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ツーショット 鳴らぬスマホは 今ススキ

 彼女からはまったくメッセージが来ない。ただ、グループ登録は解除されてない。まあ忘れているだけかかもしれないが。

 二人で撮った写真を待ち受けにしていたが、それもつらいので、自動で送られてくる画面にしてしまった。満月の下のススキが寒々しい。


 仕事探しもままならないある日、電話が来た。

「木津口タケルさんですか。わたし、ブライダルコーディネータの竹下といいます。突然で、申し訳ありませんが、少々手伝っていただきたいことがありまして。」

 竹下氏の話では山登りの仲間で告別式を挙げたいので演出をやってもらえないか依頼されたという。しかし、結婚式は主にキリスト教なので、仏教のしきたりはさっぱりだというのだ。


 時計好きの披露宴で使う時計の修理を、ウミさんの弟が頼まれたところから話は始まる。竹下氏が仏事に詳しい人を知らないかということで、姉が葬儀会社にいると話した。しかし、そこではそのようなイベントは扱ってないので、僕の元の会社に相談するように言われたらしい。ところが仏事に関しては素人だからと断られたという。とりあえず僕に相談してみるといいという話になった。

 遺骨も遺影も借りられないので、仲間が持っている故人の写真を拡大して、山の頂上から極楽に送るカラクリができないかという。


 極楽といえば須弥山だ。写真を須弥山の上の極楽へ移動させればいい。それは彼も考えたそうだ。しかし、富士山やエベレストなら写真があるのでイメージできるが、須弥山となるとどうディスプレイしたらいいのかわからない。さらに写真を山へ上げるのも単に吊り上げるだけでは成仏のイメージとは程遠いという。


 すぐに彼のスタジオのある秋葉原へ向かおうと思ったが、一度例の住職に極楽のイメージを教わることにした。

「須弥山のイメージですか。曼荼羅を掛けてはいかがですかな。」

 僕は、舎利殿に掛かっていた十三仏を思い出した。

「あれは、お貸しできませんが、信者にお貸している小振りの軸があります。それでよければお使いください。」

 住職は須弥山のイメージ図も描いてくれた。

 僕は新幹線の中で、写真を持ち上げる方法を考えていた。吊り上げるのでは自分でたどり着いた雰囲気がでない。山を直接登っていくのも見ていて陳腐だ。何か、ふわっと頂上に登る方法はないか。


 それから数日試行錯誤の末、完成した。

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