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「転生〜未来への約束」  作者: 蒼い月光
第2章:光の中の温度
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第12話「漆黒」

「ダメだ……届かない……」

悠馬は天井を見上げて呟いた。

大学に行けなくなって3日間が経った。

悠馬はおもむろに携帯の着信履歴を見た。

鈴音……鈴音……詩織……鈴音……聖菜……聖菜……

悠馬は携帯の電源を落とした。

この感覚は経験したことがある。

高校生のとき、あの日から自分の身体が思い通りにいかなくなった。

あの時もそうだ。

心配してくれる友人が居たが、反応出来なかった。

友人のことは嫌いになった訳ではないのに、身体が動かない。

反応できないでいるうちに周りは離れていった。

今もそうだ。

3人のことを思えば思うほど、動けない。

この理由は自分でも説明できないのだ。

自分の電源も落としたい。

悠馬は目を瞑り、視界を漆黒に変換させた。


ピーンポーン……

インターホンが鳴り、悠馬は目を開けた。

最近は郵便配達等も対応出来ず、ポストに不在配達票が溜まっている。

ピーンポーン……

もう一度インターホンが鳴った。


「悠馬……?」

外から女性の声がした。

悠馬の目に涙が滲む。

何度も何度も聞いた声だ。

悠馬は声を出そうとしたが、思うように出ない。

「私は……私にはあなたが必要です……」

その声はいつもと違い、弱々しく感じた。

「不思議だね、前まで悠馬なしで生きていけたのにね……もう……なしではどうしようもなくなっちゃった。理由は話せないかもしれない……いや、理由なんて無いのかもしれないけど……とにかく……会いたい。」

悠馬は流れてくる涙を必死で手で拭った。

「ダメだね……急かしたらダメだ。いつでも待ってるから。」

その声は必死で自分に言い聞かせているように思えた。

「辛いことは話したかったら話してくれればいい。それを話してくれる悠馬を大切にしたい。話したくなかったら話さなくていい。それを言わずにいる悠馬を大事にしたい……今の悠馬を大事にしたいから。」

そう言い残して、悠馬は足音が遠ざかって行くのを感じた。


バカだ……情けない……

悠馬は顔を両手で覆った。

動きたい……会いたい……話したい……

悠馬は身体に力を入れようとしたが、結局立ち上がることが出来ず、目を瞑った。


残酷にも時は早く流れるもので、それから更に4日の時が過ぎていた。

窓の外の蝉の声は以前よりも音量が減り、朝方はTシャツ1枚では肌寒くなっている。

「行かないと……」

悠馬は重い身体をゆっくりと持ち上げた。

今日は緑涼祭前日だ。

ここまで大事な仲間とこの日のために頑張ってきた。

鈴音……詩織……聖菜……

3人の顔が浮かぶ。

乗り越えられない……

悠馬はその場に跪いた。

「ごめん……」

悠馬は顔を両手で覆い、両手が濡れていくのを感じた。

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