第5話 予言の板
「予言の板?」
聞き慣れない言葉に、悠斗の頭に『??』が浮かぶ。予言の書は聞いたことはあるが、予言の板というのは聞いたことがない。この世界独特のものなのだろうか?
「はい。すごく綺麗な板なんです。石版……と言った方がいいかもしれません。硬いのですが、なんだか直ぐに壊れてしまいそうな感じがする板です」
「へぇ、そんな板があるんだね。それだけ詳しいと言うことは、リリアはその板を見た事があるみたいだね」
リアルに説明するリリアの言葉に、そう感じた悠斗。
「はい。私、聖女見習いをしながら、王女様のお世話係も務めているので、そこでその石版を見ました」
「王女様の? じゃあ、リリアは王女様と話が出来る環境にいるんだね?」
「はい! 王女様とはとても仲良しなんですよ♪ 私のこと、すごく可愛がって下さいます」
(何という幸運! こっちの世界でどうしたらいいか分からなかったけど、リリアがいたら何とかなるかもしれない!)
「そうなんだ…その予言の板には、一体どんなことが書かれていたんだい?」
内容が気になる。リリアの話だと、時給581円の勇者の事が書いてあったみたいな事を言っていたが……。
「この世界を救う勇者様が現れるという予言です。その方は『時給581円の勇者』と呼ばれていらっしゃるようなんです」
なんだかよく分からないが、額に描かれた紋章と、時給581円の勇者は何か関係がありそうだ。
「その他には何か書かれていた?」
まずは情報を集めるのがRPGゲームの鉄則だ。リアルRPGゲームに巻き込まれた今、それに倣って行動するのが良いと悠斗は思った。
「他にも何か書いてありましたが、なぜか消えてしまったんです。突然全部が消えてしまいました」
「消えた? 予言が?」
「はい。全て消えてしまいました…」
「そうなんだ…で、その予言の板は今、どこにあるんだい?」
何も手掛かりがない今、リリアの言う「予言の板」が唯一の手掛かりだと悠斗は思った。
「今は王様がそれをお持ちです。王様は『時給581円の勇者様』が現れるのを心待ちにされています」
「じゃ、じゃあ、もしかして、僕は王様に会えたりする感じ?」
「もちろんです! さっそくお城に向かいましょう!」
偶然出会ったリリアのおかげで話がどんどん進んでいく。もしかしたら彼女に出会ったのは偶然ではなく必然だったのかもしれない。
リリアに連れられてお城へと向かう。
途中…
「おおっ! 581円の勇者様だ! 本当に勇者様が現れたぞ!」
「きゃあああ! 勇者様よっ! 予言は本当だったんだわっ!」
街の人たちが悠斗を見て、そんな言葉を口にする。やっぱり額の紋章の力がすごいのだと思う悠斗であった。




