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第七話 拝啓、恋をしたサキュバスへ

「じゃあ。今日も言って来るね!」

そう言って翔琉は家を出る。

「気を付けてなぁ」

「暗くなる前に帰りなさいね」

祖父母が送ってくれた。


鳥居をくぐって異世界へー


「あれ?今日はいないのか?」

キョロキョロあたりを見渡す。


一回のリビングまで下りる。

そこでは手紙を読んでいるクラがいた。

「何?興味持ったの?」

翔琉が聞いた。

「なんとなく読んでるだけだ」

「ツンデレだなぁ」

「その通りです!クラ様かれこれ2時間ほど読んでおります!」

「ちょっヤヨイ」

クラが恥ずかしそうにする。

「なんか面白そうなのあったか?」

「どれもしょうもない」

「そんなこと言わないでくださいよ!

「おってことは?ヤヨイなんかいいのあったのか?}

ヤヨイは笑顔で何かを見せてきた。


「えっとなになに?」


ー死神さんへ

 

 私はサキュバスです。

 人間の青年を好きになりました。

 好きで好きで、毎夜会いに行ってしまいそうです。

 本気で結ばれたいです。

 愛してるんです。

 だから、来世なら彼と結ばれたいです

 

 ロエー


「サキュバス、、あのエロゲの?」

その言葉を聞いてクラは翔琉を睨んだ。

「ヤヨイはなんでこれがいいんだ?」

「素敵じゃないですか。こんなに愛してるんです。結ばれるべきですよ」

「、、、」

クラは難しい顔をする。

「後悔しないか?」

「そんなよくないことが起きるのですか?」

クラはヤヨイの頭をポンっと叩く。

「大丈夫か。お前らもいるしな」

そう言ってクラは紙飛行機にした。


そして、そりに乗って出発をした。


「死神よぉー!!!」

サキュバスの群れが一斉に逃げていったが依頼者だけは逃げなかった。

「来てくれた」

「ロエ!早く逃げなさい!」

「んーん。あたしが呼んだの」

「なに?死にたいの?」

「恋がしたい」

瞳にハートが書かれていて、ピンクの長髪、白い肌、そしてまがまがしい角としっぽが妖艶さを醸し出している。

「変なの。気を付けてよ」

「もち!」

親指を立ててニカッと笑った。


「待ってたよぉ。王子様と結んでくれる仲人さん」

そう言って手をクラ達の方へ向けた。

「うわっ可愛いなぁ」

翔琉が感心した。

「術にかからないようにしてあるから安心しろ」

「ひどいですねぇ。あたしそんなことしないですよ」

そして、ちらっとヤヨイの方を見た。

「えっメイドさん!かわいい」

「ありがとうございます」

ヤヨイは照れたように顔を赤らめた。


「さて?恋をしている相手は誰なんだ?」

ロエに聞いた。

「フフッ聞いちゃいますか!」

今にも話したそうにウキウキしている。

「まぁ、聞いてやる」

えらそうなクラの態度に翔琉は拳を入れた。

「いたっ」

「偉そうすぎるわ」

「いいだろべつに」

「仲いいんだねぇ」

ニコニコでロエは嬉しそうにしている。


「ついて来て!」

そう言って、ロエはクラ達を連れて町の方へ繰り出した。

「とぉう!」

そしてロエは地上に降りて、翼と角としっぽを隠した。

「おぉ。美女だ」

「でしょ?可愛いっしょ?」

「調子乗らないでください」

ヤヨイが少し文句言いたげにムスッとする。


そして、町の中へ入っていく。

クラは深くフードを被って見られないように細心の注意を払っている。

「あっあそこ!」

ロエが指さすところは小さな八百屋さんだった。

「おっロエちゃん」

「おっす!おっさん!」

「今日もべっぴんさんだなぁ」

そして、八百屋さんは中に入っていった。

「おーい?リクロ?」

「なにー?」

奥から不愛想な青年の声が聞こえた。

「ロエちゃんいるぞぉ!」

「えっまじ?」

階段から降りてくる音が聞こえる。

「あっごめん。今日休みだった?」

「いや。いーよ。気にしなくて」

そして、奥にいる翔琉たちを見て怪訝そうな顔をする。

「まさか、、彼氏?」

「まさかぁ、違いうよ」

そう言うとほっとしたような顔をした。

「あのさ、本題は言っていい?」

クラが二人の間に入った。

「おい?」

翔琉が止めようとする。

「わかりますよ。クラ様」

そう言ってヤヨイは一歩出てくる。

「目の前でイチャイチャしやがって気に食わねぇって気持ちですよね」

「嫉妬じゃねーか」


「ロエさん。どうするんですか?代わりに言いましょうか」

クラがさん付けが珍しくて感心する。

「いや、いいよ」

ロエがリクロの前に立つ。

「あたし、さぁ、、、」

ロエは涙をためた。

「ごめんなさい。やっぱ言えないです」

そう言ってロエは逃げ出した。


「ちょっとまってロエ!」

追いかけようとしているリクロの前に翔琉が立ちふさがった。

「彼氏なら、逃げたいときくらいそっとしてやれ。戻ってきたときに本領を発揮しろ」

(無関心すぎて振られた奴の言葉とは思えないなこれ)

自分で言って翔琉は恥ずかしくなった。

「か、、か、、、彼氏じゃないです!」

「あっ」

リクロは恥ずかしそうに手で顔を覆った。

クラが翔琉の耳元で声をかけた。

「賢明な判断だ。二人きりは危険だ。」

「ってヤヨイは?」

「え?」

クラが振り返るが、ヤヨイの姿はなかった。

「あっ」

「まぁ、女子だし大丈夫か」

翔琉はそう言ってリクロをどうするか考えることにした。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「ロエさん?」

ヤヨイがロエを追いかけてサキュバスの洞窟の方へ向かった。

「大丈夫ですか?」

うずくまって泣いているロエに声をかけた。

「あたし、最低だよ。」

「そんなことないですよ」

「サキュバスだよ?結ばれちゃいけない。わかってるの!わかってるのに!」

「まぁまぁ落ち着いて」

近くにはサキュバスがもう一人、顔はロエは釣り目だが、この人はたれ目でボブであった。

「貴方は?」

「僕?僕はアル!」

「僕っ子ですか。モテるでしょうね」

「僕の魅力的がわかるってのは見る目あるね」

アルはドヤッとしていた。

「じゃなくて、」

ヤヨイがロエの頭に手を当て不器用に撫でた。

「なに?」

「元気出ませんか?私はこれが一番幸せになるんですよ」

そう言ってヤヨイはクラとか翔琉が撫でてくれる時を思い出す。


「心がぽわぽわして心地がいいんですよ」


「うわーーーん!!!ヤヨイちゃ―ん!!!」

「えっ私何かしました?」

「うわーたらしだねぇ」

アルはそう言った。

ロエはヤヨイに抱きついた。そのまま頭をなでながら続けた。

「私は、誰もそういう気持ち抱いたことないんで素敵ですよ」

(正直羨ましいです)

「それは、僕も同じこと思った。サキュバスの僕、恋愛とか考えたことないよ」

そう言ってアルは悲しそうな笑顔をした。


「大事にできてるって証拠ですよ。本当のこと言って嫌われるのが怖くて、でも、それでも相手の為に必死にあがいて生きてるんです」

ロエの顔を両手で持ち上げた。


「身も心も美しいではないですか?貴方はどこも悪魔らしくないんですよ」


「ヤヨイちゃんだよね?」

「そうですよ?」

「本当に子供?」

「そうですね。年齢の詳細はわかりませんけど」

「早熟だねぁ」

アルは感心したように言った。

「アルさんこそ私は怖くないんですか?」

「怖いけど、まぁでも、ロエが呼んだって言ってたし、死神さん本人じゃないし大丈夫かなって」

「少し間違えたら死にますよ?」

「その時はその時だよ」

そう言ってアルはロエの涙を拭いた。

「この子、僕も好き。純粋で優しくていい子で」


「かわいいもん」


「照れるんだけど!!!」

ロエは顔を赤くしてアルを叩いた。


「でも」

ヤヨイの言葉に二人は止まった。

「いうなら自分の口からですよ。」

ロエは下を向く。

その様子にヤヨイは困った。


「だけど、選ぶのは貴方です。」

ロエの片手を取って両手で包んで頭に近づけた。


「どうか、幸せになってください」


(上手な言葉言えてるのでしょうか、、、)

「うん!ありがと!」

ロエは笑顔になった。

アルは、ヤヨイの背中を叩いた。


(きっとあってたのですね)

少しだけ、嬉しく感じた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「なぁ、ロエ、俺のこと好きなのかな」

「しらん」

クラはストレートに言う。

翔琉はクラの頭をはたいた。

「暴力的すぎないか?」

「マナーと言葉選びを学んでくれないか?」

近くのベンチに座っていたが、風が吹いていてクラはうっとうしかった。

「てか?お前らはなんなんだ?」

「私か?」

クラは迷ったような顔をした。

「友達だよ」

翔琉が普通に答えた。

「男友達いたのか」

リクロは嫉妬したような顔をする。

「あっえっと違って」


(めんどくせー)


「お前、さてはめんどくさいな?」

クラが本当のことを言う。

(ありがとう。クラ)


「好きならどんなものでも愛おしいものではないのか?」

クラは不思議そうな顔をする。

「まぁ、そうなんじゃないのか?」

(恋愛経験者のくせにこれはよくないよなぁ)

「そうだけど、そうだけど!嫉妬する」

リクロはムスッとした。


「羨ましいな」

ボソッと翔琉が言った。


「なんだ?お前も僻んでるのか?」

「違うよ。俺も彼女いたんだよ」

翔琉は少し下を向く。

「だけど、俺、告白されたから付き合って、なんとなくで好きな気がしてただけだった」


「正直、そんな必死になってんのすげーいいなぁって」


「感傷に浸るな気持ち悪い」

「扱いひっどいなぁ」

「暴力ないだけましだろ」

「あはは」

リクロは笑い出した。

「俺は、貴方達羨ましいですよ。信頼できる仲間がいて」

「こいつは仲間じゃない」

「ツンデレ出すなって」

クラの頬をつんつんする。


その瞬間風が吹いてフードが取れた。


「あっ」

クラが動揺した。

その瞬間、翔琉が上着をクラにかぶせた。

「大丈夫。落ち着け」

周りに見られてないかだけ、確認する。

幸い周囲の町人には見られてなかった。


ただ一人。リクロを除いては。


「し、、、し、、、し、、、」

翔琉はリクロの口を押えた。

「クラ!いったん戻るぞ!」

「だめだ、ここ人が多すぎる」

魔法が使える人は重宝されるから、王族の方で管理される。

ここで使えばリクロに被害が来る可能性がある。


翔琉は息を吐いて

(いっちょ演技してみるか)

翔琉はリクロを睨んで、低い声を出した。

「黙れ。殺すぞ」

リクロの顔に脅えが宿った。


(すまねぇ)


「怖いぞ。翔琉」

「誰のためだと思ってんだてめぇ」

そのままそそくさと川辺の方へ逃げた。


「よし。ここまでくれば安心だ」

「ひっ、あのロエには手を出さないでください」

翔琉は嫌そうな顔でリクロを見る。

「お前さぁ、」

「落ち着け」

クラが翔琉の肩を叩く。

「動揺してんだよ」

「すまん」

翔琉は、深呼吸をした。

「依頼だよ。ロエさんからの」

「なんで、、、ですか?」

「詳細は本人に聞きな」

クラは淡々という。

「そんなわけで、帰っていいぞ」

翔琉は突き放したように言う。

「わかりました」

リクロは一礼して帰っていった。


「しょーもな」

翔琉は吐き捨てた。

「当たり前の反応だ。前も見ただろ」

「いや、多少話したら別じゃないの?」

「仕方ない。私は大丈夫だ」


「なんであんな奴のこと好きなわけ」

「ありがとな。そんなに怒ってくれて」

クラは少しだけ笑っていた。

「珍しく素直だ」

翔琉の言葉にクラは睨んだ。


「クラ様!」

ヤヨイとロエが駆け寄ってきた。

「おっ決意固めたのか?」

翔琉がロエの顔を見て言った。

「いや、迷ってるよ、、」

ロエは目を泳がしている。

「死神様ならどうするの?」

「私は好き嫌いは、よく知らない。だけど、一つだけ言う。本能には抗えない。だから、、」


「もし、結婚でもして一緒に生活するなら、あいつは死ぬぞ」


「絶対?」

ロエは、まっすぐにクラを見た。

「わからない。私は全能じゃない」

「まぁ、どうなんだろな?こっちの世界では意外と恋愛とかしてるもんな」

「そうなんですか」

ヤヨイが口をはさむ。

「あんま知らないからなぁ」

翔琉はぼやいた。


「そもそも、絶対何て存在しないですよ」

ヤヨイはロエの顔を見た。

「過去の前例とかよく例に出しますけど、ここで何かやり遂げれば未来の過去の前例は今になりますよ。作り出せばいいじゃないですか」


「珍しく熱くなってるな」

「私だって恋バナぐらい興味ありますよ」

照れくさそうにヤヨイは言った。


「選ぶのは、ロエだ」

クラはまっすぐに見る。


「来世に期待して死ぬならそれも、また道だ。ただ、お前があいつに会える世界線は何千何億何兆分の一もない。」

「そうだよね」


「せめて、生きる選択を」


クラの本音なのだろう。

殺したくないと、生きていてほしいの両方を含んでいるのだろう。


ロエは、サキュバスの姿になる。

「おかしくないよね?」

「おかしくないですよ。美しいです」

ヤヨイは励ますように言った。


「覚悟決まったよ!」

ロエは嬉しそうに笑った。


「ところで、、、年齢差とんでもないけどいいよね?」

「「え?」」

ヤヨイと翔琉は口を開けて固まった。

「何歳?」

翔琉は恐る恐る聞いた。

「女の子に年齢聞くなんて失礼ね!」

「あんたが聞いたんだろ」

クラがツッコむ。

「えっとねぇ、、、数百年」

「わーお」

翔琉は感心した。

「そんなこと後で気にすればいいだろ」

クラはめんどくさそうに言った。

「まぁ、それもそうね!」


「緊張するなぁ」

ロエはためらっている。


「私が呼んできましょうか?」

「じゃあ、お願いしちゃおうかな」

ヤヨイが一礼をして、リクロの方へ向かった。


「俺たちは遠く行ってますね」

「見える場所にいてよ。振られたら慰めてね」

ロエの笑顔が少し寂しそうだった。

「いや_」


ヤヨイは、リクロを呼んだあと、クラと翔琉の方へ向かった。


「リクロ、あのね、、、」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「どうなるんだろうな」

「帰ってよかったのか?」


ーいや、それは私たちの役目じゃないです

クラの言った言葉にロエは驚いていたが、納得したように笑った。


「まぁ、そうですね。生きるか死ぬかの判断が私たちの役目ですもんね」

そう言うヤヨイは悲しそうだった。

三人で並んで昼下がりの空の下、パンを頬張る。


太陽に似つかわしい、サンキュバスの姿。

似つかわしい純愛。


(どうなるんだろうな)


「、、、正直ハッピーエンドの可能性低いからな」

クラが少しだけ、残念そうな顔をした。

「まぁ、そうでしょうね」

ヤヨイも知っていた。

「だからこそ、本人に選ばせたもんな」

翔琉もこの結末に満足している。


「知らなくていい結末かぁ」

知ってしまったらトラウマになる可能性もある。

だから、目をそらした。


この世界は、割とロマンチックで割と残酷だ


リクロはロエを愛すだろう。

だから、結末はきっと


そのまま、城に戻って解散した。

みんな、幸せになった時の話だけした。


数日後、クラの前を1つの光が通り抜けたってのは、また別の話____


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「じいちゃん、ばあちゃん、ただいま!」

明日は家にいようと思った。

「「おかえり!」」

出迎えてくれるこのぬくもりを大事にしようと思った。


「「「いただきます」」」

一緒にご飯を食べるこの時間を大事にしようと思った。


その日はたくさん話をした。

その時間を大事にしようと思った。


異世界の話はしないでおいた。その方がいいと思ったから。


ー拝啓、恋をしたサキュバスへ

  貴方は今どうしていますか?

  貴方の恋愛はどうなりましたか?幸せになりましたか?

  

  気になることたくさんあります。だけど、知らないでおきます。

  僕は貴方を見て、大事なものが見えました。

  出会うことは尊いものです。それは忘れないでください。

  関わることを諦めないでください

  僕は貴方に会えてよかったです。それだけは伝えたかったかもです。ー


今日の手紙はすらすら書くことができた。

この手紙も大事にしようと思った。出会えてよかったと思ったから。

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