第24話 かけら
村の名前を聞き、こんな危険な任務にはリリアを同行させる事はできないと思った悠斗がリリアを説得するが、説得は失敗に終わった。
「悠斗様は、ぱふぱふという言葉を聞くと顔がにやけるんです。言葉の意味は分かりませんが、なんだか怪しいので、私がついていないと!」
きらきらした真っ直ぐな目で見られては、返す言葉がない。悠斗はしぶしぶ? 単独行動を諦めたのだった。
ここから先は、街から離れた旅になるのだが、悠斗にはある疑問があった。
この世界から自分のいる世界に戻る方法はひとつ。バイトの時間が終われば、強制的に戻されるのだ。そしてこの先、この世界の真実を知るために、フィールドが広がって行くであろう事は容易に想像ができる。バイトが終わる度に強制的に戻されていたのでは先に進まないし、次のバイトの時に扉を開けた時にはどこにつながるのだろう? それだけじゃない。時間はどうなる? 自分の世界で過ごした時間と同じだけ、この世界でも時間が進むのだろうか?
最近色々な事が起こりすぎて、そんな事まで考えている余裕がなかった。この世界がどうなっているのか、そしてどうやって元の世界と繋がっているのか、今はまだ分からないが、進んでいくうちにだんだん分かっていくだろう。考えても答えは出ないので、悠斗は今は考えないようにした。
「そういえば悠斗様…これ…」
リリアが平らな石のようなものを悠斗に手渡した。
西の洞窟にあった、石版によく似ている。石版の一部だろうか?
「これは?」
悠斗が尋ねる。
「ドラちゃんの爪の間に挟まっていたんです。さっき、じゃ○りこを食べさせてあげてる時に気づいて…それの裏を見てもらっていいですか?」
「裏?」
リリアに言われ、石版の裏を見てみた。
『とり五目ごはん』
「……」
「私には読めない文字なので…悠斗様、意味は分かりますか?」
「…意味は分かるけど、意味が分からない…」
「???」
「あ、ごめん、そういう意味じゃなくて、意味は分かるけど、意味が分からない」
「???」
「あ、いや、言葉の意味は分かるんだけど、意味が分からない」
「???」
言ってるうちに意味が分からなくなってくる。
「どう言えばいいかな…言葉の意味は知ってるけど、何でその言葉がここに書いてあるのか、意味が分からない…ってこと?」
「あ~」
何とかリリアは納得してくれたようだ。とりあえず、悠斗はその石版を持っておくことにした。
今日は休日だったので、バイトの時間が長い。まだ少し余裕があった。この世界の真実を探る旅への無事を祈り、二人を盛大に見送る国王とその娘のクララ、そして衛兵たちと街の人々。
「悠斗様……私からの無事を祈るおまじないです…」
と、クララが悠斗の頬に唇を近づける。
「私も…」
と、なぜか一緒に行く事になっているリリアも悠斗の頬に唇を近づける。二人の唇が悠斗の頬に触れようとした瞬間、悠斗は忽然と姿を消してしまったのだった。




