっ。全身が痺れるような温泉はどうッスか?」


それって酸性泉のことだよね?!岩とか溶かすレベルだよ?!逆鱗に触れてぶっ殺されちゃわない?!


「生意気な小娘ですね。しかし君は嘘はつかなそうです、もう一度遊戯に付き合ってあげましょう」


「あざッス!ほらナツ、入れてやれよ。サンダー温泉」


「酸性泉ね。どうなっても知らないよ〜?」


まず耐えられる浴槽があるのかどうか。良さそうな浴槽を探していればアイテムボックスの中に"魔石の浴槽"が。「紫の宝石がキラキラして綺麗な浴槽じゃ!」と、リンファが趣味で作成した浴槽である。


魔石でできてるってことは、酸にも耐性があるかも……


私は魔石の浴槽を広げると蛇口に手を置く。


攻撃以外で初めて使うな……一体どんな恐ろしい温泉になるんだろ……


「酸性泉!」


入ればたちまち体が溶ける。恐怖の温泉の誕生だ。









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