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第四話 拝啓、カレーへ

「じいちゃん、、、」

祖父がそこにいた。

「ごめん。俺、行かないと」

(何言ってんだ。人には従順にしておかないと)

いつもの翔琉なら誤魔化して家に戻っただろうだけど、

翔琉は顔を上げて祖父をまっすぐ見た。


「約束しているんだ。友達と」


その顔を見て祖父は驚いたような、安心したような顔をした。

「何も謝ることじゃない。言ってこい。気を付けてな」

(じいちゃんは、どこまで知っているのだろうか)

「行ってきます」

祖父に背を向けて翔琉は鳥居をくぐった。


「よかったのですか?じいさん」

「ばあさんか。子供の成長は早いな」

「えぇ。あの子があんな真剣な顔で、自分の感情を言えるようになるなんて」

「あの子は、もともと感情的な子だ。無理させてしまってたんだろう」


「大丈夫」「任せて」

いつのまにか全部笑って背負ってくれていた。


(甘えてしまっていたのかもな)


「悪いことをしたのぉ」

祖父は目頭を押さえた。


「やっほ」

「ほんとに来た。」

鳥居のある部屋の机でクラは本を読んでいた。

その横にいくつかの紙飛行機があった。

「これ?一階のリビングみたいなところに会ったやつか?」

「違うよ」

そう言って紙飛行機を隠した。

「私のお守りだよ」


ーお守り


その言葉で翔琉は風波祭りのクラの手紙を思い出した。

(こいつも、持ってるんだ)

「へー」

っとだけ翔琉は返した。


「さて、カレーを作ろう」

「え?私もですか?」

「当たり前だろ」

「安心しろ簡単だから」

そう言ってカレールーを取り出した。

「ここに調理方法が乗っている」

「知らないんじゃないですか」

そう言いながらも二人で料理を始めた。


「うっ、、、くぅ」

「クラ?どうしたんだ」

急に涙目になったクラに翔琉は声をかけた。

「この玉ねぎ目に染みる」

「ふふっ最強と言われる死神が玉ねぎに負けるとは」

「笑うなし」

クラは怒ったように言う。

「てか、翔琉何その芸術的に残念な切り方の人参」

「まっすぐ切ったら曲がってたんだ」

「心がひん曲がってるからじゃない?」

「なんだと」

そんなこんなで野菜を切り終わって、フライパンにいれた。


「火は?」

「魔法でつけるよ?」

「俺できないからやってよ」

「私がやると台所吹き飛ぶよ」

「それはまずいな。ってことを見越して、持ってきましたライター」

「お?さすが」

クラが感心したように声を出した。


じゅー


焼く音が部屋中に広がる。

「私、ここ何百年、何千かな。料理なんてしたことない」

「したことはあるのか?」

「あるよ。妹とね」

クラは懐かしむように笑った。

「妹居たのか」

「そうだよ。すごく明るくて。すごく優しい子」

「そうか。俺は兄弟いないから羨ましいな」


ここに居ない


それだけが確かなものだ。

(深堀しない方がいいか)

「ちなみに、俺料理まともに作ったことないからな?」

翔琉は学校の調理実習系の事はすべて皿洗いに周り、家でギリ目玉焼きを作れるかもしれないぐらいの技術である。

「へぇ、ちなみに聞くけど。野菜も肉も一切裏返してないけどいいの?」

「あっやべ」

翔琉は急いで裏返した。

無事、黒い物質となっていた。

「早く言えよ」

「ごめんごめん。ゆっくり話してるしいっかぁって」

そう言ってフライパンの中身を見て、クラは笑った。


「で、水を入れると、、計量器は?」

「なんだそれ」

「まぁ目分量か」

翔琉は適当に水を入れた。


「ねー翔琉泡ぶくぶくしてるけどいいのぉ」

「いいんじゃね?」

「へー」

クラは興味深々と言わんばかりに鍋の中を眺めていた。

「わっわ前面に泡が!」

「えっまずいか?」

5分もたたずにカレールーを投入した。

「おぉ、いい匂い」

クラが嬉しそうに笑った。

「そうだな。いい感じにできてるな」

翔琉は軽くドヤッとした。

「よし、まぁできたか」

「おぉさすが。」

「米は持ってきたぞ」


二つのさらに盛りつけた。

「なんか、野菜黒いね」

「そこは気にすんな」

そう言ってクラを叩いた。

さて、翔琉が手を合わせた。

「何するの?呪文?」

「そうじゃない。感謝を伝えてるの」

「へぇ」

クラも真似をして手を合わす。

「いただきます」

「い、、いただきます?」

そう言って食べ始めた。


「野菜かった、、ルーも全然解けてないし」

翔琉はうわぁっと言わんばかりに渋い顔をした。

「なぁ、そうだろk」

そう言って翔琉は横を見た。

翔琉は目を見開いた。

クラは涙目になっていった。

「久しぶりにこんな、あったかくておいしいご飯食べた。ありがとう」

口元は笑顔なのに目元は泣いていた。

「ゆっくり食えよ」

「私やっぱ人とご飯食べるの好きです」


「「「いただきます!!!」」」

「おぉ!うまいぞ!さすがわしの妻!」

「おじいさんいつもそう言っててれえるわぁ」

「どう?翔琉もおいしい?」

「おいしいよ」

いつもの賑やかな食卓。

翔琉にとっては当たり前だった。


(俺はどうだろ、、、)

いつもなら、どっちでもいいとか。どうでもいいみたいに感じるはずだった。

でも、、

「俺も、人とご飯食べるの好きだな。」

スッと言葉になった。


すこしづつ人は変わってく。

不変なものなんて何もない。


ー拝啓、カレーへ

  二度と作りません。

  いや、もっとうまく作れるように頑張りますー


「ふふっ」

「何笑ってんの?」

「ちょっと考えた事しただけだよ」


二人の間に紙飛行機が飛んできた。

真っ黒い色の。

クラの顔が固まった。

「どうかしたのか?」

「仕事の依頼だよ。明日、行かなきゃな」

すごく動揺したその顔には、絶望に近い感情があったように思えた。

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