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【温泉】スキルが引き寄せレベル9999すぎたので女神になってトラブルを打破します  作者: あきかたりれお


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35/53

35話人を繋ぐ、飯と温泉

「あ、ドラゴさん、でしたっけ?良かったら一緒に食べますか?温まりま」


「ふざけるな!」


器ごと手を叩かれすき焼き風煮込みが宙を舞う。あっと思った時には地面に――こぼれ落ちる前に、ソラがキャッチしてくれた。


「わっ危なかった……ソラありがとう。ちょっと、何するんですか?」


「配給された飯以外の物を出して食べるなど言語道断。他の冒険者たちを見ろ!皆、ひもじくても我慢しているのだぞ!それを貴様らは隠しもせず堂々と、高級食材を貪っている!直ちに持参した食料を提出せよ。これはダンジョンに入る前に命じられているはずだぞ」


「え、えーっと」


提出も何も、貴方が配った食料でございます。


シャルナの料理が美味しそうすぎて、まさか配給で配っているカチカチの野菜や肉と同じだとは思えないんだなぁ……でもどうしよう。このお兄さん悪い人じゃないんだけど、イマイチ日本語が通じないというか……


「ナツちゃん放っておこうよぅ。このゴリラさんに何言っても無駄だよォ」


「貴様……双子勇者の片割れだな?不出来な弟を持つとAランク止まりなんだな」


ゾクッ


背中を駆け巡る悪寒。ソラを止めなくてはと動き出す頃には、既にドラゴの喉に短剣が向けられていた。


そして、短剣を持つ手を止めるのは誰であろう。弟であった。


「兄貴。大丈夫だ。俺は気にしていない」


「……うん、ごめんよ〜ついカッとなっちゃって。あとドラゴンさん?この料理はシャルナっちが作ってくれた物だから、未提出の食材なんて持ってないよ〜」


短剣を収めまたニコニコと穏やかな笑みに戻るソラ。


この双子勇者のこと、ただのコント双子だと思ってたけどいろいろ闇もありそうだ。


さて、ソラの脅しに怯えてこのまま引いてくれれば良いが――


「ドラゴだ!ふざけるな!あんな臭い材料からこんな料理が……っや、柔らかさが違いすぎるだろう!香りもだ!」


ドラゴさんも臭かったんだ……


「そんじゃアタイが、ナツの無実を証明するッスよ」


シャルナを見れば、両手には大量のゴロゴロ野菜と干し肉が入った器が。

食事をしようとしていた冒険者たちが、手の内から消えた器をキョロキョロ探している。


「シャルナ〜手癖悪いぞ〜」


「へへん、アタイの得意技ッス。ドラゴンさんにも食べさせてあげるッスよ。すき焼き風煮込み!」


「だからドラゴ……」


じゅわ……


黒い土鍋で焼かれ始める元カチカチの野菜達。なんの味付けをどれくらいしてるのか私には分からないが数分で、セーフティエリアにすき焼きの匂いが立ち込める。


「すげー美味そうな匂いする!」


「姉ちゃんまだか?!腹減って仕方ねぇよ!」


「こ、こら貴様ら……こんな怪しい女が作った物など」


「あいよ!アタイは確かに嘘もつくし盗みもする。けど……料理だけには嘘つかねッスよ!すき焼き風煮込み、おまち!」


シャルナの料理を口にした冒険者たちの反応は一様に「美味い」であった。殺伐としていた討伐隊の雰囲気すら解れていく。


器を持って、ドラゴに差し出す。


「ドラゴさんも、一緒にどうですか?」


「ッぼ……僕は、僕は父上よりこの隊を任された騎士であり誰一人死なせる事なくこのダンジョンを踏破しなくてはならないんだ!こんな腑抜けた料理等……」


「だからダンジョンに入る前、私に帰るよう促したんですね?命を落とす危険から守るために」


「ち、違う!思い上がるな!僕は庶民の女の命等……吹けば、塵になるような命等……」


「このダンジョンをクリアする鍵は冒険者たちの疲労回復です。シャルナは食事、私は温泉で皆を助けることができる。それが今回、王様が私を討伐隊に入れた理由です」


「温泉?」


「是非、温泉に浸かって、皆パワーアップしていただいて……私を塵になることから守ってください!」


「締まらねぇ決め台詞だな」


「ラーちゃんは、黙ってて!」


私は食事中の冒険者たちの真ん中に浴槽を出す。


「スキル【温泉】炭酸水素塩泉!」


ドドドド――


蛇口に触れるだけで熱々の湯。それだけで冒険者たちにとっては驚きのようだ。口をすき焼き風煮込みでいっぱいにしながら覗き込んでくる。


「な、なんなのだこれは?」


「ドラゴさん!これあれッスよ!最近巷で噂になってる"女神の泉"だ!」


「俺も聞いたことがあるぜ!女神様は掌から熱い湯を出すことができて、それに浸かるとレベルアップしたり傷が治ったりするって言う……ま、まさかこの嬢ちゃん……」


「「「女神様か?!」」」


う、うーーーん……もう否定するのが面倒臭いから女神でいいか。


「まさか貴様……否、貴方様が、伝説の……」


ドラゴは私の前に片膝を付き深々と頭を下げる。


「御無礼をお許しください。どうか我々に、女神の御加護を……!」


掌返しにも程があるが、何故か上手くいったので良しとしよう。


「うむ……では皆々様、しっかり食事をとり、我が泉に浸かるのです!」


オォー!と湧き上がる大歓声。崇められるのも少しは悪くないかもしれない。


「ナツお前……ペテン師だな」


「ラーちゃんは、黙ってて!!」


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