第21話 反撃
剥製だと思っていたモンスターが突然二人を襲う。それに加えて、ゾンビのようなモンスターも数体現れた。手には武器を持っている。悠斗は咄嗟にフラッシュライトでモンスターの目を照らした。顔を逸らし嫌がっている。やはり明るい光には弱いようだ。
(このまま出口付近までおびき寄せるか? でもそのあとどうする? こいつを倒さないと、石版を調べる事はできないぞ…)
自分の実力でモンスター達を倒せない事を、悠斗は分かっていた。だが、倒さなければ洞窟の中を調べる事はできない。どうすればいい?
リリアを守りながら考える悠斗。じりじりと出口の方へと後ずさる。せめてリリアだけでも逃がさないと…と思った時だった。
(そうだ! 外にはドラゴンがいる。ドラゴンの攻撃でこいつを倒せないだろうか?)
「ねぇリリア…君はあのドラゴンを操る事はできるかい」
背中越しにリリアに尋ねる。
「やった事がないので分かりません…でもやってみます!」
前向きなリリアの言葉に希望が湧いた悠斗。だが、別の懸念が頭をよぎる。
(もしもドラゴンの攻撃で洞窟内が破壊されてしまったら…)
だが、背に腹は代えられない。それに、一応洞窟内は撮影している。ここはやるしかない。
剣を構えて威嚇しながら、タイミングを見計らう。そして……。
「今だっ!」
悠斗の合図でリリアが駆け出す。それに反応するモンスター達。
悠斗は剣を大きく振り上げた。
一瞬たじろぐモンスター。
悠斗は剣を振り上げたまま、じりじりと後退する。
徐々に光が射し始め、モンスター達は悠斗に近づく事ができない。
そして…
「悠斗様っ!」
リリアの合図で出口に向かって一気に駆け出す悠斗。洞窟を出た瞬間、悠斗はすぐさま横に避けた。
「ドラちゃん、お願いっ!」
ドラゴンの首に抱きついたままリリアが言うと、
ゴオオオオオオオオオオオオッ
ドラゴンの口から紅蓮の炎が放たれる。洞窟の中にいるモンスターは逃げ場がない。攻撃の後、そっと中を覗いてみる。洞窟内は真っ黒になり、モンスター達も消滅してしまったようだ。と同時に、手掛かりだった石版も黒く焦げて見えない状態になっていたのだった。
「手掛かりがなくなっちゃいましたね…」
悲しそうな顔をするリリア。
「リリアに怪我がなかっただけでも良かったよ。またきっと、どこかで何か分かる時がくるさ」
と言いながら、頭を軽くポンポンとする。
「悠斗様、優しい♪」
思わず悠斗に抱きつくリリア。悠斗は照れ笑いをしながら、ちょっとどうしていいか分からず戸惑っている。
「それに、全く情報がないワケじゃないよ」
といいながらスマホを手に取る。さっき撮った写真を確かめるべくアプリを起動する。今度は写真が消えずにちゃんと残っていた。
(もしかしたら、こっちの世界でなら消えないのかもしれないな…)
ちゃんと残っているうちに、悠斗は写真を調べる事にした。
撮った写真を一枚一枚じっくり見てみる。日本語で書いてあるところと、見たことのない文字が混ざっている。
『燃えるゴミ 月曜日・木曜日』
『今日のメニュー カレー 明日のメニュー カレー 明後日のメニュー カレー』
『隣の家に塀ができたんだってね。へぇ~』
『勇者よ、北へ向かえ』
『3分だけ待ってやる』
『2月2日、アスカゴロウという男を殺したのは貴様か? 貴様だな!?』
『だてに女50年やってんじゃないよ』
『アルミ缶の上にあるみかん』
「悠斗様…なんと書いてあるんですか?」
「…どれもあまり意味のないことが書いてある…特に重要な情報はなさそうだ。それよりも、この文字、読める?」
悠斗は日本語ではない文字を指してリリアに尋ねた。
「見たことがない文字ですね…でも、お城にある『書物庫』に行けば、何か分かるかもしれません。
「書物庫? それって、図書館みたいなもの?」
「図書館…ですか? それは何ですか?」
「そうか、こっちの世界では図書館なんてものはないのか。えっと、本がいっぱい置いてあるところだよ」
「あ~そんな感じです。行ってみましょう♪」
特に有力な情報が得られなかったので、悠斗はお城にある書物庫へと向かうことにしたのだった。




