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第8話 予言



タブレットに浮かんだ動画の内容はこうだ!


『時給581円の勇者募集中!』


字幕とともにナレーションが流れる。


店長の声だ。


映像が切り替わり、魔王に対峙している勇者の姿が映し出される。AIを使ったリアルな動画だ。


勇者と魔王の激しいバトル。炎を吐く魔王の攻撃を盾で受け止め、そして反撃。キラリと光る剣が魔王を切り裂く。そして世界に平和が訪れる。


『君こそ、この世界を救う勇者様だ! 時給581円の勇者様!!」


勇者の足元から徐々に上に向かってカメラが動く感じに動画が進む。胸のあたりまでアングルが変わったとき、


「や、やばい! もしかしたら勇者の紋章が映っているかも!」


慌てて目をそらす悠斗。


少し間を置き、薄目で動画を見ると、文字情報だけになっていた。


デカデカと映し出された『581円の勇者様!』の文字がキラリと光る。そこで動画が終わっていた。


(良かった…勇者の紋章は見ずに済んだか。そう言えば、タブレットを確認したとき、もしかして俺の顔、映ってたんじゃないか? でも自分で気づかなかったからセーフか…)


どうやら、この動画がきっかけで、勇者の登場や、その勇者を認識する情報がこの国に広まったようだ。でもどんな理由であのコンビニとこの世界が繋がっているのか。そしてなぜ自分がこの世界に派遣されたのか。悠斗はそれを国王に尋ねてみる。


「その予言の板が落ちていた場所に、不思議な扉があったのじゃ。その扉の向こうに勇者様を求めて、我々は調査隊を派遣した。じゃが…」


最後が気になる。国王は話を続けた。


「じゃが、調査隊は戻っては来なかった……扉が消えてしまった。そして我々は、勇者様が現れるのを諦めておったのじゃ。じゃが、そなたが現れた。やはり神は我らを見捨てる事はなかったのじゃ!」


国王の話で何となく状況は把握した。どうしてコンビニとこの世界が繋がっているのか、店長に聞いたら分かるかも知れないが(分かるのか?)、それは戻った時に聞いてみようと思った悠斗だったが、ふと頭に疑問が浮かんだ。


(そう言えば…どうやって元の世界に戻ったらいいんだ? なんか、王様の話だと、調査隊が戻って来なかったと言っていたが…)


何だか急に不安になってきた悠斗。だがそんな悠斗の気持ちとは裏腹に、国王は悠斗の両肩をしっかりと掴んだ。そして悠斗をじっと見つめる。


「勇者殿、この世界を救って下され。頼む、この通りじゃ」


と言いながら、女性用の下着を悠斗に手渡す。


「お、お父様! それ、私のじゃないですか!」


クララが腕で胸を隠しながら顔を真っ赤にする。悠斗は下着とクララを交互に何度か見た。意外に大きいようだ。


「勇者様! どうか世界を救って下さい! 私のも、あげますから!」


と言いながら悠斗に背を向けて服を脱ごうとするリリア。


「わわわわわあっ! そんな事しなくて大丈夫! 救うから! 世界を救うから!」


恥ずかしさのあまり、思わずそんな言葉を口にしてしまい、言ったあとハッとなる悠斗。


「ありがとうございます!」


と言いながら悠斗に抱きつくリリア。


「ずるい! 私もっ!」


と言いながら逆から抱きつくクララ。本日二回目のラッキータイムスタート。


「勇者殿、浮かれている場合ではないぞ。早速じゃが頼みがある。街の外にいるモンスター達を、まずは倒してほしいのじゃ…」


浮かれ気分が一転、何だか急に緊張してくる悠斗であった。


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