ラモンは床下に潜る。
床下収納は、あっても大きめのテーブル一つ分くらいの大きさだと思っていたのだが、それよりも広く、また深い。正方形の入り口の先はラモンの背よりも深さがあり、側面には梯子がかけられていた。薄暗い収納の中は味気ない石造りで、梯子の先端が微かな明かりに照らされて見える。
深く薄暗い収納だというのに埃っぽさは一つもなく、それがまたラモンの背筋を冷やした。
息を吸い込んで、梯子の段に手をかける。丹田に力を込めて床下に潜り込んだ。
石造りの床に降り立つと、途端に身体を冷たい空気が包み込む。さらに地上の光が届く正方形の範囲以外は真っ暗で、目が慣れないまま進むのは危険そうだった。ランタンか何かを持って来ればよかった、と後悔する。
けれどずっと光の下にいては一向に目は慣れない。そう思い、意を決して一歩踏み出す。石の床を叩く足音が響く。ある程度奥に進んで光を感じなくなった辺りで足を止める。後は暗闇に目が慣れるのを、目を閉じて待つ。
密売の証拠といえば、何があるのだろう。やはり売買の利益を記す書類だろうか。いや、イルゼは顧客の斡旋を手伝っていたようだから、それに使った書簡かもしれない。
とにかくラモンが思ったのは、それだけの為にここまで大きな収納が必要なのかということだ。床下の空間はまだ奥が続いていそうで、左右にも同じくらいの空間を感じる。
疑問に思いながら、さてもうそろそろ目も慣れただろう、とゆっくりと瞼を開く。




