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第六話 拝啓、優しい勇者さんへ

「じいちゃん、ばあちゃん!行ってきます!」

翔琉がそう言って家を出る。

「「行ってらっしゃい」」

2人が玄関まで来て見送ってくれた。


鳥居をくぐって異世界へー


「あっ来たね」

クラが待ち構えてた。

2人でお茶とケーキを食べていた。

「お待ちしておりました!」

ヤヨイが席を降りてケーキを運んでくる。

「おーありがとう」

翔琉はありがたく席に座った。

「ほんとに手紙の主に会いに行くのか?」

クラが不安そうに言ってきた。

「いこ。人生は挑戦してなんぼでしょ」

「どこか行かれるのですか?」

「そう。死神に手紙を送った人に会いに行く。ヤヨイは来るか?」

「一緒に言っていいのですか?」

「もちろんだよ」

メイド服を着たヤヨイが嬉しそうに笑った。

「てか、クラ。メイド服は性癖出しすぎだろ」

ボソッと耳元で翔琉が言った。

「その考えしかできないとは残念な奴だ」

クラがそれに抗議するような目で翔琉を見た。

「どうかされました?」

「いや?メイド服に合ってるね」

翔琉はそう言ってごまかした。


「さーて。誰が来るかなぁ」

そう言って翔琉がリビングにある手紙を適当に一枚とった。


ー死神さんへ


 僕はたくさんの魔物を殺してきました。

 感情のある魔物も、子供の魔物も。

 僕は勇者とたたえられていますが、

 そんなすごい人間ではありません。

 僕を裁いてくれませんか?


 ロス・リーフラインー


「ロスか」

クラがボソッと声を出した。

「知っているのか?」

「知っているも何も一番有名な勇者様ですよ!」

「会いたいか?」

興奮気味で言い放ったヤヨイに声をかける。

「少し気になりはしますね」

「じゃあこいつにしよう。クラ良いか?」

「わかった」

クラが紙飛行機を手に取る。

「場所はわかるのか?」


「お返事は飛ばせば届くんだよ」

そう言ってクラはその手紙を飛ばした。


「じゃあ、行きますか。ヤヨイ」

「なんでしょうか?」

「空飛べるか?」

「申し訳ありません。不可能です」

「わかった」

クラが鎌を取り出した。

そして、近くに会ったそりを取って鎌と縄を結んだ。

「乗ってくれ」

「へぇ、すご」

「思ってないだろ」

「こういう性格なんだよ。悪かったな」

そう言って紙飛行機が飛んでいく方向へ走った。


勇者一行が歩いていたところ、ふと、ロスが足を止めた。

「ロス?」

聖女のリリが声をかけた。

4人パーティーのリーダーであるロス。

あと、戦士と魔法使いを抱えている。

「僕、少し用事できたわ」

「どういうことだ?」

戦士のゴウが不思議そうな顔をした。

「一緒に行きますわ」

魔法使いのラミも入る。

「いや、敵わないと思うよ」

「俺たちに敵わないものなどいない!」

「絶対手を出さないでよ」

ロスが苦笑いをする。


ズドォォォン


目の前に煙が舞った。

「キャッ」

リリが声を上げた。

「絶対手を出すn」

ロスが声をかけようとしたとき


クラの鎌はもうロスの首の横まで来ていた。

「翔琉、こういうことでしょ?」

「ばか!お前それおろせ」

翔琉はクラを一歩引かせた。


「い、、いや」

リリが腰が抜けたように倒れこむ。

「”死神”だ!!!ロス逃げろ」

クラに攻撃を仕掛けた。

「クラ様に手出ししないでください」

ヤヨイが草を生えさせ、ゴウを取り押さえた。

「なんだ!このがき!」

「加勢するわゴウ!」

ラミが水魔法をクラに放つ。

「はぁ、、いい加減にしてよね」

クラが魔法を鎌で切った。

衝撃波で周りに突風が吹くあれる。

「君が手紙送ってきたんでしょ?」

「そうです」

「じゃあ、あの子たち黙らせてよ。ヤヨイが怪我させる前にさ」

「すみません。死神様」


「ロスなんでよ!」

「どういうことだ!説明をしろ!」

「死なないでくださいよ!」

そんな声を出す三人をよそにクラはロスを連れて転移魔法で城に戻った。


ロスは少し振り返って

「じゃあね」

そういって消えていった。


「ヤヨイ怒んなって」

翔琉がヤヨイをなだめる。

「クラ様に手を出すなんてありえないです」

「あーあーロスさんのせいじゃん」

「ロスでいいです。あと、すみませんでした。」

ロスが頭を下げる。

「で?なんで私に紙飛行機送ったわけ?」

クラが本題に入る。

「僕はさ、たくさんの魔物殺してきたんです」

「まぁ、そうだろうね」

「だけど、殺すたびに、涙流してたり泣き叫んだりしていて」

ロスは悲しい顔をした。

「何が正義なんだろう。って、僕は勇者でリーダーでそんな単純なこと仲間には言えないですしね」

「なんで言えないんだ?」

翔琉が入った。

「僕は勇者で魔王討伐を目標にしてるんです。魔物殺したくないとか言えないんです」

「それが、、」

「馬鹿じゃないの?」

翔琉がしゃべろうとした瞬間クラが間に入った。

「ごもっともです」

お茶を運んできたヤヨイもそう言った。


「魔物を殺したことに責任感じて押しつぶされて死にたいの?」

クラが率直に聞く。

「そうです。俺は数えきれないくらい殺してきました。」


「子供はお願いします!助けてください!」

「魔物は嘘をつく信じるな!」

ゴウがそう言う。

「うわぁぁぁぁ!!!」

切った、魔物の親を切った。それにしがみついて泣いている子供を切った。


「もうわけわかんないんです」

ロスは突っ伏した。

「だから、私に殺せと?だから、裁いてくださいって?」

クラが淡々という。

「おい、クラ」

「ごめん。翔琉。私キレてるんだ。」


「自分は殺すの嫌なのに、私には殺させるのはなんで?」

ロスが顔を上げる。

「私は死神だ。だから、生物を殺しても何とも思わないって?」


「まじ、なめんなよ」


クラが本気で睨んだ。

翔琉もヤヨイを唾を呑み込んだ。


「ごめん、、なさい」


「お前の命の価値を一番理解してんのは!お前を大事に思ってる人なんだよ!」


「お兄ちゃん。殺して」

目の前でたくさんの管につながれた妹。

先は長くないと告げられて、ただ苦しみながら病室から出られず。

死を待つのみ。

だから、妹の出した鎌を手に取った。


(今だって鮮明に思い出す。命を初めて刈り取った日だけど、でも、それでも)


「私は!どんだけ苦しんでいても、いたくても!生きててほしかったんだよ!」

声が震えているのを感じたがそれすらどうでもよかった。


「まだ、頼れる奴がいて、まだ生きる意味があって、価値を見出してくれる人がいる」

ロスは目を見開いた。

「まだ!あるだろ!やれることが!」


それだけ言うとクラ振り返って翔琉の肩に頭を置いた。

「おつかれ」

翔琉はそれだけ言った。

ヤヨイはロスの方をじっと見ている。

「どうするんですか?それでもまだ望むなら。私が」


「いや、僕が悪かった」

ロスの目には前よりもきれいに光り輝いていた。


「クラ様お見送りは、私が」

「ううん。いいよ」

クラが顔を上げた。


「また、来ていいですか?」

ロスがクラに聞いた。

「勝手にしろ」

「ツンデレかよ」

翔琉が突っ込んだ。

「うるさい」


「僕は生きていきます。この先どうなるかわかりませんが」

「あっそ。いいんじゃない」

クラが手を前にかざす。

「帰り一人でいい?一緒に行ってやろうか」


「いえ、もう大丈夫です」

まっすぐにクラの目を見た。

「そっか」

クラは少し口角が上がった。


「そうだ、一つ言っておく。人と魔物は共存できない。だけど、それは過去の話。変えれるんじゃない?未来はね、思ったより想像の上をいくものだよ」

そう言ってクラは翔琉を見た。


(誰ともかかわんないつもりだった。だけど、心を開いてこんなに仲良くなって、、、)


「なんだ?」

「何でもないよ」

クラは笑みを浮かべた。


「そうかも、知れないですね」

ロスも笑みを浮かべた。

「あと、クラさん」


ロスの下に魔法陣が出来ていく


「やってらんないよな。汚れ役なんて」

「全くだ」


そう言って消えていった。

「勇者が汚れ役何てな」

翔琉が口に出した。

「魔物にもしゃべれる奴も感情がある奴もいる。だけど、勇者には殺せって命令が来る。私とそんな変わんないよ」


(仲間意識が芽生えてるのか、、、)

クラの顔を見て翔琉はそう思った。


「でも、翔琉。今回は殺さなかったけど、次は殺すかもよ?それでもまた会いに行く?」

「なんだ?俺が言うまでもなく乗り気だな」

そう言うとクラは少し顔を赤くした。

「仕方ないから付き合ってやるってんだよ」

そう言ってそっぽを向く。

「クラ様。いざとなればヤヨイがそのお役目やりますよ」

「そんなこと言わないの」

クラがヤヨイの頭に手を乗せた。


ロスは元の場所に転移されてきた。

それを見た、仲間たちが駆け寄ってくる。

「ロス!無事か!」

「なんであの化け物呼び出したのよ!」

「無事で何よりです」

みんな口々に文句を言うが、無事を何より嬉しがっていた。


(どうだろう、これを言ったらどう思うんだろ、、、)


歩き出したみんなを見てそう思う。

だけど、振り返って待ってくれている。


ーまだ!あるだろ!やれることが!


世界から恐れられる”死神”。だけど、命の価値を誰よりも知っていた


(すべてをさらけ出して、ダメだったら、またあそこに行こう。優しい死神が待っていてくれるさ)


鎖につながったように重くなっていった足取りはもう軽くなった。

いつもは前を歩いていたが、今日は前に仲間がいる。


仲間の元へ一歩づつ歩き出した。


「いつか、また」

ぼそっとそう呟いた言葉は風に乗って。


「ただいま!」

翔琉が家に戻った。

「今日は珍しく速いな」

「まぁね」

昼ご飯を食べてその日は解散した。

正月だしたまには夕食を家で食べようと思ったので早めに帰ってきた。

「あら?翔琉ちゃんおかえり」

祖母がにこやかに出迎える。

「今日は夕食におせち用意したから、たくさん食べてねぇ」

そう言ってキッチンの方へ向かった。


ー拝啓、優しい勇者さんへ

  僕は異世界の摂理はよくわかりません。

  だけど、こっちの世界の勇者は世界を救うって言われてるんです。

  貴方の傷がいつか未来で救われますようにー

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