第23話 村の名は
石版に書かれた「北へ向かえ」のメッセージ。他に書いてあるメッセージが意味不明なだけに、信じていいか分からないが、今はこれしか手掛かりがない。洞窟には何かを守るようにモンスターがいたわけだし、北に行けばきっと何かあるに違いない。
悠斗は街を離れて北へ向かう事にした。二人は国王にそのことを知らせに行った。
「北へ向かえとな? この国の北には湖が広がり、そしてそれをさらに北へと進むと、高い山脈がそびえ立つ」
地図で見たので、それは知っている。
「じゃが、これはなかなか困難な旅になるぞ」
「険しい道のりなんですか?」
「湖を越え、山脈にたどり着いた男はいまだかつて存在しない」
「そ、そうなんですか? そんなに大変な道のりなのですか?」
「ああ…これまで腕に自信のある男が何人も、その道を進んだ。じゃが、湖のすぐそばにある村から先へ進んだものはおらんのじゃ」
「そ、そうなんですか…」
未だ湖を越えたものはいないと聞いて、悠斗は迷っていた。ドラゴンに乗って行けば、容易なのかもしれない。だが、今、ドラゴンは、この街の守り神になっている。ドラゴンがいなくなれば、この街の人たちを不安にさせてしまうかもしれない。
(ここは、自力で行くしかないか。ここまで不思議と上手くいっているから、この先もきっと上手くいくに違いない。でもドラゴンの力無しで、乗り越える事ができるんだろうか?)
「悠斗様、私もお供します。悠斗様が死にそうになったら、私、回復魔法頑張ります♪」
「あ、ありがとう…じゃあ、一緒に来てくれるかい?」
「はい、喜んで♪」
聖女見習いのリリアの力がどれ程なのかは不明だが、今は心強い。
「でも、地図にはそんな村、載ってませんよ?」
広げた地図を確認するが、国王の言っている村は地図に載っていない。
「地図には載せてはいけない村なのじゃ。その村の名前は、必ず湖を抜け、その先の山脈へと挑む強い意志を持つ者にしか教えられん」
(きっと何か特別な理由があるに違いない…)
「ぼ、僕は必ず辿り着きます。この世界の真実を知るため、そしてこの世界を救うために、リリアと共に進みます。その村の名前を教えてくれませんか?」
悠斗は強い決心を胸に、国王に尋ねた。
「それでこそ581円の勇者殿だ! 勇者殿よ、その村の名前は…」
国王が悠斗の目をじっと見た。その力強い眼差しには、この国の平和をお前に託したぞという強い意志が感じられる。悠斗の顔が真剣になった。
「その村の名前は…」
「その村の名前は?」
「…ぱふぱふ村じゃ」
「……リリア…やっぱり君を危険な旅に連れて行く事はできないよ。ここから先は、僕一人で行くよ」
リリアの両肩を掴み、説得を試みる悠斗であった。




