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第三話 拝啓、異世界の皆さんへ

その日は少しだけ眠って、すぐにあの鳥居をくぐった。

「やっほ、クラ」

「ほんとに来たんだ」

クラはあきれたような表情をした。

「で、その荷物はなんだ?」

クラが指さしたのは翔琉が背負っているとんでもない大きさのリュック。

「え?だって異世界の旅でしょ?」

そういって翔琉はさも当たり前のように言う。

くらは、翔琉の鞄を浮かした。

「おぉ。魔法だ」

「反応薄いな」

「俺はこれでも感動してる方だよ」

「そうか」

「これはおいてけ」

「ちぇー」

そう言って翔琉は口をとがらせる。

「ちぇーじゃない!」

「えー」

「えーでもない!」

そう言ってクラは嬉しそうに笑った。

「さぁ、行こうか。この世界の旅へ」

「おー」

「もうちょいやる気持って言えよ」

クラは杖のようなものを取り出し床に向ける。

魔法陣のようなものが浮かび上がった。

「町へ行こうか」


あたりは急に変わって、町の外れへ出た。

クラが翔琉の耳に手を当てて何かを唱えた。

「この世界じゃそっちの世界の言語使えないから。会話できるようにしといたよ」

「ありがと」

「さっ行っておいで」

「クラは?」

「ここで待ってる」

「、、、」

翔琉はクラの手を取って町へ出る。

「ちょっと待ってここの人が私に触れたらどうなるかわかんないし。それに、、、」

「俺は一人でなら旅なんかしない主義なの」

クラは口をギュッとした。

「お兄ちゃん、どうだ?焼き立てパン買ってかないか?」

店のおじちゃんに声をかけられた。

「いえ、大丈夫です」

翔琉はそう言って町を進もうとした。クラはフードが取れかけておじちゃんと目が合った。

おじちゃんは驚いたように、

「し、、、しっ死神だ!!!!!!」

そう大声を出した。

その声に驚いた町の人は店をしまい。人は逃げまどい。町はすぐに抜け殻のようになった。

「、、、、だからいったでしょ」

さっきのパンのおじちゃんが顔を出して、

「お兄ちゃんこっち来い!危ない!」

「、、、」

クラはフードを深くかぶって翔琉から離れようとした。

「おじちゃん。ありがとう。でも、俺あいつと友達なりたい。」

「死ぬなよ、少しでもうまいもん食っておけ。」

そう言って店のドアから少し出て翔琉にパンを渡して、そそくさと帰っていった。

「ありがとう」

それだけ言ってクラのそばに行って一緒に町を出た。


「ごめん。私のせいで」

町の外れの丘で腰を下ろした。

「いいんだよ。優しいおじちゃんがおいしいパンくれたし。」

そう言って袋を開けた。美味しそうなパンが2つ入っていた。

「はいこれ、どっち食べる?」

「どっちがおいしいの?」

「んー。じゃあ半分こしよ」

そう言って取ったパンの半分を渡す。

翔琉が食べ始めたのをみてクラも食べ始めた。

「うっま」

翔琉はクラの方を見た。

目に涙がたまっていた。

「えっまずかった?」

「逆だよ。うますぎる」

「あはっなんだそれ」

「なんなんだろうね、これ」

二人で笑っておいしくパンを食べた。


その場でまったりしていた。

そしたら騎士のような見た目の人がずらりとやってきた。

「死神様とその使徒様。領主がぜひともご飯を一緒にとのことですがいかがでしょうか?」

翔琉の服は昨日と同じ袴姿のせいか異質だったようだ。

「俺、使徒じゃないんだけど」

「まぁいいじゃないか。どうするお城の中とか見たい?」

「まぁ気になりはするな」

そう翔琉が言うと

「わかった。誘いに乗るよ」

クラの言葉に騎士は馬車に案内して、それに乗って城へ向かった。

「お前どこぞの王様?」

「死神は最上位の存在だからね。扱いがとてつもなく丁寧なんだよ。突き放すと怒りで町を破壊するとか言われてる」

「なるほどね」

翔琉は馬車から外を見る。

「なぁクラ」

「なに?」

真剣な顔でクラの顔を見た。

「馬車酔いした、、、吐きそう」

「ちょ、ちょえ???」

自分より慌てふためくクラの姿を見て、翔琉は笑った。

「うっぷ」

翔琉の頭を触ってクラが何かを唱えた。

「あれ、よくなった」

「回復魔法だよ」

「いーな。俺も使いてぇ」

カーテンで覆われていて外が見えない。

「これカーテン開いていいか?」

「私が見えないようにしてよ?」

そう言われてめくるようにカーテンを開いた。

(元の町へ戻っている、、、)

クラが来て閑散としていた町が幻化のように元の姿を取り戻していた。

「やっぱ服の問題か?」

「違うよ。目と髪の色」

一部だけ青い黒髪と青めの帯びた瞳、確かに神聖さと畏怖を感じさせる。

そう言って寂しそうな顔をする。

「そっか」

(ヘアカラー材とカラコンでどうにかなるかな)

なんて考えてたら城の前に到着した。

「どうぞおいでくださいました。」

領主とその執事たちがクラ達を迎えた。

「うん」

クラと翔琉は執事に案内されるがまま城の中に入っていった。


「中世のヨーロッパみたいな城だな」

「まぁ似たようなものだよ」

レンガ造りでとてつもなく大きい建物だ。

「先ほどは町の者たちがご無礼な態度をしてしまい申し訳ありません。」

「気にしてないよ」

「それはありがとうございます」

目の前で領主が案内しているが、どことなくおどおどしている。

「案内した後は食事をご用意していますので、どうぞお楽しみください」

「わかった」

クラがそう言うと翔琉は少し頭を叩いた。

領主は翔琉をひっぱって

「ちょっとあんた、やめとくれよ。死神様が怒ったら死ぬぞ?」

「何の話してるの?」

「いや、あの、別に」

ごまかしている領主を横目に

「お前そんな態度だと嫌われるぞ」

翔琉はしかりつけた。領主は白目を向いた。

「いーよ。もう手遅れでしょ」

「決めつけるのはよくないぞ」

翔琉は励ますようにそう言った。


一通り案内が終わって食事の席に着いた。

持て成されるのは一級品の料理ばっかりだ。

「おぉ、高級な味がする」

翔琉はバクバク食べる。

「翔琉マナー悪い」

それをクラが咎めるように言う。

「いーんだよ。うまい料理は口いっぱいにしとけば。うまさ倍増するぞ」

そう言って食べる。

「死神様、今回は何の偵察でしょうか?」

「特に理由はありません。私の使徒がこの世界を見たいといったもので連れてきました。」

「そうですかそうですか。素敵な使徒でいらっしゃいますね」

「これが?」

クラの言葉に領主はビクッとした。

「これって言うな」

翔琉はクラに文句を言った。

「料理はいかがでしょうか」

「めちゃめちゃおいしいです」

翔琉はにこやかにそういうと。

「まあまあ」

クラはそう言った。翔琉がクラの椅子を蹴る。

椅子の足が折れた。

(もろすぎだろ、、、)

クラが倒れた。

「、、、、ふふっ」

しまった。翔琉は必死笑いを抑えた。

「、、、ふっごめん」

「笑うの止めれてないじゃん」

ムスッとクラが起き上がる。

領主と執事たちが慌てている。

「私に恥をかかせな出よ」

「死神様申し訳ありません。椅子の点検が不十分でした!」

領主がクラのそばまで来て土下座をした。

「いや、こいつが力の制御できてないだけだから、いいよ」

「寛大な心遣い感謝いたします」

「俺の、せいじゃなくね」

翔琉はぶつくさ文句を言っている。

「異世界人は魔力の制御は難しいんだよ。無意識に使ってんの」

「へー。ってことは俺魔法使えんの?」

「たぶん、、?」

食事を終えクラ達は城を出た。

「お送りいたしますよ!!」

と言う。領主の誘いを断りクラは転移魔法でクラのお城へ戻った。


「お前、一人の時ってこの城でるのか?」

「でないね。あの反応見たでしょ?人間だけじゃない。魔物もあんな感じだよ」

「寂しくないのか?」

「あの反応される方が寂しくない?」

そう言ってクラは振り返りもせず自分の城を開けた。


一回にはリビングのようなものが広がっていた。

「何この紙飛行機の山」

「、、、この世界の迷信みたいなものだよ」

紙飛行機の右下には風波祭りで使う紙飛行機と同じ模様がついていた。

「それはね、死神に届く魔法陣みたいなものなんだ」

「内容は?」

「、、、、わかるでしょ?死神に送る手紙だよ?」

「うん、ごめん」

二人の間に沈黙が流れた。


(ん?待てよ。死神に送ったてことはこいつらに会いに行けば仲良くなれるんじゃないか?)

ふと、そう思ったが口には出さなかった。


「なぁ、お前以外にここに住んでるやつはいるのか?」

「いないよ」

馬鹿ほど広い城に一人ぼっちと考えるととてつもなく寂しそうだ。

「なぁ、ここのキッチン使えるか?」

「つかるよ?」

「よし。夕飯はカレーにしよう」

「なにそれ」

「めちゃめちゃうまい料理」

「楽しみにしてる」

「じゃあいったん買いに行くわ」


そう言って家に戻って買い物に行った。


手紙って返信書くのむずいよな。

練習で思ったこと手紙っぽくしてみようかな。


ー拝啓、異世界の皆さんへ

  僕は貴方たちが嫌いですー


(やっぱり短すぎるか)

そう思いながら買い物を済ませて、鳥居に向かった。


「どこへ行くんじゃ」

鳥居に入ろうとする翔琉に声がかかる。

「じいちゃん、、、」

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