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「転生〜未来への約束」  作者: 蒼い月光
第2章:光の中の温度
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第14話「伝達」

「よーし!!ここまでにしよう!!」

詩織がシンバルを押さえながら言った。

「もうやれるとこまではやった!これ以上練習しても鈴音の声も枯れたらいけないし……胸張って行こう!」

詩織はドラムスティックを直しながら優しく笑った。


プレハブを出た時にはもう辺りは暗闇に包まれていた。

悠馬はふと鈴音の顔を見た。

鈴音は明日の不安からかいつもより少し暗い表情をしているように見えた。

詩織は悠馬と同じように鈴音の顔を見つめていた。

「……ちょっと待ってて!!」

詩織は突然プレハブの中に消えていった。

そしてスーパーの袋を1つぶら下げて戻って来た。

「みんな!花火しよう!!」

詩織は袋から花火を取り出してニコッと笑った。


暗闇の中にろうそくの火が灯る。

悠馬は花火を1つ持って先端を火に点けた。

「うわっ!意外と激しい!!」

悠馬は笑いながらその場に立ち上がった。

「私!私もらう!!」

鈴音が持っている花火の先端を悠馬に近づける。

「私も!!」

聖菜と詩織も悠馬から火を受け取った。

全員の花火に火が灯り、周囲がパッと明るくなる。

はしゃぐ3人を見つめながら悠馬はこの灯りの伝達に幸福感を感じていた。


全ての花火が終わり、4人は花壇の隅に腰掛け横一列に並んだ。

灯りが消えるまで分からなかったが、空は一面の星に満ちていた。

「ありがとね……詩織。」

鈴音は詩織の顔を見て言った。

「私……明日頑張る。最高の演奏にしたい。」

鈴音の言葉に3人は優しく笑った。


カーン……カーン……

鐘の音が響く。

「たまに聞こえますけど、この音って何なんですか?」

聖菜が目を丸くして聞いた。

「あっ、そうか知らないよね?」

詩織が持っていたバケツを触りながら言った。

「ここから少し行った先に小高い丘があるの。その上に教会がある。そこの鐘の音。」

鈴音が遠くを見つめながら言った。

「そこにある鐘を男女2人で鳴らしたら結ばれるっていう言い伝えがあるの。」

鈴音はそう呟いて少し悠馬の顔を見て、目を逸らした。

「……そうなんですか……結ばれる……」

聖菜は遠くを見つめながらそっと呟いた。

「まあ……本当にただの言い伝えだけどね!!教会が人気になるように言ったんじゃないのって説もあるよ!」

詩織はバケツを持ちながら立ち上がり、笑い飛ばした。


翌日、ギターケースを担ぎながら悠馬は家を出た。

祭だというのにあいにくの雨である。

悠馬はギターケースが濡れないように大きな傘を差した。

すると、家を出た道路の隅に鈴音が傘を差して立っているのに気付いた。

「あ、来た……」

鈴音は悠馬を見てニコッと笑った。

「え……待っててくれたんですか……?大丈夫?風邪引きますよ?」

悠馬は鈴音の顔を見て驚いた顔で聞いた。

「風邪……人を待っていて風邪を引くってなんか素敵だと思わない?」

鈴音は優しい笑顔で答えた。


4人はお揃いの衣装に着替え、大学内のホールに向かった。

控室に入り、楽器のチューニングをする。

鈴音は片耳を押さえながら発生練習をしていた。

控室の扉が空き、由紀子が袋をぶら下げてやってきた。

「みんな、お疲れ!いよいよだね!」

由紀子な袋に入っていたスポーツドリンクを机に並べた。

「由紀子先輩!すみません……」

詩織が由紀子を見て礼を言った。

「鈴ちゃん、心を込めて歌えば伝わるから。それだけで充分だよ。」

由紀子は鈴音の顔を見て優しく微笑んだ。

「ありがとうございます。」

鈴音は由紀子の顔を見て頭を下げた。


出番が迫り、4人はステージ裏にスタンバイした。

「緊張する……どうしよう……」

聖菜が両手を擦りながら言った。

鈴音はステージ端で座り、目をつぶっている。

ふいに詩織が立ち上がり、聖菜の元に近づき優しく抱きしめた。

詩織は続いて鈴音に近づき、しゃがみながら彼女を抱きしめた。

詩織は2人の耳元で何かを言っているようだ。

詩織が立ち上がり、悠馬に近づいてくる。

詩織は悠馬を抱きしめて耳元で口を開いた。

「大丈夫……大丈夫だよ……」

悠馬は張り詰めていた緊張感が解けて行くのを感じた。

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