第7話 予言の勇者
キラキラした目でクララに見つめられる悠斗。リリアと会った時と重なる。リリアとクララは何だか良く似てるし(伏線w)、服を入れ替えたらみんな騙されるような気がする(伏線w)。
「あなた様が『時給581円の勇者様』なのですね!?」
もう一度クララが悠斗に尋ねた。
「…なんか、そうみたいですね…僕もあんまりよく分かってないのですが…」
「いいえ。私には良く分かりますわ。だってあなた様のおでこにそう書いて……」
「わわわあわああああああ! クララのバカっ!」
慌ててクララの口を手で押さえるリリア。
「んんん! ひっはっひ、はんへふほ?」←(んんん! いったい、何ですの?)
「あのね、額の紋章は見てはいけないの!」
クララに説明したあと、彼女の口から手を離す。
「そうなんですの? 見るとどうなるんですの?」
「…死んでしまうの」
「えええええええええっ!? 私、見てしまいましたわっ! 私、死んでしまうんですか? まだ素敵な王子様と出会っていないのにぃぃぃ!」
リリアと同じ反応をする。いつも一緒にいるから似てくるのだろうか?
「あ、そうじゃなくて、僕がです。僕が額の勇者の紋章を見てはいけないんです。鏡とか窓に映る自分の姿を見ると死んでしまうそうなんです」
「そうなんですの? ああ良かった。分かりました、では、城の中の窓という窓と、鏡という鏡は全て壊してしまいますね。セバスチャン! セバスチャンはどこ?」
「あ、いやいや、そこまでしなくて大丈夫です…僕が気をつければいい話なので……」
「そうよクララ。それにそんな事をしたら、ロッテンマイヤーさんに怒られてしまうわ」
「そうね。私ったら、ちょっと大げさだったわね。ごめんなさいね、ハイジ(←間違えてる)うふふふふっ」
「あのぉ…ワシ…置いてけぼりなのじゃが…」
一連のやりとりを見ていた王様が、たまらず声を掛ける。
「も、申し訳ございません、忘れていました」
素直に答えてしまうリリアを見て、この子はきっと嘘をつけない子なのだろうなと悠斗は思った。
「こちら、国王がお探しになっていた『時給581円の勇者様』です。あ、額の紋章の事にはお触れにならずに…」
「分かっておる。お前達のやりとりを黙って見ておったわい。勇者殿、そなたが現れる事は、予言の板のお告げで知っておった。じゃが、不思議なことに、その予言が消えてしまったのじゃ。これは不吉な事が起こるのではないかと心配しておったが、こうして本当に勇者殿が現れて安心したぞ」
王様が予言について話した。
「国王様、その『予言の板』と言われるものは、今はどこにあるのですか?」
「今は我が手元にある。これ! あれを持って来なさい!」
言ったあと、手をパンパンと叩くと、お世話係のような人が、白い布にくるんだものを持ってきた。それを王様に手渡す。
「これじゃ」
と言って、悠斗に手渡す。最初から自分に手渡す方が早くない? 何で一回、国王を経由した? と悠斗は思った。
丁寧にくるんでいた布を開く。
(やっぱりそうじゃないかと思ったんだよな…)
布を開くと、中からタブレットが現れた。予言が消えてしまったと聞いた時に、悠斗はピンと来ていた。
(電池が切れたみたいだな…えっと、確か持ってたはず…あれ、これ、一回脱がないと取れないな…)
「ねえリリア、脱がすの手伝ってくれない?」
「ぬ、脱がすのですか? えっ、私、まだ心の準備が…それにまださっき出会ったばかりですし…ポッ…」
なぜか頬を赤らめるリリア。
「あ、いや…この鎧を脱がすのを手伝ってほしいんだ。ちょっと中から取り出したいものがあって」
「そ、そうなんですね。私てっきり…分かりました。お手伝いします」
リリアが悠斗が着ている防具を脱がす手伝いをする。鎧を脱いだあと、悠斗はズボンのポケットからモバイルバッテリーを取り出した。タブレットにモバ充をつける。しばらくすると、タブレットが起動した。
当然、Wi-Fiがあるはずがない。なのに動画が見られていたと言うことは、タブレットに保存されている動画を見たということだ。悠斗は動画ファイルを探した。そしてそれらしきものを見つけた。
動画ファイルをタップする。タブレットの画面に、動画が映し出された。
「ほら見て? ちゃんと見られるように……ど、どうしたの?」
驚きのあまり、口を開けたまま固まっている3人。
「ど、どうした?」
悠斗が心配して声を掛けると…
「おおおおおおおっ! あなた様はやはり神の遣いであられたかっ!」
王様が歓喜の声を上げる。
「やっぱりあなたはこの世を救う勇者様だったのですね!」
リリアが喜びのあまり悠斗に抱きつく。鎧を脱いだあとなので、ダイレクトに胸が当たって悠斗の鼻の下が伸びる。
「きゃあああっ! 私もっ!」
と、クララも逆から悠斗に抱きつく。悠斗の顔はだらしなく崩れていく。
何だか知らないけど、なんか良い感じに話が進んでいるなと思う悠斗であった。




