第19話 店長の秘密
またもや、良い場面で元の世界へと戻される悠斗。誰かが操ってんじゃね? ぐらいのタイミングで今回も見事に戻された。
「よぉお疲れさん! どやった? 今日は何をしたんや?」
と店長に尋ねられる。
悠斗は考えた。
(あの洞窟で見つけた石版には日本語が書いてあった。と言うことは、俺以外にも誰かがあの世界に関わっている人物がいるはずだ。それに、良い場面で、ものすごいタイミングでこの世界に戻される……どこかで見ていないとできないはずだ)
悠斗の推理が続く。
(あっちの世界とこっちの世界を知っていて、かつ、俺の行動を操れて、日本語が分かる人物といえば、思い浮かぶのは1人しかいないじゃないか…)
「ん? どないした? なんかイヤな事でもあったんか?」
何も答えない悠斗を見て店長が言った。
「店長……」
「ん? 何や?」
「……やったでしょ?」
「ギクッっ!!」
店長の顔に焦りの色が浮かんだ。
「やっぱり…もう分かってるんですよ。正直に全部話して下さい…」
「そ、そうなんか?」
「はい」
「……分かった。せやけど、絶対お母ちゃんには内緒やで?」
「……ん~まぁ、いいでしょう…」
「すまんな……実は、ほんの出来心やったんや」
「出来心?」
「ああ。暇やったさかい、スマホをいじってたら、たまたまその情報を見つけてな」
(ネットにルーメリア王国の情報があったのか? 調べるうちに、向こうと繋がる方法を見つけたってワケか?)
「それで?」
「なんか面白そうやなぁと思って、あちらさんとコンタクトを取ってみたんや…」
(やっぱり…)
「で?」
「それでな、実際に会ってみたら、思ったよりも可愛い子が来てな…」
(???)
「でもこれだけはホンマや。絶対に最後まではやってない!」
「なんの話をしてるんですか?」
「何の話って…昨日若いお姉ちゃんとイチャイチャした話やろ?」
「…違います」
「えっ? その話とちゃうんか!?」
「違いますよ……それよりも、謝った方が良いと思いますけど」
「謝る? 誰にや?」
「もちろん、奥さんに、です」
「いやいやいやいや、謝ったら認めたようなもんやないか。バレへんかったらええねん。バレへんかったら」
「あんたっ! 昨日店をサボってどこ行ったんかと思ったら、若いお姉ちゃんとイチャイチャしてたんかっ!!」
店長の後ろで、腕を組みながら、ゴゴゴゴと炎のオーラを放っている奥さん。どうやらあの石版の件に店長は絡んではいないようだ。
「お疲れさまです。お先、失礼します~」
この場に居ると、奥さんが気を使うだろうと思った悠斗は、コンビニを後にしたのだった。
悠斗は家に帰り、部屋でスマホを充電した。洞窟でライトを使い、写真も何枚か撮ったので充電が切れてしまったのだ。
少し時間が経つと、電源がついた。
石版の内容を確認しようと、アプリを開くと……。
(あれ? 全部……消えてる…)
確かに撮ったはずの写真が、全て消えてしまっていたのだった。




