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「転生〜未来への約束」  作者: 蒼い月光
第2章:光の中の温度
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第1話「波乱」

電車を降りてホームに出る。

悠馬は辺りをキョロキョロと見渡した。

慣れない景色に戸惑ったが、悠馬は群衆が進む方向に動き出した。


筑紫悠馬、19歳。高校を卒業した後1年浪人し田舎から東京の大学に出て来た。今日が初めての登校日である。

浪人を経て大学に合格した者は大抵ある種の劣等感を感じながら入学するものである。悠馬もそのうちの1人だった。


大学への道を無言で歩く。

少しの緊張感と興奮から悠馬は少し足早になっていた。

「……」

悠馬はふと何かを感じ、立ち止まり目を閉じた。

目を開けた悠馬は大学への道を逸れ、勢いよく走り出した。

しばらく走ったところに登り坂があることに気づいた。

坂道の上ではベビーカーを押した女性と1人の老人が立ち話をしている。どうやら女性が老人に道を教えているようだ。

カタカタカタカタ……

女性の手が滑り、ベビーカーが1人でに走り出し、坂を下り出した。女性と老人は驚いた顔をしている。

悠馬は動き出してすぐに両手でベビーカーを止めた。

「ありがとうございます!」

慌てて駆け寄る女性に会釈し、悠馬は元の道に急いだ。


大学への道に戻る途中、商店街裏の路地を通った。

プルルルル……プルルルル……

突然の大きな音に悠馬は驚き、立ち止まった。

路地の隅に最近では珍しい公衆電話があった。

よく聞くと音はそこから鳴っていた。

悠馬は何故かその電話を取らないといけない衝動に駆られ、電話の受話器を上げた。


「パンパカパンパンパーン!!よろしくお願いしまーす!!!」

うるさいファンファーレの音の後に男の声がした。

「あなたはリカバリーミーティングの受け口になりました!!」

悠馬は突然の大きな声に息を呑んだ。

「申し遅れました。私はここの管理をしている者です。あ、規則上名前は名乗れないんですが……とにかく要件をお伝えしますね。あなたはリカバリーミーティングの受け口になりました。」

男の声はやけに早口で趣旨が理解できなかった。

「まあ……意味不明ですよね……?説明しましょう。まず、輪廻転生ってあるじゃないですか。」

男は一方的に話し続ける。

「人は死んだら新しい姿に生まれ変わる訳ですよ。人間の男、女、番犬や家畜、虫やプランクトン……まあ生まれ変わる時代も姿も様々です。」

男はやけに饒舌で説明し慣れている様子が伺えた。

「当然、人は生まれ変わった時、全ての記憶を無くしてまっさらな状態になります。前世での体験なんて覚えていない訳ですよ。ほら、よく来世でまた会おうとか、来世でも君と結ばれたいとか言いますけど実際出会っても分からない訳ですよ。」

男は単調に説明する。

「しかしリカバリーミーティングのチャンスを与えられた者は人生のある時点で運命の相手と思い出の場所で偶然出会ったとき、30分だけ意識がひとつ前の自分に戻るんです!それがリカバリーミーティングなのです!」

単調な説明から一転、男の説明は熱気を帯びるようになった。

「で……あなたはその受け口です。」

男の声はまたトーンダウンした。

「受け口……ですか?」

悠馬はやっと声を出し、男に返答をした。

「まあ……要するにあなたの一個前の方がリカバリーミーティングのチャンスを得た訳ですよ。もう時期、その運命の30分がやってくる。それをあなたに伝えたかった訳です。あ、心配しないでください。その30分の記憶はあなたに残りませんから。あなたはただ大学生活を楽しむだけでいいんです。」

悠馬はしばらく考えこんだ。理解し難いことだが、そうだとしたら1つ疑問がある。

「よくは分からないんですけど……その30分の記憶って無くなるんですよね?だったら、何で僕にそれを言う必要があるんですか?」

悠馬はゆっくりした口調で言った。

「まあ、それは……怒らないでくださいね。あなたがちょっと前まで引きこもりだったからですよ。」

男は静かに言った。

「せっかくのリカバリーミーティングも人に会わないとどうしようもない。あなたには色んな方と会って交流してもらわないと……そうじゃないと前の人がかわいそうだと思ったから……」

男はバツが悪そうに言った。

「それではもう時間が無いので!!気合い入れて頑張ってくださいね!!!ではでは、行ってらっしゃーい!!!」

男は急に切り上げ始め、電話が勢いよく切れた。

「ちょ……ちょっと!!」

登校日初日。波乱の幕開けだった。

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