第9話 モンスター
国王に街の外にいるモンスターの討伐を依頼された悠斗。
つい先ほどまで普通に暮らしていた自分がいきなりモンスターを倒せるはずはないと思っていた。一応、店長から武器は渡されていたが、果たしてこれは本物なのだろうかと疑ってしまう。
「傷ついた時には、私の回復魔法があるので大丈夫です! 私も一緒に行きますから♪」というリリアの言葉が心強かった。
「私も行きます!」と言うクララを、護衛の兵士達が必死に止める中、二人は城を後にした。
「おお! 勇者様だ! 今から勇者様が街の外にいるモンスターをやっつけて下さるぞ!」
「きゃああああ~勇者様~! 頑張って~!」
声援や黄色い声があちこちから聞こえる。さすがに後には引けない。悠斗は顔を引きつらせながら、手をあげて声援に応えた。
街の外れまでやってきた。高い城壁にひとつだけある門を抜ければ、そこはもう街の外だ。門から見える外の景色に、モンスターの姿はない。
(このままモンスターが現れなかったら戦う必要がないよな…居ないんだからしょうがないじゃん…って事で許してもらえるだろうか…)
後ろを振り返ってみる。
みんなが悠斗を見ている。許してもらえる雰囲気ではなさそうだ。
ここは堂々と街を出ないと格好がつかない気がしたので、悠斗は胸を張って門をくぐる。門番の兵士が敬礼をし悠斗を見送った。
(どうか強いモンスターが現れませんように…ってか、街の近くなんだから、そんなに強そうなモンスターが出てくることはないか? どんなゲームだって、最初は雑魚キャラしか出ないし……)
そんな軽い気持ちでいる悠斗は、草原が広がる一本道を歩いていた。遙か向こうには、頂に雪を冠した高い山が見える。左側には小高い丘が、そして右側に大きな川が流れている。のどかで平和な雰囲気だ。お弁当を持って、リリアとピクニックをしたらさぞ楽しいだろう。そう思わせる平和な風景だった。
(なんだ…モンスターなんていないじゃないか…荒らされている形跡もないし、やっぱり出たとしても、直ぐに倒せるモンスターなんだろう)
綺麗な青空が広がる空を眺めながら心を落ち着かせていると、あたりが急に暗くなった。大きな雲が太陽を隠したのだろうか? そして頭の上に何かが落ちる。
「ん、何だこれ?」
手がやけにヌルヌルする。
悠斗が空を見上げると、そこには大きなドラゴンが悠斗を見下ろしていたのだった。
「い、い、いきなりラスボスじゃないかぁああああああ!」
悠斗の叫びが、のどかな草原に響いていったのだった。




